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第21話 弟子の技能検定

料理屋「肉づくし」での宴会は続く。


アンは、セシリアとガールズトークに華をさかせているようだ。


オリビアは周囲の野郎共を誘惑?してるかのように振る舞い、からかって遊んでいる。


なかにはあからさまな下ネタをぶつけてくる酔っぱらいにも、さらにどぎつい下ネタで打ち返し、結局酔っぱらいも男としての自信を潰されたようでしゅんと大人しくなった。


俺はちょっとトイレ、ということで席をたち、数分後戻ってみると、うちのテーブルはまぁ見事に酔っぱらいやらチンピラに取り囲まれて、大騒ぎになっていた。


急いでもどり、親父どもの間をぐにぐにーっと押し入って、現場の渦中へと入ってみると、オリビア対チンピラ6人の構図が出来ていた。

とりあえず仲裁しようとすると、こちらにチンピラの注意が向き、なにやらまくし立ててきた。


「なんだ、このガキ!!テメェみてぇなチビが入ってくる場所じゃねぇ!帰んな!」


とりあえず、このチンピラは無視しようと決め、対するオリビアに事情を聞いてみると、どうやらこのチンピラたちがセシリアの乳や尻を触ってきたらしいのだ。それに対し怒ったオリビアと、逆ギレしたチンピラという構図らしい。


周りの野次馬はどちらかといえば、オリビアに好意的らしい。


それならば、こいつらをシバいても問題にはならんだろう。


そう考えているのもつかの間、オリビアがさらにチンピラをこきおろす。

「あなたたちのほうが器もナニもこの子より小さいでしょぉ。男としてのプライドも持てないような痴漢たちが、高貴なお人に口を聞いてんじゃないわぁ。」


オリビアが抑揚もなく、たんたんと言う台詞は背筋が凍るほど恐ろしいものだった。


横で、被害者のセシリアが教えてくれた。

「オリビアは普段明るい分、怒ると周りが凍りつくほどの冷たさを出すんです・・・。あの状態って、氷魔法でも使ってるの?って本人に聞いても、使ってるつもりはないそうです・・・」


いや、これは自動発動型の魔法特性なんじゃなかろうか?


なんか目に冷気が見えだしたことから、周りの野次馬たちもザワついた。


当のチンピラたちもヤバイというのは気づいているのかもしれないが、もう後には引けないのであろう。


ついにオリビアのプレッシャーにビビったチンピラの1人がオリビアに襲いかかってしまった。


まずいと思い、隆康が間に割り込もうとする前に、セシリアがそっと肩に手を触れて制止した。


「大丈夫ですよ。オリビアは。むしろあの相手の方がこのあと五体満足でいられるかが・・・生きているかが心配です。」



そういうことならと、むしろ隆康はことのなり行きを見守ることにした。


相手のことは別に気にしていない。


弟子となったオリビアの力を見ておきたいということと、被害者としてもっと相手を非難してもいいであろうセシリアの、優しさに免じてである。


それはそうと、オリビアはどうしたかというと、襲いかかった男をこともなげにかわすと、相手の背後をとった。


なにをするのかと見ていると、大きく脚を振り上げ、相手の股下を上へ蹴りあげた。


周りの野次馬たちも一瞬ひるむほど、キーンという金属音が聞こえた気がした。


その男は股間を押さえ、泡を吹いて崩れおれた。

そして、オリビアはどうしたかというと崩れ落ちた男の側に寄り、再び股間を蹴りあげた。


今度こそ止めとなったのか、男は動かなくなった・・・。


男の仲間たちはまったく動けない。


いや、隆康も動けなかった。恐ろしすぎるぞ、オリビアさん。


オリビアは止まらない。今度は最も近くにいて動けなくなっている、小者風のチビ男に近づいた。

その男はとっさに股を閉じて股間を守ろうとする。


しかしオリビアは蹴り上げをすることなく、そのチビ男の顎へと膝蹴りをかます。鼻血を出しながら後ろへと倒れる男を追いかけ、オリビアはやはりその男の股間を強烈に踏みつけた。


