表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/31

第15話 大宴会

家に戻った隆康は、風呂へと入り、身支度を終えると、自分の部屋へと戻る。


今日はなんやかんややったなぁ。少しベッドで身体を休めよう。出発の時間はあと二時間くらいあるはずだ。


隆康は気持ち的に疲れた気がしたのでベッドに寝転んで待つことにする。


すると、ストンっという感じで意識が遠のき、隆康は眠りの世界へと誘われていった。






ここは?夢の中かな? 前に女神に急に話しかけられたところだろうなぁ。


「あたり!!そして久しぶり。みんな大好き、女神ちゃんだよぉ!」


そこにはハイテンションな女神がいた。


「女神様、お久しぶりです。ここで会って以来ですか?私は特に用がないので帰ってもいいですか?」


隆康は女神のハイテンションに引きながら、帰る口上を述べ、ほんとに立ち去ろうとした。


「待って、まって!久しぶりなのに、あんまりじゃない?出番が少ないんだから少しは私に構ってくれてもいいんじゃないかしら?」


「なぜ、そんなにハイテンションなんですか?前はこんな感じじゃなかったでしょう?」


女神はよく聞いてくれました的なドヤ顔でそれに答える。


「前回会ったときに隆康くんにハマってない感じがしたので、今回はあなたのお母様を参考に雰囲気を変えてみたわ。男は潜在的に母親を異性に求めるものなのよ、たぶん。」


「どおりで母上っぽいと思った・・・こんなハイテンションな人、あまりいないからなぁ。


ところで、何か御用ですか?」



とりあえず、女神に夢の中にまで出てきた用件を尋ねる。



「アタシがこの世界にあなたを生み出したんだから、母といっても過言じゃないのだけれども。ま、用件は、あなたの能力のことについてよ。」


能力?創造力と耐久力だろうか。これは非常に助かっている。女神様ありがとう。口には出さないのだけど。


「そういうのは口に出していいのよ。たとえ、思考をよ読みとれるとは言ってもね。そこはまぁ、いいとして。


あなたの創造力と耐久力ね。普通はもっとあり得ない物をバンバン出して、すぐ意識が持ってかれて、この空間にくるわけよ。


そしてこの私、女神が偉そうにその使い方について講釈を垂れるのがセオリーなんたけど。あなたは物欲がないのかしら?なぜ前世の物とかをバーンと取り出さないのかしら?」


女神は不満そうだ。



「申し訳ありませんが、別に出したくなくて出さない訳じゃなくて、必要がないとなかなか取り出しませんよ。それに女神様って暇なんですか?」


「ひどい言いぐさ!?


でも、まぁ、その通りかしらね。神様ってのも世界の作り始めは死ぬほど忙しい(あ、死なないけどね(笑))んだけど、安定した世界に入ってしまうと、やることないのよ。


だからかしら、世界に邪神や魔神が介入してきたときも、恨みなんかよりまず思うのはワクワク感だしね。そんなわけで、タカくん、なんとかしてこの世界に波乱を興しなさいよ。」


この女神はほんとに暇なんだなぁ・・・



「とりあえず、普通に生活するためにはいろいろな物を創りだすと思うので、今後なにか創りますよ。ただし、せっかく今回来たんだから何か教えてくださいよ、ついでに。」



「なーんか、敬意が足りないような気もするんだけど、まぁ、ひとつ教えて上げるわ。


創造力は使えば使うほど、慣れて言ってるでしょう?一度作り出した魔法も次からはそんなにイメージすることなく、考えた瞬間にポンッと出るでしょう?


これは創造力自体に学習機能がついてるのよ。


だから、同じような系統の創造ばかりしてると、偏りがでるわよ。特に思考も引っ張られだすわ。


ま、それが悪いとはいえないんだけどね。


あと、これもどうでもいいんだけど、前世の技術や知識を使っておかないと、だんだんこの世界に染まってくるから忘れるわよ。これは注意ねー!あなたの創造力は前世の記憶に混ぜこんだ力だから、前世の記憶がゼロになると、創造力も忘れちゃうからね?


あ、そろそろ目覚めの時間ね。また会うのを楽しみにしてるわー!頑張りなさいね。」


急速に視界は彩りを増やし、隆康はベッドに仰向けに横になっていた。


さて、最後に女神の忠告も聞いたことだし、今後はコンスタントに前世の物を造り出すことにしよう。

とはいえ、そろそろ宴会の時間だ。


ゴロリとアンを迎えに行かねば。


ゴロリは馬車を用意をして待ってくれていた。


急いで馬車に飛び乗ると、ゴロリは馬にムチを軽くあて馬車を走らせた。


そういえば、この世界は飲酒運転とかで罰せられたりしないのだろうか?いちおう聞いてみよう。


「ゴロリ。酒を飲んで馬車の御者をするのは違法だったりするの?」


「あぁ? そういうのは聞いたことないけどなぁ。しかし、都会とか大きな街とかで酒飲んで泥酔状態で馬車を走らせて、何人も人をはねた奴が縛り首になったって話はたまに聞くな。」


前世より罰は過激である。ある意味、抑止力としてはバツグンなのか。


「あのぉ・・・ゴロリは大丈夫?」


「坊ちゃん、変な心配せんでください。大体、御者も酒を振る舞われるような宴会は、帰りの際、御者を臨時で雇って帰るもんです。

屋敷までなら、銅貨三枚でも握らせば馬に乗れるやつは誰でも喜んで御者をしてくれますよ!

