序章 ある男
処女作です。まだ拙い部分がありますが、見てくれれば幸いでございます。ごほうb・・・ご指導ご鞭撻をくれればなおベネ。
科学技術は我々の生活をより豊かに、便利にしてくれた。
鉄道で移動時間を短縮し、飛行機で人類が翼を手にし、ロケットを飛ばし宇宙へ行けるようにし、スマホで手軽に世界と繋がるようにし、バーチャルリアリティのオンラインゲームで某ラノベみたいなことができるようにし、海底に眠る資源の実用化に成功し、日本の資源問題を解決してくれた。
これらのことができるようになったのはもう数十年前のことである。
何より、俺たちが夢見ていたことをできるようにしてくれた!
――魔術である。
小説や漫画、ゲームで誰もが夢見ていたことをできるようにしてくれたのである。ヴァーチャルリアリティのゲームよりもかなりリアルなことができるようになったのである。
30年前に富士山の樹海に落下してきた隕石から検出された未知の物質が、多くの人々を魔術師にしてくれたのである。
当然俺も魔術が使えるようになり、小学生は神童と呼ばれるほどの魔術師だった・・・。
「すごいや翔太君!!こんな魔術ができるなんてすごいよ!!」
「いいなあ翔太は。俺も早く使えるようになりたいなぁ~」
「音無君!君は我が校の誇りだ!」
小学生時代は周りに魔術が使える人間が少なかったのか、俺は学校一の人気者になった。魔術を使えば誰もが一喜一憂する。誰も俺に対して不快感を示さなかった。
しかし、慢心だった。周りから持て囃されて天狗にでもなったのだろう。努力を怠ったせいで周囲とはかなり実力の差をつけられてしまい、中学3年間は苛められるに落ちぶれてしまった。
それでも逆転を狙うべく受験勉強と魔術の鍛錬に励んだが、試験に失敗してしまった。
おかげでおれは東京一の底辺魔術学校のスクールカースト最底辺にランクダウンしてしまった。
今では魔術師崩れの不良どものパシリやサンドバッグを務める日々である・・・
どうしてこうなってしまった、何がいけなかったんだと、自問自答を繰り返すばかり。
だがそんな日々はある事件をきっかけに大幅に変容してしまうとは、この時思ってもいなかった・・・