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序章



 ──あの雨の中、私は“逃げて”いた。



 逃げなきゃ。逃げなきゃ。一体何からかも分からないけと逃げなきゃ、捕まったら……!

 ぬかるんだ山道で足がすべる。なんとか体勢を立て直したのもつかの間、また踏み出した足がすべって転ぶ。ひざが痛い。頭もガンガンと警鐘を鳴らしているし、両の手の爪は何枚か剥がれてしまっている。きっと足はもっと凄いことになっているだろうから、また見ずに走る。

 だがしかし、数歩も走らぬ内に足が縺れて、またもや前のめりに倒れてしまう。


「あっ……!」


 もはや地面の冷たさを、この傷んだ体は感じない。さぁ、立て。立つんだ、私の足。ほら、力を入れて。お願いだから。立って。手を動かして、何としてでも進まないといけないのに、指先さえ動かない。さっきまでは血で真っ赤だったはずの手はなぜか白くなっている。どんどん、どんどん青白く。


 ──嗚呼


 視界がどんどん霞んでくる。


 ──どうして、


 体の感覚が無い。


 ──こんなことになってしまったの


 駄目だ。あと少しなのに、手を伸ばせばもう少しなのに、こんな所で倒れてしまうなんて──



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