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第四魔王の支配地、ヴィレンチェ

 僕はその後、ルチアとカイの案内で金の融資を受けると、すぐに商業の手ほどきを受け、実際に綿花を買い占め、商工業者に売り飛ばした。

 大体、十ヘラ程度で綿花が三百グラムほど買えるので、試しに八千ゼウス投資して綿花をかき集めて、それを商工業者に売り飛ばしてみた。

 すると、見る間に財が増えていき、手元には一万五千ゼウスが集まった。

 合計、一万七千ゼウスだ。

 このまま、取引すれば一気に財も膨れるんじゃね?と僕は思ったが、そこはさすがベテラン、ルチアは指を振りながらこう言ったのだった。


『そうもうまく行かないのよ。これだけ綿花を売り飛ばせば暫く市場は綿花で溢れるから、値段も上がらないの。下手したら赤字になるわ。だから時期を置いたり、別の商品を取引したりするのよ。[金は使い処と使い時が大事]よ。』


 ご丁寧に絶対の言葉も添えてだ。

 という訳で、僕は治めるべき土地であるヴィレンチェに向かった。

 そこは霧が立ちこめて如何にも不気味であった。

「ここは霧が立ち込めるので有名でね。先代の魔王の時はそのダンジョンを『死の塔』と呼ばれて恐れられていたのよ。まぁ、今は別の意味で恐れられているけど。」

 ルチアはぶつぶつと言いながらその霧を鬱陶しそうに払いつつ先頭を歩いていく。

「ここらの魔物も冒険者達によって強いのは狩られてしまいましたから、雑魚ばかりでございますね。」

 カイは辺りの魔物をつまみ上げては放り投げた。

「早い話が、今の魔王は怠けまくり、って訳か。」

「まぁ、そうね。全く、あいつがあれをこんな場所に置くから―――。」

 わぉ、指示語ばっかり、何を言いたいか分からない。

「で、カイ、ここにはどんな魔物がいるの?」

 話題を変えるようにルチアは背後の執事に問うた。

 彼は辺りの草むらから魔物を捕まえながら言う。

「蛇類や蜘蛛類、土属性の魔物も多いですね。あとは幻覚を見せる妖精なども多いようです。」

「まぁ、予想通りね。ジャロディやアラッグは生きていると思う?」

「彼らが容易く死ぬとは思えません。」

「だよね。」

「あの、突っ込んで良いっすか?」

「うん?」

 僕の控えめな声にルチアは小首を傾げた。

「まず一つ目、土属性の魔物って?」

「うーん、ようは土人形(ゴーレム)泥触手(マッドハンド)とか、土ベースで出来た魔物よ。動きはとろいけど力は強いわよー?」

 何故疑問系で返すんだ。全く。

「―――二つ目、幻覚を見せる妖精って?」

「まぁ、妖精全般よ。夢魔や妖霊などなど。」

「へぇ。じゃ三つ目、ジャロディとアラッグって?」

「前者は大蛇、後者は大蜘蛛よ。手強いけど、良き茶飲み友人でもあるわ。」


 ―――大蛇と大蜘蛛と魔王が茶会とは……シュールな……。


「と―――ここが死の塔の麓の村ね。割と人口も増えてきたと聞いているわ。冒険者達もよく宿泊しているようだし。私も迂闊に顔を出したらばれて討伐されちゃうわねー。気をつけないと。」

 ルチアは見えてきた村を指差しながら言った。

 なるほど、アメリア地方の町に比べたら貧相だが、活気づいているようだ。

「まぁ、ここの魔王様が堕落したせいでございますが。」

 カイがそう言うのを聞きながら僕らは歩を進めていく。

「今日は通過するよ。後で自分で見学するんだねー。」

 ルチアはそう言いながら村の真ん中の道を突っ切っていく。

 その様子を町の人達は物珍しげに見ていたが、すぐに自分の用事を思い出してせかせかと動き始めた。

 そんな中、じっと僕らの事を睨んでいるのは大剣を携えた男や殺気を放つ女などだ。

「やっぱり、不審者がいると冒険者は目がつけるわね。差詰め、魔王への使者か何かだと思われているのね。」

 まぁ、私自身が魔王だけど。と彼女は付け足しながら堂々と道を歩んでいく。

 そして、町を抜けると尚一層濃い濃霧が辺りを包んだ。

「妖術の類の霧も混ざってきましたね。お気をしっかり保たねば惑わされます。お気をつけ下さい。義平様。」

「気をつけるってどうやって―――?」

 僕が戸惑っていると、ルチアはふんっと小馬鹿にするように鼻で笑いながら言った。

「その身体は割と魔法に対する力が強いから安心して良いわよ。ただちょっと気を引き締めねばならないわ。何せ、この霧を作っているのは夢魔の大群だから。」

「夢魔?」

「左様でございます。通称、サキュバスと呼ばれ、地球上で顕現する事も多々ありますが、あまり地表は好まず、人の夢の中に現れて性行為を為していきます。この世界では、男を誑かし、食べる、人食妖魔の一種とされています。」

「人食妖魔、ねぇ……。読んで字の如くだな。」

「他にもセイレーンやアフリートなども含まれております。」

「はいはい、二人とも話はそこまで。塔からのお迎えが来たわよ。」

 ルチアはぱんぱんと手を打って言った。

 僕は視線を前方に据えると、霧の向こうから女性が現れた。

 美しい和服の女性で、どこか妖艶な気配を放っている。

 その人はニコリと微笑むと頭を下げた。

「これはこれは、ルチア第二魔王陛下にカイ様。それにお客人。」

「純一には会えるかしら?」

 ルチアはそう訊ねると、コクンと女性は頷いた。

「ご案内します。」


 僕らはそのままその女性に案内され、霧の奥へ進んでいった。

 そのうち、霧の中からぼんやりと高い塔が見えた。

 その中に僕らは入り込むと、階段を上がっていった。

 すると、その階段や廊下の窓や扉からひょこっと好奇の目を携えた夢魔達が現れた。

「なるほど……。迂闊に忍び込めば彼女らの餌食、って訳か。」

「そういうこと。だからここは『色欲の要塞』と呼ばれているわ。」

 ルチアは不機嫌そうに言う中、ずっと先導して歩いていた女性は立ち止まった。

「魔王様、失礼致します。」

「入れ。」

 中から男の声が聞こえた。

 ルチアは一つ頷くと、女性を退かして扉をぐいっと開けた。


「ようこそ。」


 そこには洒落た格好の男が片手にワイングラスを持って高級そうな椅子に座っていた。


「[我が名は純一・ヴィレンダ。第四魔王]だ。」

ハヤブサです。


意外と、お気に入り件数がいつものと比べてみると伸びている速度が速い……。

ふむむ……意外や意外。



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