ぼくのポケット
波が砕け散る音を
拾い集めて
ポケットに詰めた
激しい怒りのような
散らばった悲しみのような
そんな音が鳴る
ポケットに手を突っ込んで
歩こう
砂の入った靴のまま
限りのある浜辺と
果てのない水平線
ぶつかりうねって
失敗だった、と
飛沫は言いやしないけど
ぼくのポケット
やり場のない音を匿って
歩こう
数えきれない海の骸
行き着いた浜辺と
続きを隠した水平線
寂しさの勢いに
のみ込まれても
誰も知らなくていい
ぼくのポケット
涙より低い音がする