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第19話 新たな出会い

あれから、時間はたち、日が傾き始めた頃、隆康とアンは苦境に立たされていた。


あの最初に包丁を買ってくれたおばちゃんが再び現れ、さらに多くのおばちゃん仲間を連れてきたのだ。


そして、彼女たちはそろって包丁を買って行ってくれるのだが、皆さん人が切れない包丁を求めてるようで、途中で在庫が切れてしまった。


他の作品も買っていってくれるのだが、すごく残念そうにしているので、追加で傷害防止の効果を付与することにした。


それがいけなかった・・・。


即売会を遠目から見ていた、そとの街から来たであろう、旅人風の女性に効果付与の現場を見られてしまい、猛烈に詰め寄られる羽目となってしまった。


この女性は旅人にしては身なりがかなり小綺麗で、大きな胸を大胆に強調した赤の上着に、腿まで大きく切れ込みの入ったスリットスカート、腰にはショートソードを帯びており、なかなか年季が入った装備に見受けられる。


この女性に詰め寄られ、胸が顔に当たり息苦しい。さらに、後ろからはアンがすごくつねってくる。痛みはないのだが、これ痛い気がするのは耐久力をアンが凌駕してきてるのかな?


とにかく隆康はなぜ詰め寄られてるのかが理解できなかった。


「ちょ、ちょっと胸を押し付けるのをやめろ!」


グイッと胸を片手で押し上げる、隆康。


「アンっ 乱暴にしないで。


やっぱり子供には効かないかしらね、この技も。」


あっさり、身体を離すとそんなことを言う冒険者風の女。


前世の隆康ならば鼻の下を伸ばして、分かってても落ちていたであろう。ハニートラップとはそういうものである。

しかし、自衛官にそういう類いの罠をしかけ情報を搾取しようとする某隣国の諜報員が多いし、噂によるとハニートラップを仕掛けられてる可能性ありと上司に報告すれば、官費で良い思いができ、渡してもいい情報を渡されるという噂は本当なんだろうか?


再び思い出す、安藤語録。

『なぁ、隆康。俺たちはジャニ○ズか、超有名な俳優ほど顔貌で勝負すべきか?そう思ってるなら鏡を見て、自衛隊中央病院の精神科病棟へ行け。

俺たちの顔にホイホイ女が寄ってくる訳がない。水商売の女が寄ってくるのはいい。あれは明確に金のためという目標が定められている。それ以外で接近してくる女は明確に俺たちの何かを手に入れようと思っている。それは情報なのか、自衛官が乱れた生活、というゴシップネタの作成なのかはいろいろだが、日本国への工作であることを肝に命じるべきだ。


こちらから接近したと思っているような場合も、女にそう仕向けられているかもしれないんだ。


女に気を付けろとは言わん。自分を信じるな。自分の魅力なんつうものはないと思え。』


あー、嫌なことを思い出してしまった。あれは、冬期戦術課程が終わって、女に飢えた状態でススキノの街へ繰り出したとき、商売女でない風の女二人と意気投合して、次の店に向かうとき、実はそれが美人局の手口で怖いお兄さんが6人出てきたことがあった。


隆康は当然、逃げの一手を打とうとしたが、それより早く、安藤が三人をみぞおちにワンパンで倒し、三人に向かって、近くにあったごみ箱を投げつけ、追い払ってしまった。


そのときに言った言葉である。苦いけれど、痛快な良い思い出だ。

とはいえ、いまは目の前の女である。


「いきなり何の用かな?」


「あらぁ、いきなり他人行儀な話し方ねぇ。アタシは貴方とお近づきになりたいから近づいたのに。」


「俺はそうでもない。いきなり他人のプライバシーエリアに侵入するのは感心しないな。知らない人はなおさらな。んで、ほんとの用件は?」


「んもぅ・・・、ほんとにつれないわね。


いいわ、私から勝手に近づいてるんだから、まずは自分のことを話すわね。」


そういうと、冒険者風の女は滔々と語り始めたのであった。


それはともかく、アン、そろそろつねるのを止めてくれ。


女の乳をもんだのは確かに俺が悪かった。


「アタシは、この国、ゲルト皇国の西へ二つ隣のインネス共和国から、古代魔法の研究をするために旅をしてきたの。インネス共和国は知ってるか分からないけど、魔法より魔術の国でね・・・。魔法の才能を持ってても誰も誉めてくれやしないし、むしろ誹謗中傷の対象になってるのよ。魔術に比べて、魔法は才能に依るところや、一子相伝の秘術的なところがあるでしょ?それが魔術師たちにとっては鼻持ちならなかったんだと思うわ。


確かに怪しいし、なんで魔法が使えるのか体系的に、理論的に説明なんてされてこなかったから仕方ないんだけれどね・・・


そんな中、アタシは、魔法の才能があった。アタシの二つ上の姉もね。

その姉と二人で、最高の魔法使いになろうって幼い頃に誓ったのよ。

それで今もいろいろ歩いて探してるのよ、どんな小さな魔法であろうと知らない魔法を。


そして、都から離れた街で見つけたのよ。小さな少年が凄い魔法を使っているのを・・・。興味持つなって言うほうがどうかしてるわぁ。」


その女は説明をしてくれたあとこちらをちらっと見た。


ふーむ、この国はゲルト皇国って言うのか・・・知らんかった。


それに二つ隣がインネス共和国? まったく興味がなかったわけではないが、そとの国のことをこれまで全く知らなかったな・・・。


うちの両親が俺に外へ行ってほしくないからって情報統制してたのかな?


まぁいいか。いつか行ってみたいものだ、そとの国へ。

見事、隠居したらな。


「事情は分かった。俺が使っている魔法に興味があって近づいたのも理解できる。ひとつ教えてくれ。俺はまだ君の名前も知らないんだが?」


「あら、これはうっかりしてたわ。魔法を見つけたことにテンション上がっちゃって。


改めまして、アタシは、インネス共和国ウルの街出身のオリビアよ、よろしくね?えーとっ?」


「俺はタカレーンだ。こっちはアン、おれの友達で鍛冶士だ。いまは目の前の作品を売り切らないといけないんだ。じ(・・)、食事時にでも質問に答えよう。もうしばらく待っててくれ。」


オリビアとは後で街中心部の料理屋が店を連ねる地区で待合せ、その場は別れた。


この日の売上、包丁135本、大工道具65本。

銀貨400枚の売上、つまり、金貨4枚分を売り上げた計算だ。


普通の値段ではなく、ほとんど捨て値であったにも関わらず、金貨4枚は利益が出ている。


また、これをきっかけにアンの技量が広まってくれれば、言うことはない。


「さぁ、アン、帰って片付けでもするか?明日からお客がまたくると良いな。」


「タカくん、お客のことも気になるけど、もっと気になるのはあの女の人とタカくんが二人でご飯を食べに行くことなんだけど?」


「ん?何言ってんの?アンも行くんだよ。二人なわけないじゃん。」


「えっ?そうなの?あ、あははは、そ、そうだよね。アタシったらてっきり・・・。


じゃ、そういうことなら、準備しないと。また後でねー。」


アンは嬉しそうに家へと帰って行った。


隆康もこのあとのことは気になっている。


さてさて。今度はハニートラップじゃなければいいけどなぁ。


ハニートラップなのかどうなのか。


とにかく、隆康は女の乳をもみます。2度目です。

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