第27話 戦後処理
戦闘は完全にこちらの勝利であった。しかし、一人残らず捕虜か死体としてしまったので、南東門と南門の前には戦いのあとが色濃く残っている。つまり死体が野晒しだ。
この街は南側に王都がある関係で、南側が一番活気があり、交通量も多いのに、街の周辺に死体がそのままなのは非常に不味いのである。
伝染病の予防という観点からも良くない。
なので、街の人間に死体からの略取も許可して、死体片付けを手伝ってもらうことになった。後に、この死体たちが着ていた防具や武器などが修理され、街外へと輸出され、すぐにでも経済効果が出るだろう。
あ、あと捕虜だな。こいつらは指名手配がかかってた奴は処刑されるが、それ以外の奴は犯罪奴隷として売り払われることになっている。まぁ、根掘り葉掘り情報を搾り取ったあとであるが・・・ いまは恐ろしく怖い外見の拷問官型ゴーレムを使って、聞き取りをしている。
それらが終わってやっと売り払うことになるが、奴隷紋という強制魔法によって反乱や主への反抗を封じられる生活を送ることになる。
正直こいつらを全員殺してしまっても良かった気がするが、すこしはコロンの街のためになってくれないと、襲われた隊商の人たちが報われない。
奴隷として売り払ったお金から補償も払われるからだ。
あ、そうそう、補償で思い出した。助かった隊商の人たちに少し事情を聞いてみよう。
医務室へ行ってみた。そこではセシリア、オリビアに介抱される隊商の男二人と女7人がいた。
一番近い女の人に声をかけてみた。
「大変でしたね。お加減はいかがですか。」
「あっ、はい。おかげさまで・・・」
「すこし、お話をお聞きしたいのですが、あっ、私はこの街コロンの長ツアード・ノル・マックレーンの次男、ツアード・ノル・タカレーンです。」
「あっ、あたしはノリントン商会で働いてます、女中のメーネです。種族はハーフエルフです。」
出た!エルフだって。少し耳がきれいだと思ったのはそういうことか。
「メーネさん、盗賊たちに襲われたときの状況を教えていただけませんか?」
メーネは辛そうな表情をしつつも、意を決してゆっくりと話してくれた。
「私たちが襲われたのはコロンの街から20㎞ほど南側の場所です。そこのあたりには廃村があり、井戸がありましたから、このあたりを通過する隊商の休憩地点のひとつなんです。
私たちはそこで休憩をとっているときに襲われました。
隊商の長である、商会長ノリントンはそこで奴らに弓矢で殺されました。商会で働く男や護衛の冒険者たちも数には敵わず、皆殺されました。あたしたちも皆逃げたのですが、殺されるもの捕まって嬲りものされるものなどいろいろで・・・あたしたちは後者です・・・」
「ありがとう。つらいことを思い出させてすみません。最後にひとつ、なんのためにこんな数の盗賊が集まったのか言ってたりしませんでしたか?」
「いえ、覚えがありません。すみません。ただ・・・」
メーネは思い出すために考え込みつつ、言葉を1回切った。
「・・・たしか、盗賊たちに統一のリーダーはいないように見えました。各グループごとにリーダーがいるように、グループ毎で、私たちは戦利品を取り合ってましたので・・・」
ふーむ、ではやはり盗賊団の自然発生ではないわけだ。誰かが仲立ちをしたり、資金を流さないとあんな大きな盗賊団は出来上がらない。
「ありがとう。つらい思いをしつつも、話してくれたおかげで大変に貴重な情報を知ることが出来ました。これからどうするおつもりですか?」
「私たちは行くあてがありません。もしよろしければ、この街で働かせてほしいのですが?」
「分かりました。父に話しておきましょう。もし困ったら私たちの屋敷に来なさい。分かりやすいとこにあるはずだから。」
そう言って隆康はメーネと別れた。
あとは尋問中のゴーレムの成果を見に行くとするか。
そうして、隆康はうす暗い地下牢への道を進むのであった。
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やはり嬉しいものですね。
ありがとうございます。




