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第22話 アンの鍛冶屋にてポーション作り

あれから飲み会は深夜まで続き、飲みまくっていたオリビアはともかくとして、チビチビ飲みをしていたセシリアに続き、酒豪のアンまで酔いつぶれて、隆康は非常に困った。


店員さんは台車を貸そうかと提案してくれたが、それを丁重に断ると、三人をおんぶと両肩に抱え、店を出た。


なぜそんなことが出来るかというと、創造(想像)力で引き出した魔法で、千本手(サウザントバンド)の古代魔法により、おんぶのセシリアの尻を増やした手で支え、同じように増やした手でオリビアとアンの腰を支え、とりあえず、アンの鍛冶屋まで連れてきた訳である。


オリビアを背にしなかった理由は明白である。オリビアはミニスカ過ぎておんぶすると間違いなく下着が見える。


隆康の下半身は不動なのであろうが、まわりの酔っぱらいたちの下半身を隆起させるのは本意ではない。


アンでも良かったが、そこはそれ。隆康も役得をとった訳である。セシリアの大きな双丘が背中にポヨヨンとあたり、気持ちが良い。


これくらいなら問題にならんだろうと、外見は子供で中身がオッサンな隆康は、非常にチキンな選択をしたのである。


よく、据え膳喰わぬは男の恥とか言うけど、どこの世界に弟子とか子供に手を出すやつがいるよ!?


まぁ、元の世界でも教え子に手を出しちゃった先生とか、いろいろいたけどな。

そこはもうその人個人のモラルや信条によるところが大きいのである。


さて、アンはベッドに寝かせるとして、オリビア、セシリアはソファーとかに安置するでいいな。


そして、隆康は三人が風邪を引かないように、三人の周囲に「温暖(ウォーム)」の魔法をかけ、自分はイスに深く座り、寝ることにした。



あー、楽しかったが少し疲れたな・・・。明日はなにしようかなぁ・・・


・・・



深夜、ぐっすり眠る三人のうちの一人、セシリアが目を覚ました。


セシリアは目を擦りながら、見慣れぬ場所であることに気がつくと、周辺を見回し、オリビアを見つけ、アンもベッドに確認し、そして最後にイスで寝ている隆康を目にした。


セシリアははにかんだ笑顔を浮かべて、隆康の前に歩いてきた。


「今回の宴は楽しかったです。周りの人達と貴方は違い、好色の目で私たちを一度も見ませんでしたね。


それに酔いつぶれたときも三人も連れ帰ってくれて・・・ほんとは少し意識があったんです。どうしても、男が信じられなくて、あなたを信じようとするのが怖かった。


あなたが私たちの無防備な状態に手を出してくれたなら、私が男を嫌うのは間違いじゃなかったと思えるのに・・・


貴方は本当に格好いい人です。歳は幼いんでしょうけど、私たちの師匠にもなってくれて・・・


今後ともお慕い申し上げます・・・


これからもよろしくお願いしますね・・・」



セシリアはそう呟くと、隆康の唇にソフトなキスをすると、再び寝床であるソファーへと戻っていった。




隆康には実は意識があった。イルカのように右脳と左脳で交代に寝れるよう、古代魔法「交互睡眠」を使用して、右脳と左脳のみならず、上半身と下半身も交互に寝れるよう、休めるように魔法でコントロールしていたからだ。


理由はチンピラの仲間たちが仕返しにくるんじゃないかと警戒していたからである。


しかし、丁度上半身を休めているところでセシリアの奇襲があり、気まずさからたぬき寝入りを決めこんだのであった。


当然、下半身は寝てなくても不動なので、ぴくりとも動かず・・・、頭ではぐるぐると先程の光景が繰り返し、混乱状態である。


こんな好意を向けられるのは初めてだ。


やっぱり顔か!?顔なのか?


