48 黒髪には和服が映える
妄想エンジェルズがもうすぐ実装ですね
ある日、織姫はいつもの様に工房にてくま吉……ベアスパイダーの中でも希少なホワイトラインの糸やユキから貰ったデスフォレストスパイダーの糸を使って服に使う生地を作っていた。
他にも国からの援助で手に入れた素材で生地を作り、国の職人達に渡すのも現在の織姫の仕事である。
「聖装職人で作った生地は性能の良い装備が出来るから仕事には困らないわね」
毎日の日課で有る生地作りを終えて、メアリー婆さんの店の店番をしながらのんびりしているとドアベル音が店の中に響いた。
視線を出入口に向けると、そこには少し身長の高い貴婦人が立っていた。
美しい黒髪にスラッとした綺麗な立ち姿に同じ女性である織姫は思わず見惚れてしまう。
「あ、い、いらっしゃいませ! 何をお求めですか!」
「いえ、ここに腕の良い服飾職人が居ると聞いたので来てみましたの」
「えっと……メアリーさんの事でしょうか?」
女性は織姫の言葉に微笑むと、首を横に振り否定する。
「最近……頭角を現した方の様で凄く若い女性らしいですわ」
「……!?」
織姫の中で少し警戒心が出てくる。
何故ならば、織姫が服飾職人として布製品を卸しているのは王国のごく一部人達だからだ。
国が管理しているためそう簡単に織姫に辿り着く筈が無いのだが……
「王国からは何も伺っては居ませんわ……ですけれど、マヒトくんと知り合いですのよ?」
「へ? 真人君をしってるんですか!?」
女性から思いがけない人物の名前が出てきて思わず聞いてしまった。
そんな織姫の様子を女性は微笑ましそうに笑うと言うのだった。
「わたくしの名前はマザー……オリヒメさん? わたくしに服を一着作って下さらないかしら?」
「えっと、そのだったら着て欲しい物が有るんですけどそれでも良いですか?」
「ふふ、もちろんですわ」
こうして、織姫とマザーの唐突な邂逅が果たされたのだった。
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「ふふん、一目見て思ったんだよねぇ……あ、着物が似合いそうってやっぱり黒髪には和服が映えるよね!」
「わたくしも着心地が良いので気に入りましたわこの着物と言う衣服は……着付けと言うのもしっかり教えていただきましたし、普段使いに2着と大事な時用に1着買ってしまいましたわ」
すっかり意気投合しているようで、二人は楽しそうにお喋りに興じて居る。
困った顔のドリトンさんが「どうにかしてくれと」此方を見つめてくる。
「えー、何でマザーは王都に?」
「観光です……そして偶々、オリヒメさんの噂を聞きましたので会ってみたくなった……それだけですわ」
「そうそう、仕事を受けてやり取りしてる内にユキさんのお母様だって分かってね。クルーデンに近々行く予定って話したら宜しければご一緒に行きませんかってなってね」
マザーの言葉は恐らく嘘で、もしもの時の為にも織姫を一目見ておきたかったのだろう。
織姫もマザーが蜘蛛だと分かっても平然としているのはライ達でなれたからだろう。
「マザーさんが真人君の眷属じゃないって聞いてビックリしたよ、まあお詫びにデスフォレストスパイダークイーンの糸を貰えたから良いけど」
「それって何れだけ高価何です? ドリトンさん」
「城……所か国が買えるかも知れん」
「ひぇっ」
ドリトンさんの神妙な顔持ちから言葉に思わず声が漏れた。
織姫は気にした様子もなく持ち物のバックにしまい込む……アレってマジックバックかな?
