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東京バトルフィールド <東京を奪還せよ。異世界の魔法使いの手から>  作者: 相山タツヤ
STAGE:03 BLOOD FALLS 「ブラッドフォール」   ── 異世界侵攻を生き延びろ。
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武器庫 (1)  ──「HK416。言うまでもなく、世界最高の5・56ミリ弾ライフル」



 第四小隊は群れとなって装備保管庫へ歩を進める。


 俺の側には、叡も付き添っている。

 装備保管庫で彼女に着せるためのボディアーマーのサイズを選ぶ必要があるからだ。


 辿り着いた装備保管庫の両開きのドアは開け放たれていた。


 準備を終えた隊員たちが次々と走っていくのを横目に見ながら、俺たちはそのまま中に入る。



「やぁやぁ、本命の登場だ。待っていたよ」


 ぎょろっとした目つきで痩せ細った婦警が手を振った。白い蛍光灯の下で、青白い顔をニヤリと歪める。


 北中城(きたなかぐすく)独子(どっこ)巡査部長。装備保管庫の管理責任者で、武器研究のスペシャリスト。彼女の不気味な見た目もあって、裏では『死神』と呼ばれている。


 装備保管庫。SATが使用する銃器や装備品が管理保管されている倉庫だ。

 奥行きの広い部屋で、奥側には多数の銃器と装備品が整然と並んだ棚と、銃器に精通した職員たちが銃器を分解しメンテナンスを行っている工房があり、そして装備の持ち出しを記録するコンピューターが置かれたカウンターを挟んで手前には、持ち出す装備を隊員各自でチェックし身に着けるための長テーブルが複数置かれている。


「とんでもない時代の訪れを感じる。ついにバケモノと警察が戦うなんて。どちらが滅び、生き残るか? それは武器だけが知っている」


 両手を組み合わせてポキポキと鳴らし、「シシシ」と奇怪な笑い声を上げた。


「最高の武器は、最高の人間に使われてこそ、最高の性能を発揮する。バケモノ狩りの始まりさ。全てを懸けて、戦うんだ」


 独子が指をパチンと鳴らすと、カウンターの向こうから台車を押した職員たちが現れ、あっという間に第四小隊の装備を長テーブルの上に並べ終えた。


「……頼むから、今回くらい黙っててくれ。独子さんと話していると、気が滅入るんだ」


「まぁまぁー、そう言わんといて。これで私らが話すのは最後かもしれないんだから。君たちが勝てなければ、世界は滅びる。あの襲撃の映像を見て、いま用意しうる最高の装備を選んだ。遠慮なく全部持って行ってくれ!」


 俺は、一挺のアサルトライフルを取った。

 すかさず、独子は専属セールスマンさながらにぺらぺらと語り始める。


「ドイツ、ヘッケラー&コッホ社製、HK416。言うまでもなく、世界最高の5・56ミリ弾ライフル。信頼性に長けたガスピストン式を採用し、メンテナンス無しで二万発の射撃に耐える。

 スコープは、エルカン社製のスペクターDRを搭載。レティクルはイルミネート式で、倍率は四倍。

 今回は狙撃戦があることを想定して、このセットアップにした。異世界軍は、殺した警察や国防軍からスナイパーライフルを鹵獲している可能性は高いからね」


挿絵(By みてみん)


 俺はHK416に、5・56ミリスチールポイント弾が二十八発詰まったSTANAGマガジンを挿して、T字型のチャージングハンドルを引いて初弾を装填、それからマガジンを抜いてチャージングハンドルをもう一度引き、チャキンッと弾を排出する。

 動作に何の問題もない。手入れが行き届いている。


「スコープのゼロインは五十メートルに設定した。もし近距離戦になったら、スコープの上に載った十メートルにゼロイン済みのミニドットサイトを使ってくれ。

 AAC社製ブラックアウト・フラッシュハイダーには、ワンタッチでサイレンサーが装着できる。

 あとはAN/PEQ15レーザーモジュールと、シュアファイアM900グリップライトと、定番のアタッチメントを載せてある」


 続いて、俺はピストルを取る。

 シルバーのスライドとブラックのフレームを組み合わせた、美しい銃だ。


「シグアームズ社製、GSR。あのコルトガバメントのクローンで、シンプルな構造で作動不良が起こりづらく、自分好みのカスタマイズもしやすい。

 そして9ミリ弾よりも一回り大きい11・5ミリの45ACP弾を使える。重量があるぶん弾速は9ミリ弾より遅いが、着弾時の破壊力は倍だ。

 アイアンサイトはトリチウム入りのノバック・サイトに交換してある。暗闇でもサイトがグリーンに光るから、暗所でも狙撃可能。

 グリップは、パックマイヤー社製のフィンガーチャンネル入りラバーグリップを装備。素早くホルスターから銃を抜いても滑りにくい。一発勝負の早撃ちにも有利だ。

 レールには、シュアファイア社製X300Uフラッシュライトを装着している」


挿絵(By みてみん)