ちなみに当然、あっしは酒を飲む気マンマンなので、悪しからず。」


ひとまず安心だ。その後はゴロリと駄弁りながら、ゴトゴト馬車を進めていくと、アンの鍛冶屋がある地区の馬車停留所へと到着した。


「坊ちゃん、馬車を預けてくるので、先にアンの嬢ちゃんを連れて、宴会場へ向かってくださいや!


場所は居酒屋『肉の祭典』でさぁ。」


凄い期待のできる店名だ。



しばらく歩くと、アンの鍛冶屋につく。アンは店の前で待っていてくれた。

青いワンピースに白とピンクの色が綺麗に編み込まれたストール?のようなものを羽織っている。やはり、なかなか可愛いと思った。


「やぁ、アン。迎えに来たよ。やはり、おめかしをすると見た目が良いから、見た目が華やかだなぁ。似合っている!」


「もう、タカくん。今の歳からそんなプレイボーイ的な発言は将来、不安になるんだけど。女としては。でも、ありがと!」


アンは恥ずかしそうに、でも嬉しそうにそう返してきた。


それでは行きますか。


隆康は一応、上流階級の紳士が女性をエスコートするかごとく、肘を張り手を折り曲げ、アンに手を回せと合図した。


アンはもっと恥ずかしそうにしながら、おずおずと腕を回して、隆康にピタッと寄り添ってきた。


まぁ、隆康の方がいまは少しばかり背が低いので格好がつかない気もするが、そんなことはお構いなしに、堂々と目的の居酒屋へと向かう。


『肉の祭典』に到着し、入り口を開けると、中は思った以上に、というより、想定外なほど騒々しかった。


扉や壁に「遮音」の魔法でも施しているのだろうか?


中に入ってびっくりしていると、豪快な笑いとともに奥から、あの鉱山組合の小柄なおじさんが近づいてきた。


「よぉ、そこのお二人さん!遅かったじゃないか?こっちはもうゼロ次会どころか二次会か、いまは。とにかく・・・


野郎共ぉーーー!!主役の三人のうち二人がついたぞぉーーーー!!乾杯じゃーー!グラスをもてぇぇーーー!!



かんぱぁぁぁあーーーーーぃぃ!!」


そこかしこで、グラスをぶつけ合う音、喉で液体を飲み干す音。グラスを机に叩きつける音が鳴り響き、次には、隆康たちへと酒を注ぎにくるオヤジたちが殺到した。




アンは飲んだことがないと、当初断るそぶりであったが、少し飲んだらいける口たったのか、ぐいぐいいっている。


隆康は、普通にこの世界の酒を飲み、普通に親父たちに気に入られた。この世界の酒は子供から飲めるらしい。やはり綺麗な水が少ないのであろうか?この街は田舎だから川もきれいだが、都会などはやはり、ワインとかが水代りなのかな。


そうだ、浄水器とか作ったら便利なんじゃないかな。

帰ったら考えて創ってみよう。


あ、またお酌しにきたぞ、オヤジたちが。


隆康はぐいぐい飲める。なぜなら耐久力で絶対に酔わないのだ。


いや、気分は非常によくなるのだ。ただ、酔ってフラフラになったり、気持ち悪くなったりがないのである。隆康としてはあの、酩酊感も酒の楽しみであったのだが、まぁ仕方ない。


その分、美味しい酒や、飯を堪能しまくろう。


この肉はうまい。何なに。鹿に良く似た魔物ホーンビジエのたたきに、岩のような肌をもつロックベアのあぶり肉に、大きな角をもつ、一角兎のモモ肉のタレ焼き。


肉がうまぁい。肉汁がどれもほとばしり、このエール?薄いビールのようなものも、前世のオリオンビールのようで大変うまい。

隆康は前世の自衛官時代、演習で那覇の米軍訓練所を使用した際は、かならずオリオンビールを背のう(リュック)に忍ばせたものである。


あと、肉だけではなく、野菜も新鮮だ。なにこのドレッシング。透明なのにしっかり酸っぱく、そしてピリリと辛みがやってくる。癖になるな、これ。


この店は当たりだ!今後、店の人と仲良くなって、通ってしまおう。


隆康は店の人を探すため、ぐるっとあたりを見回していると、向こうからジョッキを両手に八個以上持って、うまく客を避けながら進んでくる大柄な女性が見えた。


歳は27、28くらいか、赤い髪を後ろに束ね、眉は綺麗に整えられている。当然、目鼻立ちはハッキリとした西洋系美女で、くわえタバコをしつつも、まわりの客と話をできている。


そして、格好はというと白い綺麗なエプロンをしてても分かる急激に盛り上がった胸と、キレッキレの腰つき・・・


ヤバいエロすぎる。生憎、少年である隆康は頭ではエロイと判断するも、耐久力のせいなのか幼さのせいなのか、下半身は反応せず、平静を保っている。いや、これは不動である。動かざること山のごとしである。


しばらく見ていると、その女性の後ろから、酔い客がスケベそうな顔をして、そーっと尻を触ろうとした。


それをその女性は、見もせずに、足ではたくと、その反動を腰を使った回し蹴りに変換し、そのスケベを蹴り飛ばしたのだ。ほかの客にひとりもあてることなく、机や椅子にもあてることなくである。


隆康はあっけにとられていると、その女性は持ったエールジョッキをまわりに配っている。あのジョッキもこぼれた風には見えない・・・


す、すごいな、あのおねぇさん。



現在は夜七時を少し過ぎたくらい。夜はまだまだ長く、この飲み会はもっとディープに続いていくのである。


酒のみの回です。


綺麗な女性二人目登場です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=285228914&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