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石造りの部屋で嗤う執事

   ◆◇◆


 薄暗い石造りの部屋。

 そこには一人の女性がいた。

 彼女は石で出来た椅子に座り、同じく石で出来た机へだるそうに頬杖をついていた。

 その視線の先にはいわゆるパソコンのディスプレイ。

「全く、今時の若いのは野心ってのがないのかねー。野心って言うのは。」

 えっと、トーヨー大学はっと―――と呟きながら女性は指を振る。

 それに連動して画面が移り変わった。

「『秘密結社についての研究』『現代人と古代人の違い』『現代小説家の軌跡』……どれも冴えないわね……。現実味が溢れすぎていてつまんないわ。大学の論文なんだからもっとしっかり……。」

 女性はぶつぶつと呟きながら指を振った。

「んじゃぁ……メージ大学はどーよ。」

 彼女はそう呟くと二度指を振った。するとまたもパッと画面が切り替わる。

 その画面をだるそうに眺めながら指をくりんくりんと宙で回していたが、ある瞬間、それがピタリと止まった。

「うん……?」

 女性の瞳が徐々に期待の色で染まっていく。そして彼女は鋭く指を振り下ろした。

 すると、パッと画面が切り替わり、一人の男の写真が映し出された。

 同時に名前や経歴などもずらっと表示される。

「フフフ……いい素体を見つけたわよ……。カイ!」

 女性はディスプレイを食い入るように見ながら一声、大きな声を上げた。

「お呼びでしょうか。お嬢様。」

 そこにスッと現れたのは執事服の男性。

 凛々しき顔持ちで、片手には緑茶の入った湯飲みがのったお盆がある。

「ついでにお茶をご用意しました。」

「貴方はいつも気が利くわね。それじゃ―――命令を下すわ。」

「はい。」

 女性の脇に湯飲みを置く執事に対して、彼女はそのディスプレイを指差しながら言った。

「下界に降りてきて、この子を殺してきて。」

「畏まりました。素体Aは準備しておきますか?」

「ええ、お願いするわ。何せ、良い子が見つかったんだもの。丁重に扱わないとね。」

「畏まりました。」

 執事は腰を折ると、その場ですうと姿を消した。

 女性は一人、わくわくとそのディスプレイに目をやった。

「楽しみだわ……。」


   ◆◇◆


「うん……?」

 僕が目を覚ました時には、冷たい石造りの寝台に横たわっていた。

 ―――うん、横たわっていた。


「は……?」


 いやいや、有り得んだろ、今時の日本で石造りのベッドなんて。

 僕は胸のうちで突っ込みながら身体を起こした。

 何だか、何日も寝ていたかのように身体がだるい。

 僕は身体を起こしてパキポキと首を左右に曲げて音を鳴らすと、どこからかパンパンと柏手を打つ音が聞こえてきた。

 僕は訝しげに辺りを見渡すと、目の前に突然、男が現れた。

「エクセレント、さすがお嬢様の見込んだお方、もうその肉体を使いこなすとは。」

「はい?」

 僕は突然の人間の登場に驚いて思わず後退すると、ふっとケツの辺りが浮いた。と同時にぐりんと視点が回転する。

 ドシンッ!

「あいたぁ……っ!」

 どうやら、後退しすぎたらしい。

 寝台で身体を起こした状態、すなわち寝台に座っている状態から一気に後退したので、寝台から思いっきり落ちてしまったらしい。

 しかも、この部屋、何もかもが石造りらしく、床までもピカピカの大理石で出来ていた。

 つまり、超いてぇ。

「―――エクセレント、ですね。」

「どこがだ!」

 そうどこかおかしそうな表情で言う男に僕は激しく突っ込みながら立ち上がった。

「いえ、何でもございません。ぷくくっ!」

「おいこら!貴様、今笑っただろ!」

「ええ、ちょっと思い出し笑いを……ぷふっ!」

「何を思いだしているんだ、何を!」

「いやぁ、この寝台から落ちた間抜けな殿方の姿……ぷぷぷっ!」

「ちょ待てぇ!何で三度も笑う!三度も!」

「二度あることは三度あるということわざをございませんか?」

「何故そこで突然、真顔になって言う……ってちょっと待て!その目は何だ?『この可哀想な子なーに?』っていうその視線は!?」

 僕が激しく大声で突っ込む―――いや、抗議していると、男はニヤニヤと含み笑いをした。

「これは失礼致しました。赤城(あかぎ)義平(よしひら)様。」

「―――え?何で僕の名前を?」

 僕は警戒しながら後ずさった。

 ―――というか、もう見知らぬ場所で見知らぬ男がいたら警戒するべきだったのだが。

 とにかく、目の前には何故か執事服を着た男がいるということだ。

 如何にも紳士的な顔立ちである。

 何故、ここに僕がいるのか、そして相手は何者なのか。

「申し遅れました、私、カイと言います。以後お見知りおきを。」

「ああ、どうもご親切に―――じゃなくて!」

 僕は思わず応じそうになってしまった。いかん、紳士的すぎる。

「一体、ここはどこだ?んで、何で僕の名前を知っている!?何が目的だ!?」

 僕の問いにカイは柔和な微笑みを浮かべて言った。

「ここはアメリア銀行の事務室でございます。そして、貴方様の名前を知っているのは私共、いえ、お嬢様の目的に絡んできます。その目的とは―――。」


 カイは僕をしっかりと見据えて、それは冗談でも嘘ではない、ということを示しながら言った。


「貴方様に魔王になって頂くためです。」

ハヤブサです。


たまたま思いついて書いてみた作品です。

どうぞよろしくです。


あ、ちなみにこれはハヤブサが書いた全ての話を繋げかねない話です。

まぁ、そのタネはおいおい出てきますが。


とにかく、よろしくお願いします^^

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