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第9話 明日の鉱物資源探索に向けて

アンの作業場を退出し、のんびり家に帰ります。

アンの鍛冶屋を出ると、さすがに冒険者たちはどこかに行ってしまっていた。

なんかやらかすとしても、今日の夜中すぐということはあるまい。されど、念のためということで、頭の中で念じる。『害意をもってこの建物及び住人に仇なそうとするものに対して、遅滞(スロー)の魔法をトラップとしてかけるには。また、その魔法陣を見えなくするには・・・』


創造力により魔法を作り出す。「遅滞(スロー)」と「不可視(アンビジブル)」の魔法重ねがけを鍛冶屋の建物にかける。

そして、罠が発動したら隆康に分かるように、魔法「虫の知らせ」の上位版「通報(テレホン)」の魔法もかけておく。


このとき、隆康は魔法の二重がけどころか、三重がけによる魔方陣の設置がどれだけとてつもないことなのか分かっていなかった。

このことが後に大きな問題を起こすことがあるとか、ないとか。いや、それはまた別のお話である。


隆康は家路を急ぐ・・・こともなく、ブラブラと商店街を冷やかしながら家へと帰る。途中で、街で唯一の駄菓子屋(ようなもの)のお婆ちゃんから、キャンディを5つ買い、なめながら帰る。


また、野良猫と野良犬がケンカしているのを枝で邪魔しながら、家へと向かう。


あー、なんてのどかなんだ。これだよ、俺が求めてたのは。

前世の記憶を保持して、子供に戻れるなんて、それだけで神さまありがとう、である。まぁ、未練がないといえばないわけではないのであるが、そんなことは考えても仕方ない。


こちらの世界で精一杯ののんびりを満喫してやるのだ。


家の門をくぐり玄関のドアを開けると、両親とサフィアが待っていた。


「ただいま帰りました。父上、母上。そしてサフィア、これお土産。」

駄菓子屋(?)のお婆ちゃんからはまぁるい、玉子色のケーキを買っておいた。2つ買って、実は一つつまみ食いして味の方は保証されたものである。


「おかえり、タカ。そのケーキは夕食のあとみんなでたべよう。

ところで、タカ。あの、機織りのことなんだけどね。でき上がった反物が、都ですごい値段で売れてるらしいんだ。どこの職人が作ったのかって、都のお針子たちは貴族たちから締め上げられているらしい。そうだよね、メリッサ?」



「えぇ。そうよ、タカが作ってくれた織機のお陰で、うちの商工会も嬉しい悲鳴をあげてるのよ。突然、どこの流派にも属さない反物や、布地が都へデビューしたものだから、ちょっと控えめに言っても大混乱?(笑)」


母はすごく楽しそうにとんでもないことを言う。


「タカのおかげで、ツアード家のお財布事情は劇的に改善したわ。というより、街の財政もね。ちなみに我が家にはこの街の年間予算のうん倍もの利益をもたらしてくれたわ。」


「というわけで、この屋敷にサフィア以外のメイドを雇わないと、織物と屋敷の仕事を両立出来なさそうなんだよ。近いうちに都へ行って、メイドを募集してくるよ。」


「お役に立てたようでよかった。サフィアもついにメイド長だね!おめでとう。」


サフィアはキレイに一礼する。


「あ、父上、母上。明日は鍛冶屋のアンと鉱山へ鉱石を探しに行ってきます。許可をお願いします!」


「女子供だけではさすがに慣例上許可を出せん。行きたいなら、ゴロリを供につけて行きなさい。許可証はゴロリに出しておくから、その同伴だな。」


「ありがとうございます。ゴロリには後で用件を伝えておきます。あとは、一応報告を一つ。今後、鍛冶屋ノイトンの娘アンの仕事に肩入れをします。街の広場でデモンストレーション染みた行商をする予定ですので、念のためご認識ください。」


