47 魔王への報告とクルーデンへの帰還
現在なろうチアーズにて連載チャレンジ中……皆さんは居かがでしょうか
教会に着くと、直ぐにシエル様が居る部屋に行く事になった。
執務室の扉をミロスさんがノックする。
「魔王様……ダクライト国騎士団団長ミロス・ホーンハイム並びにクルーデンの冒険者マヒト一行、ただいま戻りました」
「……入れ」
「は! 失礼します!」
シエル様の返事にミロスさんは応えて扉を開ける。
その際に小さい声で俺はミロスさんに声を掛ける。
「ミロスさん……団長だったのか?」
「はは、むやみやたらに身分は明かせないのさ……ここでの名乗りに関しては信頼の現れだと思って貰えると有りがたいかな?」
「ん、了解」
会話を終わらせて俺達もミロスさんと並んでシエル様の前に立つ。
シエル様は俺達を見回すと、少しホッとした表情をした。
「ミロス、そして虫の王とその配下の皆様……今回はご苦労様……そしてありがとう心から感謝します」
「ありゃりゃ、やっぱりバレてたみたいだねぇ……」
「取り敢えず楽にして? ミロスも詳しい報告を聞くから座りなさい」
シエル様の言葉に、想定内だったらしいライは軽い調子で笑っていた。
シエル様は俺達にソファに座るように促してミロスからの報告を聞く。
「ではミロス報告を始めなさい……マデリア、貴女も聞いて報告書を作って」
「かしこまりました」
「はい、まずは原因との遭遇から……」
ミロスさんはシエル様とマデリアさんにマジンクワガタとの遭遇からマコウカブト達との出会い……そして、マコウカブトとマジンクワガタの激闘までを事細かに報告していった。
そして、ミロスさんの報告が終わるとシエル様は少し疲れたように……逆にマデリアさんは目を輝かせている。
「ふぅ、一つマジンクワガタに此方の虫の王が関わっている可能性は?」
「皆無です……が、何者が奴等の後ろに居るのは確かです」
「ぬおお!! ミロスよ!! マコウカブト達が人の姿になるのはいつ頃か!? 物凄く話しをしたいぞ!!」
「それは……クロガネ殿にいってくださいマデリア殿」
「おい! 俺にキラーパスを寄越すな……近い!! マデリア嬢近い!」
恐らくシエル様はあえて目の前で確認する事で此方に疑いは持ってないと示しているようだ……実際、ライ達は気にした様子はない……ヨミだけ気に食わなそうだ。
そして、マデリアさんは好奇心が暴走しているようでクロガネがたじたじだ……見かねたシエル様が助け船を出してくれる。
「マデリア……その辺りにしておけ、ここでクロガネ殿が機嫌を悪くすれば話すことが叶わなくなるわよ?」
「ぬぅ……申し訳ございません」
「はぁ、我が同胞達は人の姿になるのに積極的だ……すぐに……とは言えないがそう遠く無いうちに人の姿を取れるようになるだろう、その時は是非とも同胞達を宜しく頼む」
クロガネはシエル様達にそう言うと、マデリアさんは「その時は是非儂に!」と了承してくれた。
一通りの話が済んだ所で、シエル様が改まって俺達に向き直る。
「改めて今回の件は助かったわ」
「いえ、此方も目的の次いでなだけだったので」
「それでもよ……お礼を渡したいのだけど何か欲しいものは有るかしら?」
シエル様の申し出に俺は少し悩む……正直欲しいものは特に無いが貰わないのも失礼だろう。
悩んでいると、ライが「はい!」と手を上げた。
「何かしら?」
「これからもこっちに来る場合も有ると思うんだ……だから出来れば自由に行き来する許可が欲しいな……マヒトくんもそれでいいよね?」
「あ、ああ良いけど」
「そうか、わかった君達がクルーデンに帰る前に専用の通行証を渡そう……しかし、出来れば街の兵士に一言言って貰えると助かる」
ライが意外な物を欲しがったが、問題なく了承して貰えた。
その後は俺達は魔鋼の森へ行く前に泊まっていた鋼虫亭へと行き追加で一部屋確保してから夕飯を食べることにした。
向かったのは鋼虫亭の一階に有る食堂で地元の料理を食べる事が出来るらしい。
「いらっしゃいませ!」