これまで隆康はモテたことも、いやいやそもそも女に声をかけられたこともなかった。

それが商売女であっても同じで、なぜか夜の街でさえ誘われないのであった。


それが今や、ゲルマン系のイケメン顔である。ウジウジと暗い気持ちをほじくりかえしつつ、隆康はムクリと起きた。


まだ朝5時半。部屋のなかはまだ薄暗い。


ちかくのソファーには大股を開いて下着全開のオリビアが、セシリアの上に脚を乗っけている。


こっちが恥ずかしいのでそっと毛布をかけてやった。


セシリアはあれからすぐ寝たのであろうか?オリビアに脚をのせられて寝苦しそうな顔をしている。


アンはベッドから半分落ちかかっており、なんとかシーツで引っ掛かっているような状態である。



あー、目が覚めてしまった。


さて、今日は何をしようか・・・。


そういえば、鍛冶屋のほうをもう少し軌道にのせないといけないな。

アンの技術力は知れ渡っただろうし、今日はもう少し何か手を加えるかな・・・。

朝食までの時間、静かに考え込む隆康であった。




場所はうつり、アンのうちのキッチンには人が集まり始めた。

最初はやはり隆康で、二番手はセシリア、三番がアンで、最後にオリビアである。

「おはようございまぁす。」オリビアの元気な挨拶が耳に心地よい。


「あぁ、おはよう。」「おはよう、オリビア。」「おっはよう」


それぞれ、隆康、セシリア、アンの順で挨拶を返す。


全員の食事は隆康がちまちまと準備していると、セシリアがサッとやってくれたので準備完了である。


献立は、トーストのトマトチーズのせ、キャベツみじん切りの夏野菜サラダに、ヨーグルトとチーズで、鶏ガラスープがついている。

ヨーグルトにはブドウを潰したジャムが乗っており、色鮮やかである。


朝の献立としては上等な部類で、アンなんかは目を輝かせている。


「セシリアは料理が得意なんだね。すごく美味しそうだ。」


「ありがとうございます。あまり大したものは作れませんでしたが、お口にあえばと思います。」


セシリアはそう言うと、頬をやや赤らめて微笑んだ。お世辞抜きに可愛いらしい。


おじさんとしては守ってあげたいタイプだな。 まぁ、いまの身体は少年なんだけども。


「さて、皆揃ったし、ご飯を食べよう。皆、二日酔いとか大丈夫かい? なんなら、錬金術の応用で薬草を薬にしてみるけど?」


「タカレーン様ぁ、二日酔いじゃないですけどぉ、その工程を見てみたいですぅ。それに今度は飲みすぎになるかもしれないし(笑)」

「私も見学しても良いでしょうか?」


セシリアも同様に伺いをたててくる。


「うん、いいよ。じゃあ、このあと、午前中は薬作りだな。アンは鍛冶のほうをするでしょ? その隣の作業場を借りていい?」


「ええ、良いわよ。アタシは鉄鉱石を精錬するだけだから、空いているところは使って良いわ。」


アンに了承をもらったので、心置きなく作業をすることにしよう。


さて、今日は薬作りについて整理していこう。


まずは、薬草を煮詰めて魔力を通しただけの日用級ポーション。


均一に混ぜれば大体成功だ。

ボトルは創造でチャチャッと作って、ポケットから出したことにした。


お次は、中造級のポーションで、薬草にハーブとシロツメクサのエキスをいれて煮詰め、ワイバーンの爪をいれる、いれないで等級が変化するらしい。ワイバーンの爪が二本以上で中造(なかつくり)級の甲、一本で中造(なかつくり)級の丙、なにも入らないと中造(なかつくり)級の丁になるらしい。


大造級以上を作ろうとおもったら、素材も機材も足らず、なにより時間も足らないだろう・・・。


ドラゴンハーブや、フロンティアフラワー、シャボンスイラン、ドラゴンのヒゲ等、どれひとつとして簡単には入手できないものが必要となるのである。


今日はただ、オリビア、セシリアに薬の作り方を軽く見せるだけであるので、間に合わせの素材で作るだけなので、日用級のポーションで良いかもしれない。


ただ混ぜて魔力を注ぐだけではあるが、その注ぎ方で品質が変わるみたいなので、その注ぎ方について教えてやるとするか。




食事が終わり、セシリアを筆頭に女三人は洗い物へと取りかかったので、隆康は作業場において薬草やかき混ぜる道具等を準備することにした。


漏斗や、すりこぎ、ボウル、攪拌棒は年季が入っているので、代々アンの家で使ってきたものであろう。


あとは、その辺に生えている薬草の一つで、ヨモギのような葉っぱのヨモカズラを机の上に置いて準備完了である。


しばらくすると、アン、セシリア、オリビアの三人娘が作業場に入ってきた。



「こっちは言ってた通り、ポーションを作るからね。いろいろ道具を借りたよ。」


「いいわよ。道具はすべて古くて申し訳ないんだけれどね。」


アンはいささか申し訳なさそうである。


「まったく、問題ないよ。ポーション作りで道具の力が必要なのは大造(おおつくり)級からだよ。


今回は簡単なポーションへの魔法の込め方を二人には教えるから。それでいいね?」


セシリア、アンに目をやると二人は頷く。


「それでは開始だ!」


隆康はすりばちへとヨモカズラを3束ぶちこみ、棒ですりつぶす。

この際に、やや弱めの魔力を入れるのである。


「いきなり、魔力を込めるポイントだけど、これは、イメージとして鼻から息を吐き出すときの脱力感を感じながら魔力放出をすると上手く均一に込めれるよ。やってみるかい?」


早速、セシリアとオリビアにやらせてみる。


隆康は最初に混ぜた見本に「状態維持」の魔法をかけ、作業を一時停止する。


セシリアは魔力が小さすぎて上手く捏ねられておらず、オリビアは一部の魔力が強すぎで、バランス的にバラバラな印象である。


「あー、二人とも少しバランスが不均一かもね。ここは、こう脱力系で魔力を込めるんだよ。」


隆康は魔力の流れが分かりやすいように、二人の手をとると、手を繋いだまま、彼女たちの手から隆康の魔力をすりばちへと注ぎ込ませた。


「これがタカレーン様の魔力ね。とても温かくて気持ちが良いわぁ。」

「そうですね。非常に優しい力がすーっと身体を抜けていった感覚でした。」


二人はしっかりと体感してくれたようだ。


「そえ、その感覚を忘れないようにね。その魔力の使い方をマスターすれば何にでも応用できるし、節約になるはずだよ。」



彼女たちは感覚をつかんでからは一辺に作業を終え、隆康のアドバイスを聞いて試してみてを繰り返した。


この日の事が、後の世に「薬学の双神」と言われる二人の伝説の走りであったことはまた別のはなしである。





アンのうちに皆でお泊まり。


隆康は手を出しませんでした。


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