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封印惑星)第6回●ハーモナイザーからの派遣端子アー・ヘブンは、スパイダーネットから抜け、ユニコーンに遭遇。が ハーモナイザーのこの監視用端子に、アー・ヘブンは 同化できず、危機を感じるた。

封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回●

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/




アー・ヘブンは意識をとり戻す。



奇妙な液体がアー・ヘブンの体をとりかこんでいる。

アー・ヘブンはすばやくこの液体の成分を分析する。


 塩分、鉄分、鉱物資源を多く含む液体層。それが透視層だった。


 この中で生物体はやすらかに眠り、その眠りの間に、生体や生体細胞、生体情報が、すみからすみまで分析される。



 アー・ヘブンは,層内には数々の星の、種々の精一構造を持つ星人の意識が浮遊しているのを読みとっていた。


それらの意識は、スパイダーネットによってつかまえられた星人の意識なのだろう。


この透視層に浮かんでいる星人の意識は、色々な事を叫びつづけている。


幻想的なイメージでー杯なのだ。そのイメージは一種、心のトリップをかもわせ、アー・ヘブンも興昧屎かった。


私も、そんな意識因子になるのか。


アー・ヘブンは、快いまどろみの中でそう感じた。


それもいいかもしれない。


ハーモナイザー末端部の個性群体に属していた時の気分に戻っていた。


まるで、羊水の中にいるようだ。


アー・ヘブンの心は、さまよっている。


それはとてもいい気分であり、、長い宇宙飛行のあとの休息、、


それに、体もバラバラに解体され……


すでに「アー・ヘプンの切り離された肉片」が解けて、同化しようとしていた。


『何をしている、アー・ヘブン』


 心の奥で光るものがあり、それがまどろみをさえぎろうとする。

 

『アー・ヘブン、お前の使命は何だ。それを思いだせ』


その声は明らかに怒っていた。


アー・ヘブンに言いきかせている何かが、アー・ヘブンの心のどこかにいた


『その透視層の中から抜け出せ。溶液の中から逃げ出すのだ』


光の声は、そう叫んでいた。


まどろみたい、この安らかな溶液の中で。


意識が再び沈んでいきそうだった。


相反する二つの意志。


アー・ヘプンの心はまっ二つに分裂する。


そんな気がする。


どうすればいいのか。


自問自答する。


 意識の中の光が、働いていた。


『そこから、はい出せ」


アー・ヘブンは、自分の球体に内包している全ての触手を、全開した。


3番目の触手が、透視層の外壁を一気に突き破っていた。


破れ口は拡がり、溶液は流れ出て、勢いにのって、アー・ヘブンも押し出された。


 溶液に含まれている種々の星入の意識が、コードの内壁に拡がる。


それらはバチバチと音をたてて、コード内に張りめぐらされた「天宮」の神経糸を刺激した。


 アー・ヘブンは、しばらく倒れていたが、肉体としてなんとか立ちあがる。


アー・ヘブンはの視覚組織は、自分の目の前にいる生物体を読み取っていた。、


 その生物体はたしか、、、、。


 天宮に関する知識を、プレイバックする。


 「そうだ、新機類か」


 アー・ヘブンは、思い出していた。


 この新機類、ユニコーンは、ハーモナイザーが作り出したものだ。


そう確か、ハーモナイザーが天宮を監視するために、新機類と呼ばれるユニコーン型の観測機械を大球上に配置したはずだ。


 が、何かが少し違っている。


 アー・ヘブンは、ユニコーンに意識を送り込み、意識を融合しようと努めた。


しかし、アー・ヘブンの意識は、はじきかえされた。


やはり変だ。


ユニコーンの意識に同化できない。



ハーモナイザーの意識の一部であるならば、たやすく「アー・ヘブン」と内部で意識融合できるはずガのだ。


が、意識の融合現象は、おきなかった。


あきらかに、そのユニコーンは何ものかに加工されたに違いなかった。


アー・ヘブンはゆっくりと、ユニコーンヘ近づく。


それより先に、ユニコーンの方がアー・ヘブンヘ接近してくる。


ユニコーンは勢いづいていた。ユニコーンの角がキラリと光っている。


眼には憎しみの感情があふれている。


 感情だと! 


それも憎しみの!


アー・ヘブンには理解しがたかった。


憎しみの感情がまだ残っているのか


このような感情は、ハーモナイザーの世界には存在しないはずだ。


憎しみの感情が、こんきに原始的な形で存在しているなんて!


アー・ヘブンは、未知の異なる存在に対する反応をおこしていた。


ユニコーンは、あきらかに、私アー・ヘブンを抹殺しようとしている。


 「抹殺!」


何んという、原始的な感情なのだろう。


が、アー・ヘブンも古い本能を思い出していた。


それは、先刻、透視層をつきやぶった時から、徐々に、アー・ヘブンの心を浸しつつあり、自分でも統禦できないものだった。


「身を守る」という概念が、古い意識の下から蘇ってきていた。


ユニコーンの角は、アー・ヘブンの第一表皮に接触した。


瞬時、アー・ヘブンは自らの体内エネルギーを解き放っていた。


ユニコーンは動きを止め、胴体の真中からばっくりと二つに割れた。


腹腔から、ずるっと内臓があふれ出た。


湯気をあげているそれは、機械内臓ではなく、有機体のそれだった。


アー・ヘブンは第一触手を、ユニコーンの体内に這わせ、神経記憶を読みとろうとした。


『彼女が目ざめた時、すでに連れはいなかった。彼女は彼と旅をするはずだった。


どうやら「北の詩人」という存在とすでに旅立ったらしい。


彼女、ユニコーンは、彼「北の詩人」を求めて、大球をさまよった。


が、大球では見つけることができなかった。


しかたなく、彼女は、コード内に侵入し、異物とそうぐうしたのだ:・・


「この記憶は……」


アー・ヘブンがユニコーンの記憶に驚いた一瞬、危険という概念が、電撃の様に体を貫いていた。


巨大な物体に、アー・ヘブンははじき飛ばされていた。


(続く)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回●(1987年作品) 

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/


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