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第13話 ゴブリン退治

戦闘の続きです

敵モンスターはゴブリンが主力である。何匹かはホブゴブリンや、オークも一匹いる。


さっきはアンに経験を積ませるまもなく瞬殺してしまったが、それでいいと思う。敵の偵察は生きて返してはいけない。


その情報が敵主力に届けば、もっと大胆に行動してくるからだ。

死体は情報を持ち帰らない。


偵察の常識である。どっかの映画でも言っていたかもしれないが。


アンに声をかける。どうやらさきほどの戦闘の興奮がいまごろ来ているようで、なにやらテンションがおかしい。


「タカくん、今のうちに戻れないかな?今さっきのゴブリン以外にもなんかでてきそうだよ。だけど、出てきたら来たでなんとかしちゃえそうだけど、私たち(笑)」


「もう少し敵の本隊を叩いてからね。じゃないと街にも迷惑がかかるしね。ゴロリもいいよね?」


一応、ゴロリにも確認する。


「わしは全く問題はありゃせんよ。さっきはなんもしとらんもの。」


ということで、満場一致の継戦決定!


さて、次は本隊が通る場所に罠でも仕掛けようかぃ。


「アン!ちょっと手伝ってくれる?」


「なぁに?タカくん。工作関係?」


アンは非常に察しが良くて助かる。


「うん。こういう刺々した歯がついてるものを作るから、ヤスリで研いで、刃をつけてほしいんだ。30個ぐらい作るよ。」


創造により、手元から虎ばさみを30個ほどつくる。この世界に虎ばさみがあるのか分からなかったから、とりあえず実物を渡してみた。


すると、


「あら、シザーズトラップじゃない。分かったわ。このハサミのところを研げばいいのね!」


アンはさっそく研ぎはじめ、ものすごいスピードで鋭利な刃をつけていく。


創造で歯入りの虎ばさみを作るには労力がかかりすぎると思ったからだ。


ゴブリン本隊が来る前に30個を仕上げ終わり、隆康は土の魔法で地面を掘り返し、虎ばさみ、通称シザーズトラップを地面に仕掛けたのであった。


数分後、岩影からゴブリンが飛び出し、最初の一匹が虎ばさみにガチャンと噛まれた。

続くゴブリンはそれらを避け、迂回して突っ込んできて、ガチャン。

さらにうしろは仲間を踏み台に進み、その先でガチャン。


順調に仕掛けにひっかかり、八割がた発動し終わったところで、アンにファイアウォールを撃ってもらった。


ゴブリンたちは逃げることもできず、その場で焼ききられていく。

虎ばさみにかからなかった奴等は数匹残ったが、大した労力ではない。


これらもアンの経験の糧となって死んでもらおう。


「アン、止めだ。魔法をなんでもいい。撃て」


アンは当初話していた水魔法のウォーターを撃った。ゴブリン二匹の口を塞ぎ、数分バタバタしてその二匹は動かなくなった。


残りはホブゴブリンやオークなどの大型のやつらだ。


来た!ドシンドシンと迫ってくる。さすがに巨体で、威圧感があるなぁ。しかし、そこは持ち前の鈍感力で大した驚異に感じない。

この鈍感力をもってしても驚異に感じられる敵に出会ったときは速攻で逃げれるように、なにか魔法でも編み出しておいた方がいいかもしれない。


そんなことを考えていると、隣ではアンがガタガタ震えている。さすがにホブゴブリンとオークはアンには荷が重いのかな?


「アン、大丈夫だよ。俺とゴロリが半殺しにするから、アンが止めを刺しな!」


そういうとゴロリは左のホブゴブリンを、隆康はその他のオークと雑魚ホブゴブリン二匹を相手取る。


隆康はファイアウォールを目眩ましに、アイスピック、つまり尖った氷柱を飛ばす氷の魔法(ブリザード)を撃った。


みごとにオークとホブゴブリンの腹と、手足を串刺しにして、地面に縫い付ける。

ちなみにまだ三分殺しくらいだ。頭を潰すと死んでしまうので、あとは、血を流させよう。


オークたちの傷口に水流操作の魔法をかけ、ある一ヶ所の地面を土の魔法で掘り起こした穴へと指定して、モンスターの絞り汁、つまり血液を移動させる。


そこには、血を大量に抜かれて痩せ細り、死にそうなモンスターたちが氷のピンで止められているだけとなった。


「アン、狙うのは頭だ!」

「分かったわ!それっ!」


アンはすぐさま、土の魔法で弾丸を作り、オークたちに飛ばす。威力は隆康の風魔法で初速を早くしてあげたお蔭で二倍増くらいである。



そうして、オークたちは隆康たちによって殲滅されたのであった。


あとには血溜りと死体がのこるのみであるが、冒険者であるならば、剥ぎ取りとかをするらしい。しかし、ゴブリンやオークに剥ぎ取るところ、価値あるものはあるのだろうか?


とりあえずゴロリに聞いてみると、ゴブリンは耳の先2つで一匹分の討伐証明になるそうだ。なので、30匹分の作業は非常にめんどくさいし、くさい・・・。鈍感力があってこの耐え難さはヤバいレベルだ。


「このオークとかはどうなの?」


「オークはその肉が結構な高級品なんだ。豚肉の上級な味がするそうですぜ。」


歩いて襲ってくる豚肉とかなんかいやな感じがするが、目の前に料理が出されたら食べれそうな気もするな。

そこはやはり前世の常識や倫理観がいまだに幅をきかせている証拠である。


冒険者たちはこんな作業を毎回やってるなんて、大変なしごとだなぁと他人事として思った。


少なくとも、俺は嫌だな、こんな泥臭い仕事は。

前世の陸自隊員であったことなどは棚にあげて、隆康はさらにそう思うのであった。






敵を殲滅しました。


後始末をして、何やら思うところがあったようです。

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