その男もやはり泡を吹いて動かなくなった。


六人のうち二人をやられてようやく我にかえった男たちは、三々五々、オリビアへと拳を繰り出す。


すると、オリビアはさきほどまでの肉弾戦をあっさり捨て、簡単な魔法詠唱とともに氷の矢を男たちに浴びせた。


当然、男たちは防ぐこともかわすことも出来ずに、手足を撃ち抜かれている。


20~30本くらいの氷弾を使用したみたいだが、それらは全て男たちに命中している。すごい腕だ。


男たちは呻き声をあげつつ、床に横たわる光景が隆康の目の前にあった。


「お、オリビアさん?店の中だから、そろそろやめにしよう?」


「あら、タカレーン様。いやですよぉ、オリビアさんだなんて、オリビアと呼び捨てにしてくださいまし。それにまだ蹴りをつけてませんからねぇ。」


隆康は「ケリをつける」の語源がほんとに蹴りつける、ということじゃないか、と割りとどうでもいいことを考えながらも、話をつづける。


「まだやるの?彼らは戦意喪失してそうだけど?」


それでも彼女は、いいえまだですと笑いながら答え、ツカツカと歩きだし、やはり踞る男たちの急所を蹴りあげていき、最後のリーダー格の、セシリアの乳・尻をさわったうらやま・・・不逞な輩には(ヒール)での金たま潰しに加え、グリグリと氷弾の傷をえぐっている。


オリビアが蹴りをつけたところで、場は解散となり、あとには隆康たちと気絶した男たちが取り残される形となった。


その頃になってやっと店員が姿を見せ、男たちに水をぶっかけ、叩き起こしている。

そしてそのまま掃除に入った。


「店員さん、騒がしてすまなかった。これは詫び代だ、とっておいてくれ。」


銀貨5枚を机に置いて隆康が声をかけると、その女店員さんは掃除の手を止めず答えてくれる。


「うちは賑やかなほうがいいから、ものが壊れてないなら詫びはいらないよ。ただな、そこの姉ちゃんねぇ、男どもが縮み上がっちまって、お開きになっちまったじゃないかぁ。


女としては痛快な気分がしたけどねぇ、店側としては複雑なのさ。」


「あらぁ、ごめんなさいねぇ。いい男は好きなんだけど、無価値な男はどうしても許せないのよねぇ」


オリビアはまったく反省していなさそうに謝る。


セシリアも口を開き、店員に詫びている。


「まぁ、とにかく、どこかで飲み直します?酔いとかも覚めたんじゃないかしら?」


アンがそう提案してくる。

それに便乗したのはオリビアだ。


「それはいいわねぇ。あたしも飲み直したい気分なのよぉ。嫌な男のことは飲んで忘れるのぉ。」


「あー、飲み直すならうちでそのままやってくれないかい?今日はもうこれから客もそんなに入らないだろうし、少しでも売上を増やしておきたいからね」


店員さんはそう提案してくれた。


飲み直すのはいいとしても、しかし、騒いだ料理屋でそのまま飲むというのは少し気がとがめるが、店側がOKなら問題ないだろう。


「じゃあ、そういうことならまたここで飲ましてもらおうかな。」


「あいよ、飲み物は何にする?なんなら、つまみもさらに用意するよ?」


「じゃあ、果実酒を四人分ください。あとは、パンと何か付け合わせの食べ物をいくつかね。」


食べ物を注文すると店員さんは奥の厨房へと消えて行った。



「さてと・・・。オリビア、もめごとを起こすなとは言わんし、あの程度の小者たちでどうにかなるとは思わんが、店に迷惑がかかる決着方法は避けないとな。気に入った店に行きづらくなるのは良くないしな。」


「そうですわね。その件に関しては申し訳ありませんでした、タカレーン様。私としましても、弟子として初めて一緒に入った店を汚されたくはなかったのですが、野次馬の方たちに取り囲まれてしまい、外にも出れなくなっていたのです。」


「そうか。確かにすごい人だかりだったしなぁ。まぁ、オリビアの実力が分かって、いい機会といえば良い機会だったな。というか、オリビア、君の扇情的な格好も人を集めた理由のひとつだと思うよ。」


実際、オリビアが蹴りあげた際にミニスカートから太ももがチラチラ見えるだけで、周りの男どもは、オーっと歓声をあげていた。


男への膝蹴り時も、おそらく蹴られた男は天国と地獄をダブルで味わったことだろう。

あとは、格好もそうだが、その胸の破壊力である。セシリアは大人しい清楚な格好にも関わらず、今回のような痴漢によく遭うらしい。


それはそのはずで、清楚なところからそそりたつ山とその谷間によって、むしろ、いやかなりといっても過言ではないほど・・・エロいのである。


とはいえ、それでも隆康の下半身は不動であるのだが・・・。



その日の飲み会は高安たちだけで夜遅くまで続くのであった。







オリビアの実力が少しだけ出ました。


セシリアはまだ未定です。

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