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第30話 旅路

コロンを出発して10時間、この日はのんびりしてて非常に良かった。

しかし、馬車というのは揺れるんだなぁ。前世の演習場内で高機動車をガンガンに走らせたくらいの揺れがくる。


どんな揺れかというと跳び跳ねて天井に頭をぶつけるくらいの揺れだ。

やはり道が舗装されていない、というのがデカイのではないか。

現代日本で舗装されていない道を通る経験など、超田舎か、山道か、演習場くらいしかないのではないか。


まぁ、ちなみに隆康の実家はその超田舎なのであったが・・・。


「いやー、こういうのんびりした旅がしたかったんだよ。のんびりお茶でも飲みながら、おしゃべりしながらさ。」


それに対し、アンが反応する。

「のんびりっていうには揺れが大きすぎない?お茶もこの揺れじゃ飲めないし。」


「ん、飲もうと思えば飲めるよ。ほら、こうすれば・・・」


隆康は魔法【物体浮遊(レビテーション)】を自分にかけ、馬車のなかで少しだけ浮くと、収納魔法(イベントリ)からお茶セットを取り出す。

この物体浮遊は、高速走行中の馬車で浮いても、空中でおいていかれることがないように設定しており、術者の認識からあらゆる場所を基準として浮遊できる。


これを応用すれば、なにか高速飛行する砲弾などを基準として認識すれば、そのスピードで術者もぶっ飛ぶことができる。


安全は保証されないが・・・


「ほら、みんなもどうぞ。」


アンやセシリア・オリビアにもその魔法をかけ、さらにお茶セットにも魔法をかけてふよふよと三人のもとへと移動させる。


「あいかわらず、タカくんのやることは無茶苦茶ね。」


「私たちもそう思いますわ・・・」

他の二人も同意しているようだ。


自分でも自重する気がないことくらい気づいている。


さらには、この物語は自重なぞしないのである。


「魔法は生活をより良くするためにどんどん使うべきなんだよ。この旅の帰りは馬車自体を改造して揺れなくしよう。そうすれば、こんな魔法を使わなくてもいいんだ。」


アンたち女性陣は顔に手をやり、もうこの男は手遅れだと言わんばかりにため息をついている。


おい、乳娘ども! その態度は失礼なんじゃないか!?普通そんな態度をとられれば何かしらの揉め事になるぞ!


・・・と、思ってみちゃったりして。


まぁ、俺は耐久力のおかげで気にならないし、気にしないけどね。

この耐久力のおかげで(せいで)、怒りの感情ってのが少ない気がする。まさに、枯れたジジイの心境、明鏡止水の今日この頃です。


このままのんびりと、馬車旅を続けていると、辺りは茜色に染まり、景色は夕闇に沈み始めた。


御者台からゴロリが声をかけてくる。


「今日はこの先の大きな木の根本で一泊しますよ。到着後は食事の準備と寝床の準備をします。また、夜は二人ずつ、3時間交代で不寝番ですよ!」


「はーい。今日の夕食はなーにーかなぁー。」


鼻唄を歌いながら返事をすると、まわりの女子三人にあきれた顔をされる。


少し、テンションがおかしいのは許してほしい。昨日から寝てないからだ。


そうこうしていると、草原に大きなくすの木が一本だけたっている場所へと到着した。


「はい、ここで宿営準備です。降りた、おりたー!」


ゴロリが皆を馬車から降ろし、宿営機材を下ろそうとしている。


「あ、ゴロリ待って!宿営はこれを使おう!」


そういうと、隆康は収納魔法(イベントリ)を開き、右手でよいっしょと物体を引き出す。すると、その物体は前方の草原の上へ、急に大きくなりながら展開した。


それは木製のログハウスであった。


「これに泊まろう。宿営準備も楽でいいし、火や水も中で使用できるよ!皆の部屋もあるし。」


「タカレーン様、これはどういう魔法ですかぁ?」


オリビアが聞いてくる。


「これは出発前までに数体のゴーレムたちに作成させてたログハウスだよ。それを収納魔法へと入れてきたんだ。鞄へも収納魔法を付与してるんだけど、さすがに家は入らなかったんだよねぇ。」


「うん、アタシはもう考えるのをやめたよ。タカくん、入ってみていい?」

アンがそう聞いてくるので、どうぞどうぞと了承する。


「さあ、セシリアもオリビアも中へどうぞ!ゴロリは馬車をこの入り口のところへ動かして、馬はログハウスの東側に馬小屋がついてるので、そこへ入れてあげて。飼い葉もついてるから。」


こうして、一日目の宿泊は野宿というよりはキャンプ場でのお楽しみ会レベルとなったのであった。


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