そして、気を取り直して織姫が俺達に提案をしてきた。
「真人君、だいぶ素材も集まったしせっかくだから皆の装備を新調しましょう! 優衣と久遠君に送る分は完成させたからこっちに専念できるわよ」
「おお、突然だな。まあ、クロガネの装備の事も有るしお願いしようかな」
「うむ、オリヒメ嬢よろしく頼む」
そんなやり取りをしていると、織姫達三人の視線がクロガネに向けられる。
「マヒト、そっちの奴は新しい仲間か?」
「ああそうだった。クロガネ自己紹介してくれ」
「この度、マヒト殿の配下の末席に加わったマコウカブトのクロガネだよろしく」
「私はオリヒメ・キヌイ、皆の装備を作った服飾職人よ」
「俺はクルーデンの冒険者ギルドのギルドマスター、ドリトンだ」
クロガネの自己紹介に織姫とドリトンさんが応える、マザーは元々知り合いだからか返事は返していない。
「……長はどうしましたか?」
「親父は死にました……今は代理を立てて一族をまとめて貰って居ます」
「そうですか……」
マザーは少し悲しそうに俯いてしまうが直ぐに顔を上げてクロガネを見据える。
「クロガネ、マヒトくんの側で尽力なさい……私からは以上です」
「は! マザー殿!」
暗い話しは個々までにして、ドリトンさんがクロガネのギルドカードを用意するのに部屋から出たので俺達はギルネイさんの元へと移動する。
マザーは帰るらしく俺達に織姫の事を託していった。
「マヒトくん、オリヒメさんに仕事を頼むのでしたら屋敷に泊めて差し上げて下さい。彼処なら一通り作業場が揃っていますから」
「ええそれは勿論、部屋も余ってますし」
「本当!? じゃあお言葉に甘えさせて貰うわね!」
「そう言う事ならクロガネは先に戻ってユキに伝えて来て」
「うむ」
マザーとクロガネを見送り、織姫とライを連れてモンスターの解体所に移動する。
モンスター解体所に行くと、ハーデリアさんから話を聞いたらしいギルネイさんが既に準備万端で待っていた。
「待っていたいましたよ!! さあ、手土産とやらを早速出してください!! さあ!」
「うわぁ、なにこのキャラの濃い人は……」
「まあ、初対面だとそうなるよな」
ギルネイさんは織姫に気付いたのか、姿勢を正して真面目に自己紹介をする。
「失礼しました、私はギルネイ・クロスハートと申します……主に解体所の責任者を勤めさせて頂いております」
「あ、はい服飾職人のオリヒメ・キヌイです……よろしくお願いします」
突然の切り替えに若干織姫が引いて居るが、ギルネイさんの真面目モードは長くは続かなかった。
何故ならばライが空間魔法から手土産を取り出したからだ。
「おほぉぉぉお!! これは正しく魔鋼の森に住まうと噂のマジックアイアンリザード!!」
「あっちの子達が頑張ってくれてね……最深部にしか生息してないみたいだからね、中々御目に掛かれないだろうと思ってね!」
ライの言葉にギルネイさんは大興奮で、マジックアイアンリザードの解体を始める。
「魔鋼鉄の鱗、魔法耐性の高い皮、希少素材の宝庫ですよおおお!!」
「今回も肉以外は買い取り……」
「ああ!! 皮! 皮は私に頂戴!」
「……肉と皮以外は買い取りでお願いします」
「了解しました……買い取り金額は希少姓を考慮して約300金貨になりますね、此方はギルドでお預かりでよろしいですか」
「お願いします」
ギルネイさんは頷くと、手早く肉だけ解体してライが受け取り空間魔法にしまっていく。
そして、カウンターでクロガネのギルドカードを受け取り俺達は屋敷に帰る事にした。
「そう言えば、前から織姫に装備を頼んでいたけどこれからは国から貰った素材を使うならお金を払った方がいいのか?」
「それは大丈夫! 私が作る場合は素材は好きに使って良いし、費用も取らなくて良いってエリオット王が言ってたわ」
織姫が言うにはこれも俺や正義達への支援の一環の様で、有りがたく利用させて貰う。
「ふへへ、皆の服作りはやりがいがあるわね……あ、クロガネさんの採寸したいから真人君から声を掛けといてくれるかしら?」
「了解、ほら家が見えて来たぞ」
「うえぇ!? 思った以上に豪邸なんだけど!?」
意外な再会は有ったものの、俺達は無事にダクライトでの仕事を終わらせたのだった。
おまけ
マザー「因みにわたくしの着物にもちゃんと元の姿に戻った時の対処をして貰ってます」
作者「今までの服はどうしてたの?」
マザー「変身する度に脱いで、着てを繰り返してましたわ……」
作者「……シュールですね」
次回! 真人の得意属性判明!




