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初恋  作者: 周防駆琉
6/8

ああ、そっか。

翌日、夕方に柚衣がやってきた。今日も制服姿。学校帰りらしい。



「昨日は悪かったな。驚かしたし、遅くまで居てくれたんだろ」



「ううん…歩永実くん、大丈夫?」



「大丈夫大丈夫、気にするな」



「ほんとに…?」



目にうっすらと涙を浮かべ、柚衣が言う。



「…本当だよ、お前はお前の心配してろ」



一瞬、答えが遅れたのを柚衣は敏感に感じ取った。



「嘘っ!!…本当のこと、教えて?私だってもう子供じゃない」



「だから、本当だって。別にお前のこと子供扱いしてるわけじゃない」




 ごまかすのが限界なのはわかっていたけれど、言ったところでどうにもならない。このまま、曖昧なまま、柚衣が何も知らないまま、いなくなりたかった。



「昨日、すごく勇気を出して歩永実くんのお見舞いに行ったの」



柚衣は顔を真っ赤にしてぼろぼろ泣きながら話し始めた。



「我慢できなくて電話して、出てくれなくて、メールも返ってこなくて。嫌われたんじゃないかって…」



「…別にそういうわけじゃ」「それで、直接聞いてみようと思った。もし、もしも迷惑じゃないって言ってくれたら、自分の気持ちをちゃんと言おうと思った」



俺の言葉を遮って、柚衣は話し続ける。

…柚衣の気持ち?それは…



「私、歩永実くんのこと…」「待て」

 


柚衣の口に手を当てて今度は俺が柚衣の言葉を遮った。



「わかったから、落ち着け」



なんとなく、きっと心のどこかで、柚衣の気持ちは気づいていた。…気付かないふりをして逃げていただけで。


どうして?どうして、俺は逃げる必要があった?…柚衣を傷つけないため?


違う。自分が傷つきたくなかった、こんな感情を持っていても俺にはどうにもできないから。



「……俺は…」



なんて答えるつもりだ?



頭で考えるより先に、身体が動いていた。


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