 俺は置いてあるマガジンをつまんで、装填された弾丸を観察した。

 レモン絞り器に似た、鋭い凹凸のある弾頭。スパイク状に鋭利に尖った先端は、指で押すとかなり痛い。凹凸の間には切れ込みが入っている。


「弾薬は、G2リサーチ社製のRIP弾。

 人体のような柔らかいものに着弾した瞬間、このスパイクが回転しながら展開し、肉を抉りながら弾頭からそれぞれ分離し体内で飛散、好き勝手に暴れて内臓をメチャメチャにする。スパイクを失った芯の部分のキザキザの弾丸は、ワンテンポ遅れて標的の体内を貫通して外出。それと同時に、ぽっかり開いた穴からスパイクによってミキシングされたドロドロ肉がブバッと後方に排出される……というわけさ。

 まさに一撃必殺。固い物に対しては変形しないから、防弾装備への貫通力の高さも両立してる。

 Requiescat In Pace……『安らかに眠れ』」


 俺は腰のベルトにサファリランド社製のSLSホルスターを装着して、GSRのスライドをジャキッと引いて初弾を装填してセフティを掛けてから、収納した。


「……GSRは装弾数が少ない。グロックも欲しい。9ミリ弾を使うG17だ。マガジンエクステンション付きが良い」


「ノープロブレム。それもちゃんと用意してある。いつもの第三世代モデルだ」


 受け取ったG17とSLSホルスターを、左腰に装着する。


挿絵(By みてみん)


「二挺拳銃ね。普通は警察官がやるものじゃないが、この第四小隊は、やる。これでどんな戦いをするか、生で見られないのは残念だね」


 俺は速やかに装備を整える。


 7・62ミリNATOライフル弾を防御可能な新型のドラゴンスキン・ボディアーマーを装着し、そこに任務遂行に必要な各装備が入ったMOLLEポーチを速やかに取り付けていく。


 ドラゴンスキン・ボディーアーマーは、小さい円盤状の防弾プレートを龍の鱗のように織り込むことで、被弾時に効率よく衝撃を拡散し防御力を高める構造のアーマーで、アメリカ軍をはじめとして各州のSWATにも広く普及している装備だ。薄手で重量も軽く、行動力を損なわない。


 弾薬ポーチには、赤と青のカラーテープを貼って識別できるようにしたスチールポイント弾入りのSTANAGマガジン四本と、アーマーピアシング徹甲弾入りのマガジン四本、GSRとG17のスペアマガジンも四本ずつ入っている。

 

 他には、応急処置キットが入ったメディカルポーチ、サイリューム二本、拘束用タイラップ四本、ストリームライト社製のクリップライト、撃ち切ったマガジンを放り込むためのダンプポーチも身に着けていく。

 

「さて、お待ちかねのスタングレネード。とびきり強力な奴を持ってきた。イスラエルのIWI社製、SG56D。衝撃感知式信管で、起爆すると、約二百デシベル相当の大音量と、約二百万カンデラの閃光を巻き散らす。魔法でバリアーを使うような敵には、こいつを喰らわせてやれ。もしくは、敵の口に直接ぶっ込めば、その頭をぶっ飛ばせる」


 ハードケースに収納されたスタングレネードを、各隊員は三本ずつ取って身に着ける。


 半田は、HK416の代わりに、銃身を16・5インチに延長した分隊支援火器モデルであるM27IARを装備。これは狙撃銃と軽機関銃の両方の性質を持つ汎用性に富んだ火器で、アメリカ海兵隊にも採用されている。

 アタッチメントは、ミニドットサイトが併設されたブッシュネル社製のCQBスコープと、LMT社製M203グレネードランチャー。そして、通常のSTANAGマガジンの二倍の容量を持つ、大型のFATマガジン。


挿絵(By みてみん)


 宮潟は、ベネリ社製のM4セミオートマチック・ショットガンを装備。こちらもアメリカ海兵隊に採用されているもので、ガス圧自動調整機構を搭載しており信頼性が高い速射ができる。

 一発ずつ弾を込めるチューブマガジン式だが、宮潟は棒状のショットガン・スピードローダーを予め携帯しておくことで、迅速な再装填を可能にしている。


 通常のバックショット弾以外に、かつて新人教習の際に実演したフレシェット弾、フレアー弾、ワイヤー弾、そしてフラグ弾も用意している。普通は一度にこれだけの種類を現場に持ち込むことは無いが、敵が何を用意しているか分からない今回ばかりは特別だ。


挿絵(By みてみん)





「……ボクの銃は無いの?」


 そこで、他の職員にサイズを調整してもらったドラゴンスキン・ボディアーマーをコートの内側に着込んだ叡が寄ってきた。


 相変わらずフードは被りっぱなしで、AK47でも持たせれば完璧な少年兵の出来上がりになりそうだ。


「君が持ったら銃刀法違反だ。心配しなくても、丸腰の君を完璧に守れるだけの装備を持っていく」


「ここにある銃は、ほとんど撃ったことあるよ。お爺ちゃんに毎年、グアムで撃たせてもらってたから」


「……それは大したものだ。でも、駄目だぞ」


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