第23話 鉄と薬草
何も起きない会で、のんびりと仕事をして終わります。
作業場での作業をアンは少し離れたところから眺めていた。
相変わらず隆康はテキパキとポーションを作ってみせ、セシリアとオリビア姉妹に見本を示している。
セシリアたちはさすがに魔法を学ぼうと言うだけあって、魔力は多いのであろう。はた目から見ても多すぎだろうと言う魔力を込めたり、繊細で消え入りそうな量の魔力を灯したり、試行錯誤をしているようである。
その姿をじっと見つめ、ときにはアドバイスをしているタカレーンの姿は少年には見えず、熟練の魔法つかいを思わせるのであるから不思議である。
その実、アンより年下の少年なのにである。
アンは鉄鉱石を精錬する作業を途中までやっていたのであるが、タカレーンたち三人が気になってチラチラと見ていたのである。
タカレーンは二人が作業を終え、休憩に入るとこちらに向かって歩いてきた。
「ふぅ。一通りは教えられたかな。あとは反復練習あるのみだ。アンはどんな感じ?」
アンは鉄鉱石をひたすらたたき、焼き上げ、また叩きを繰り返していただけである。
「うん、まだ鉄としてどうとかいう段階ではないけど、順調だよ。そっちはどう?」
「あぁ、二人はやはり筋がいいね。もうすぐ売り物になるレベルまで仕上がるはずだ。もし売れるレベルになったら、アンの鍛冶屋に来た冒険者に売っても良いな。誰が来ても、ポーションは必需品だろうからね。」
「アタシは別に構わないのだけど、セシリアちゃん、オリビアちゃんはいいのかな?」
「二人も生活費を稼ぐためだから構わないといっている。宿はうちの家に部屋があるからそこを貸す予定だ。」
アンはびっくりしてタカレーンの方を二度見してしまった。
「えっ、えっ?二人と一緒に住むってこと??嫁入り前の娘と、若い男が同じ屋根の下で?」
「いやいや、そんな大事じゃないって。うちって、お手伝いとか守衛とかのおっさんも住んでるし、部屋とかいっぱいあんだから、下宿みたいなもんだよ。部屋は一つじゃないんだから。」
そうは言ってもアンは納得できていないのである。
このあと、アンはタカレーンたちをチラチラと見つつ、鉄の精錬を続け、気がついたら、鍛冶屋の鉄鉱石すべてを鉄に仕上げ終わっていた。
セシリアとオリビアは、日用ポーション作成の魔力の込め方を完全にマスターし、中造級のポーションにとりかかったようだ。
「タカレーン様ぁ、ここの調合はこれでいいんですかぁ?」
オリビアがすりばちをタカレーンに見せつつ、胸の谷間を寄せている。
はぁー、なんで私の胸はこんなに小さいんだろぅ・・・。
アンは心のなかで小さくぼやく。
セシリアはもくもくと薬草をすりつぶし、ワイバーンの爪を粗く砕き入れる。
その際もまた大きなメロンのような胸が上下にボヨンボヨンと波
打っていた。
オリビア、セシリアの双丘を呪いつつ、アンは休憩のためのお茶とお茶請けを用意することにした。
最近、お気に入りのハーブティーとクリームをつけているクッキーである。
このクッキーは包丁やらなんやらの即売会のときにいっぱい買ってくれたマダムの家がお菓子屋さんで、そこから新作をいただいたものである。
街中のお店は大体顔見知りで、いろいろ物々交換も可能で、アンの鍛冶屋は当然刃物類や、金物全般を提供するとともに、修理なんかも請け負うのである。
「よし、お茶の準備完了ー!
みんなー、ひと休みしようよー!」
そうやって、声をかけ、アンは三人の輪の中へと入る。
うじうじと悩んでたことを忘れ、お茶やお菓子に幸せを感じるアンなのであった。
アンがうじうじと悩んで、お茶飲んで忘れます。




