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第2話 はい、異世界です。

異世界に来ました。 いろいろ試すところがお約束です。

そして、プロローグのゴミ捨て場に舞台はもどる。


 隆康は周囲を確認するのであるが、とにかく身体が重い気がする。自分の身体をまず確認しよう。そう思った隆康は、立ち上がってギョッとする。

 

右となりに置いてあるゴミ箱が自分の肩くらいまであるのである。


おいおい、ちょっと大きすぎない?このごみ箱。 ん、もしやこれは異世界転移によくある、お約束か?



そう、お約束により、隆康は背は低く、手足の大きさもまさに子どもに転生しているようだ。


「まぁ、なんにしても転生できてよかったなぁ・・・。これからどうしようかとも思うけど、まぁ、いいや~~。  なんとかなるさ。」


 そうして、隆康はそうそうにお約束である、自分探しに行くことをやめ、ごみ箱のふたのうえに座り、大きく息をはく。


「はぁ~~~、臭いはずなのに、全然嫌じゃないなぁ・・・。あぁ~、鈍感力かねぇ。これが。」


 このごみ箱の上に座る少年を見ていた通りすがりの乞食が、彼のことをプロの物貰い(乞食)だと仲間に語っただとかいうのは、また別のお話である。


「とにかく、耐久力もとい鈍感力は分かった。 あとは、魔力の確認と魔法、それに魔導かぁ。


どうやって確認するんだろう?  力とかふんって入れたらなんか出ないかなぁ。」


隆康は鉄アレイをイメージしながら、腕に力を入れてみた。


すると、どこからともなく、手元が霞がかり、10秒ほどして手元にずっしりと重みが残る。 


そう、鉄アレイである。  そして、その手元の重さとともに、身体や特に頭に大きな倦怠感を生じさせたのである。


「ふむ。創造力=想像力っていうのも、嘘じゃないんだなぁ。あと、それには代償があるってことか。

この世界に鉄アレイってあるのか、知らんけど、もしかしたら、こちらの世界とあっちの世界とでギャップがあるものほど、代償がでかい気がするなぁ。」


うん、とりあえず慣れだ。ビーアンビシャス。


変な感じで女神の言葉を覚えてしまった。まぁ、いいや。


そんなことを考えているとき、隆康の頭の中に、急に安藤の言葉が蘇る。


― 映画とかでさぁ、兵士で気を抜いてるやつや大丈夫って自信を示したやつって、なぜか真っ先に死ぬよなぁ。頭とかぶち抜かれて。 あれって、注意力散漫なやつは死んじまえっていう神様(映画監督)の考えだと思うぞ。 ―  


 ほんとに安藤の言葉は、人の心をざわつかせるのである。よし、気を付けよう。そして、安藤語録その1として心のメモにチェックしつつ、周囲を警戒するのだ。


そんな風にごみ箱の上で、周囲を警戒する少年に向かって、大通りのほうから擦り切れた服を着た、大柄の男が大股で近づいてきた。


 ほ~ら、警戒していてよかった。これはカツアゲか、カツアゲなのか。まぁ、耐久力で死なないらしいし、暴力振るわれてもなんとかなるさ。


 そういえば、隆康は自衛隊の訓練においても痛みにはめっぽう強く、厳しい経路の行軍訓練などでも脱落などしたことがなかった。レンジャー訓練を原隊復帰したのは、足が逆向きになっていたのを発見した助教や教官が無理やり診察を受けさせられ、ついでに腎臓破裂に内蔵がいろいろやられていたものだから、医務官判断で原隊復帰となってしまったのである。


そういった昔のことを思い出していると、その大柄の男はこちらに寄って来ると、恭しく一言述べた。


「タカ様、そろそろお家に帰られませんと、御父上がお探しでしたよ。私、ゴロリも叱られてしまいます。」


 そう言った大柄な男、ゴロリといったか、まさに某N〇Kのめがねのワク〇クさんの相棒のクマのような体格をした男は、クマであるのは正しいのだが、相棒のクマのように下半身がしもぶくれているわけではなく、むしろ、上半身が逆三角形のガチの熊であった。


「ねぇ、ごろりさん、俺の父さんって、何してる人だったけ?」


「タカ様、お戯れですか?あ~、もう、またこんなひどい臭いのところで、くつろがれて。


御父上はツアード・ノル・マックレーン、この鉱山街の街長でしょうが。そして、あなた様はその次男様、ツアード・ノル・タカレーン様でしょう。  臭いで頭をやられましたか?  そして、ごろりさんなんて、さんづけもやめてください。 私が奥様にシバかれますからね!!」


「あー、母さんはちなみに何してたっけ?」


「奥様はツアード・エルル・メリッサ、この街の商工会長です。 さぁ、家に帰りますよ。」


そういうと、ゴロリは隆康を肩に担ぎ、すごいスピードで屋敷へと戻っていくのであった。




担がれたまま、隆康はいろいろ街並みを拝見する。


あ、八百屋みたいなところで、果物や野菜売ってる。でも数少ないなぁ。


あっちは、金物屋かな? 鍋やらおたまが置いてある。しかし、その二つだけ? 


あ、ほかの店はもう閉まっている。これゴーストタウンっていうんじゃないの?



それらを見つつ、隆康は考える。



 俺の名前、ツアード・ノル・タカレーンっていったけ。タカ様って言われてたから、通称タカね。 この街長と商工会長の次男だから使用人のゴロリがいるんだろうけど、このさびれた街だと、もしかしたら街長の家も貧乏かもしれんなぁ・・・。  はぁ、憂鬱だ・・・。 いや、言うほど憂鬱じゃないんだけどね(笑)

 こんなときでも耐久力は健在みたいだ。

とはいえ、こんな大変な街のことは兄さんにでも任して、おれは俺で悠々自適な生活でも決め込もう。お金がなければ、自分で稼ぎに出ればいいしね。  創造力を鍛えておいたほうがいいな、うん。


そうこうしていると、隆康は、いや、タカは自分のうちに到着した。


うん、この世界では名前はタカレーンみたいだから、俺は普段、愛称タカで生きていこう。


 そう決意していると、扉が開かれ、中から黒髪と銀髪が半々で長髪、切れ長な目が良い意味で特徴的な、いわゆる美女が黒いエプロンをして出てきた。


そして、ごろりはその美女に声をかけ、


「サフィア、タカ様を風呂にぶちこんで綺麗にしてやってくれぃ。汚いゴミ箱に座って汚れてしまってるんだ。」


サフィアとよばれた美女はうなずきつつ口を開く


「タカ様、何度言ったら分かるんですか。街でふらふらせずに、お家で勉強でもしてください!!行きますよ!」


そうして、タカは言い訳をすることもできずに、すっぽんぽんで丸洗いされてしまうのであった。









異世界でゴロリ美女サフィアに出会い、すっぽんぽんで丸洗いされました。

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