色の歌詞
はーい。今日はここまでだ。ノートに取っておくように」
先生はそう言い残し教室から出て行った。
私は先生に言われたとおりにノートに黒板に書いてあることをうつし、ノートをおさめた
ほとんどの人はノートに書くこともせず友達と遊んでいる
私は結構優等生だ。まぁ・・髪は金髪だけど。
だからというわけではないが友達はいない。
別にいなくていいと思うし、いてもめんどうそうに思うのだ。
友人なんてただの形だけ。私はいつの間にかこんなにもくだらない人間になっていた
「ちょっと・・何しけた面してるの?移ったらどうすんのよ
金髪」
その声は私の耳の中に侵入してきた。
あぁ・・・うるさいのが来たな
「あー・・・。すまない。だからあっちいけ」
「いやよ」
「・・・」
なんなんだこいつは生意気な奴だな。
最近やたらとちょっかい出してくるし。いやがらせか?いや・・絶対嫌がらせだ
「ていうかアンタ、音楽に興味ない?」
「はぁ?」
「私は詩を書くのが好きなの!!」
「・・だから?」
「あなたに歌ってほしいのよ!」
はぁ?急に何言いだすんだ。あほ?
それは前から知ってたけど・・・。何がしたいんだこいつは
私が歌う?何を?お前が書いた詩を?意味がまったく理解できないんだけど
「だからね・・歌ってほしいの。私が書いた詩を」
「・・・なぜ私なんだよ」
私が少しキレ気味に質問をしてみると、彼女は私の顎をくいっと持ち上げて
言ったのだ
「あなた、声の質からしてかなり歌がうまいということがわかったの」
「・・・だってお前私が歌ったの見たことねーじゃん」
「見なくても何時も出す声で分るわよ」
彼女はにっと笑いながら私を見た
「はなせよ」
「あ・・ごめん」
彼女は、ぱっと私の顎から手をはなした。
「で・・・私に歌ってくれと・・」
「そう!!」
彼女はにっこり笑ってこちらを見た。
「そういえば自己紹介・・・まだだったわよね」
「・・・あ・・ああ」
「私は啞樹、姫之啞樹」
彼女は微笑んでそういった。
「私は・・・霧理魅夏」
「そう!!じゃあこれからよろしくね!!」
「お・・おう」
私は彼女のテンションにひきながらも
そう答えた。
「じゃあ、さっそく歌ってもらうわよ!」
ここは神社。
啞樹の家だ。と言っても他に家があるそうだがそっちは父がいるそうで
駄目らしい
「あ・・ああ分った」
私はおなかに少し力を入れて声を出した。
歌は皆よく知っているものだ。卒業ソング。今人気なのかは分からないがな
「おお~やっぱり私が思った通り!!いい声だわ!」
啞樹はすごく喜びあふれる笑顔できゃっきゃっしている
(かわいいなぁ)
・・・・は?
いやいや・・。何言ってんの?え?いや・・・
うん。子供っぽくて可愛いと思っているだけ・・だよな。
そうだようん。うん。うん
「あら?テンション低いわね」
「お前が高いだけだろう」
「・・?そうかしら」
「そうだよ」
啞樹は後間の上に?マークを浮かべている
「そういえば・・お前の詩は?」
「え・・」
「ないのか?」
「うーん。ない事は無いけど」
啞樹はカバンから一冊のノートをだした。
ここに歌詞を書いてるのだろうか?
「あまり良くないわよ?」
「・・・」
俺は、じっと見ていった。普通だな・・・。
なんというかありきたりだ。
「ありきたりだな」
「・・・そうなのよね・・。思いが込められてないっていうか。
ただ、作ってるだけっていうように思えるのよね」
「・・・お前は、どんな歌詞を書きたいんだ?」
私が尋ねると啞樹は少し迷ったがすぐに返答は決まったらしく
うんっとうなずいた
「思いが詰まっていて・・・色のあるもの」
「は・・?」
「だから、色のあるもの透明じゃなくて色があるもの」
「白でもいい・・・黒でもいい・・ただ色があるもの」
彼女は胸に手を置いて呟いた。
その時の彼女はとてもと言っていいぐらいに美しかった
素晴らしかった。綺麗だった
「色があれば・・・何色でも」