オペレーション:TOKYO BATTLEFIELD (3) ──「速やかに出動準備を開始せよ」
「星乃、作戦の説明を頼む」
「はい」
星乃がスクリーンを操作する。画面が切り替わり、剛猛な八輪駆動装甲車の写真とCGで作成された設計図が表示された。
「まず本作戦に使用する、我々の装備について説明する」
そして彼女は、特に原稿なども見ずに早口で解説を始めた。
「ジェネラル・ダイナミクス社製、ストライカー装甲車。これが先陣を切り、脅威を打ち砕く。
155ミリ砲の至近炸裂に耐えうる装甲を持ち、操縦手二名と兵員九名を輸送可能。
車両上部には遠隔操作式銃塔RWSを装備し、12・7ミリ焼夷弾を四百発積んだ重機関銃ブローニングM2を搭載。
これを四両使用する」
スクリーンが切り替わり、攻撃ヘリコプターの写真。
「航空支援として、国防陸軍対戦車ヘリコプター隊から、ボーイング社製AH64Dアパッチ・ロングボウによる護衛が三機つく。
30ミリ機関砲、ヘルファイア対戦車ミサイル、スティンガー対空ミサイル、ハイドラ70ロケット弾を装備。
言うなれば、空飛ぶ戦車。逃れられる者など居ない」
続いて、ライフルの写真が表示される。
「我々個人の小火器については、一般歩兵用の5・56ミリNATO弾では火力不足と判断し、より破壊力に長けた大口径の7・62NATO弾を用いるバトルライフルを選択した。
DSA社製SA58OSWカービン・バトルライフル。小型で最も市街地戦に適した十一インチモデル。
各員は、破壊力重視のスチールポイント弾と共に、軽装甲を持つ敵にも対応可能なようアーマーピアシング徹甲弾を携帯する。
SA58の銃身下には、強力な各種40ミリグレネード弾を装填可能なLMT社製M203グレネードランチャーを搭載している」
切り替わって、続いて大柄なショットガンの写真が映る。
「新たに導入された新兵器、AA12オートアサルト・ショットガン。
ショットガン用の12ゲージ弾を自動連射可能なオープンボルト式マシンガンで、通常の散弾を装填すれば恐るべき面制圧火器となり、フラグ弾を使用すれば無慈悲なグレネードマシンガンとなる。
大容量ドラムマガジンと共に、準分隊支援火器として運用する」
続々と新採用されたと思しき兵器が次々と紹介され、俺は口元を押さえながら、眉をしかめる。
彼らはまさしく、この地で戦争を始めるつもりだ。
これらの兵器が、街で猛然と火を噴くなど考えたくもない。
だが、今起こっている最悪の事態を受け入れねばならないのも、また現実だ。
中嶋稔道を確保し、テレポーターの暴走を止めなければ、あの怪物たちが日本中に放たれる。
星乃はスクリーンを操作して、使用するルートの地図を映し出した。
「護送についての計画を説明する。この隊庁舎から中嶋邸までは、およそ十キロメートル。
首都高速環状線に乗り、レインボーブリッジを横断し、中嶋邸に急行する。使用するルートは既に交通規制を掛けてある。渋滞を心配する必要は皆無。
中嶋邸で中嶋稔道を確保した後は、彼の核シェルターをそのままトーチカとして利用する。国防軍特殊作戦群と合流し、情報収集と次の作戦の立案の後、本丸の東京テレポーターを叩く。
三両のストライカー装甲車が先導し、その後ろに『壁』として銃器対策部隊の銃器対策警備車が二両、そして君たちSATと警護対象者が乗る九六式装甲車が三両が続く形となる。
後衛にも銃器対策警備車を二両、最後尾が一両のストライカー装甲車。
上空では常に三機のアパッチ戦闘ヘリが見守っている。
王でも大臣でもない、ただの小娘と老人の護衛としては、史上最強の警護チームとなる。大船……いや、戦艦大和に乗っているようなものだ」
俺は業務的な顔で、目を細める。
真面目か皮肉かは定かでないが、本当に戦艦大和に乗っていたら、我々は仲良く沈没し海の藻屑だ。
左崎は「ありがとう」と言って、発言のバトンを星乃から取り戻す。
「最後はイージス艦とでも例えてほしかったが……まぁ、どうでもいいことか。
これだけの優秀な現代兵器の加護を受けられるとはいえ、全員、気を引き締めて、すぐ側に『死』があることを意識するように。状況は予断を許さない。現在、機動隊や品川駐屯地から派遣された国防軍が戦闘を続け、敵を抑え込んでいる状況だが、少なくない死傷者が発生している。
我々に、失敗は決して許されない。我々に、次のチャンスなど訪れない。成功か、死か。我々に、日本の未来が懸かっている」
最後に左崎は、こう言って締めくくった。
「便宜的呼称として、敵を【異世界軍】と称する。異界軍の兵士を一人残らず撃退し、我々のクリスマスを取り戻せ。
それでは、『オペレーション:トウキョウバトルフィールド』を開始する。
全員、速やかに出動準備を開始せよ」