「また何かするのね?分かったわ。商工会のほうにも通達をだして話をしておきます。

あとは、お願いが一つね。暇なときにでも、もう一台、織機を作ってくれないかしら?次は商工会として依頼料を払うわ。」


「分かりました。どこに作ればいいですか?結構場所を取りますので、場所を決めてしまえばそこに作ります。もし、今後、製糸工場等を作るのであれば、建築の技術も学んでから建設したいのですが。」


「まぁ、それについてはすぐというわけではない。そちらの鍛冶屋の件が片付いたらでよい。タカもやりたいことや、望みはなるべく優先させなさい。じゃないと私たちのようになるよ。」


二人は冒険者を少しやっていたと言っていたが、好きなことは

あまり出来なかったのかな?母上の方は結構好き勝手してる気もするが・・・。


「なぁに?なんか変なこと考えてるでしょ?」


感の良い女性である。


「いーえ、なにも、それではゴロリのとこへ行って明日の話をしてきますね。」


そう言って、隆康は屋敷一階の右奥にある部屋へと向かう。



「ゴロリー、いるー?」

ノックをしながら扉の奥に向かって声をかけると、すぐに扉は開き、大きな身体をした熊が出てきた。いや、ゴロリだな。


「おぉ、タカ坊っちゃん、何か用かな?」


「というわけで、鉱山へ行きます。」

隆康はどやーっとしたどや顔で言う。


「何がというわけなんですかね??」


いまいちこの熊は分かってないので、丁寧に言うことにする。


「明日、鉱山へ鉱石を取りに行きたいんだけど、俺達だけだと許可証が下りないんだ。なので、ゴロリがメインで同伴俺と言うことでよろしく!」


「ハァー、分かりました。でも、危ないんですからちゃんと装備は持っていくんですぜ。あと、朝は早起きしてもらいますぜ。」


「それは大丈夫。あ、あと、行く途中に鍛冶屋のアンを拾っていくから、馬車と食料は三人ぶんにしといてね!」



もろもろの用事をゴロリにたのみ、隆康は明日の準備のため二階の自室へと戻る。


おっと、元自室へと間違って来てしまった。中からは機織りの音が聞こえている。サフィアが頑張ってるのかな?

そういえば、すごく反物が人気とか言ってたなぁ。技術や、純粋に利益を妬んで、バカなことしに来るやつがいるかもだから、この屋敷全体にもなんか魔法をかけておこう。


頭の中に思い描く。


『いちど、屋敷全体を俯瞰しよう。これは「俯瞰」の魔法だな。それから、さっきアンのうちに使った「通報」の魔法と、「遅滞(ディレイ)」の魔法、あとは新しく、害意をもって屋敷近辺300メートルをうろつくやつに、軽い「忘却」の魔法をかけれるようにしよう。これは劣化版として、あくまで忘れやすくなるだけにして、魔法の残滓を残さず、気づかれないようにしよう。』


それらが頭で出揃ったのてわ、隆康は「俯瞰」の魔法で屋敷を見下ろす。

「さて、パパッとやってしまおうかな。」


隆康は本日2度目の4つ同時魔法行使を行い、屋敷の警備体制を万全にするのであった。

そして、更にだめ押しの警備を考える。


人手不足があるんだよな、この家は。労働力や警備の人間ってのはどんな人かわからんやつを雇うわけにはいかないし。


あ、そうだ、魔法か魔道で作れば良いや。


『命令通り動くゴーレムと、自律思考と行動ができるオートマタを作ろう。これはもう、創造力の最大注力で・・・』


手元から屋敷の外へと色の濃い霞が流れていき、霞が消えたころ、隆康は急激な眠気に襲われ、意識を手放したのであった。


織物が都で大人気みたいです。また都でのアナザーストーリーを書いてみるかもです。


アンの作業場と我が屋敷へ、防犯上の警備システムを構築しました。

魔法の重ねがけを何回もしています。

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