元気なウェイトレスに案内されて広いテーブル席に着くとウェイトレスにスチールの地元料理を頼む、ウェイトレスが離れた所で俺はライに質問をする。
「ライは何で自由に行き来する権利何て頼んだんだ?」
「ああ、あの魔法の膜はダクライトでしか貼ってないからね……煩わしいのは空の旅には不要でしょ?」
「思いっきり私用ですわね」
ライの言葉に呆れた声を出したのはヨミだった。
そして、暫くすると料理が運ばれて来た……
「お待たせしました! マジックアイアンタートルの蒸し焼きです! お熱いのでお気をつけてお召し上がり下さい!」
……Waoまた会ったね亀さん……亀食べるのか……
「生の時とは違うな……臭みが香草で取られて身はぷるぷるしているな……美味だ」
生で噛っていたクロガネは嬉しそうだ。
亀さんは美味しくいただき、俺達は早々に休む事にするのだった。
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翌朝、俺達は教会に立ち寄りシエル様からダクライトを自由に行き来するための通行証を受け取った。
「マヒトが持っていれば契約している全員に効果が有るわ……それと貴方達が良いと思うまでマヒトが虫の王で有ることは隠しておく、後……魔人族には気を付けて」
「シエル様、ありがとうございます」
「マヒト殿、マコウカブトの件は俺とマデリア様で受け持つ事になった」
「ミロスさんがついてくれるなら安心ですね」
「それはどういう事かの!?」
シエル様達と別れの挨拶を済ませると、俺達はなるべくスチールから離れた場所で元の姿のライに乗り込む。
『全員乗ったねー、それじゃあしゅっぱーつ』
ライが意気揚々と飛び立ち、途中で国境を通ったが行きに感じた不快感は無くなっていた。
ちゃんと通行証は機能しているみたいだ。
そして、少ししたらクルーデンに到着した。
「いやー、ようやく帰って来たねぇ」
「見事な速度だった……我々マコウカブトでは出せぬだろうな」
「早くお部屋に籠って絵本を読みたいですわ……」
「帰ったらまずはぁ……お屋敷のお掃除ねぇ!」
「……」
家臣の面々は思い思いにクルーデンの門へと移動を始める。
そして、いつかと同じように門に立ったハワードさんに声を掛ける。
「おお、マヒトかおかえり……とまた新しい仲間か?」
「はい」
「クロガネと言う、宜しく頼む!」
「ああ、ハワード・ブルランドだよろしく」
クロガネはハワードさんと握手を交わす……しかし、握手をしたきり動かなくなってしまった。
「ほう、これは中々……」
「……!? やはりマヒトの仲間は桁違いだな」
暫くすると互いに満足したのか、握手を辞めた。
ハワードさんは気を取り直す様に咳払いをすると門を開けてくれた。
「ごほん、問題なし! 通っていいぞ、問題は起こさないようにな」
「ありがとうハワードさん」
ハワードさんに声を掛けて門を潜ると、久々のクルーデンの喧騒が俺達を出迎えてくれる。
そんな中、クロガネは彼方此方と視線を向けると楽しそうに笑っている。
「ふむ、強い気配を幾つも感じるな……」
「問題起こすなって言われてるんだから大人しくしてよね」
不穏な物言いのクロガネをライが注意する。
取り敢えず、ライとクロガネを連れて俺達は冒険者ギルドへ顔を見せに……ユキとヨミは屋敷に戻り、シノブはいつの間にか居なくなっていた。
まあ、何かあれば念話をしてくるだろうから放って置く事にした。
俺達が冒険者ギルドに着くと、カウンターに居たのはアイナさんではなくハーデリアさんだった。
ハーデリアさんはこっちに気が付くと、嬉しそうに手を振ってくる。
「おかえりなさいマヒトさん、ライさんも!! スチールのギルドから連絡が有ったのでそろそろだとおもってました!」
「ハーデリアさんは相変わらずだね……ただいまです」
「その口振りだと、ギルドマスターがお待ちかねなのかな?」
ライの言葉にハーデリアさんは頷く。
「スチールでの事を報告して欲しいのと、王都の方からマヒトさんにお客様が来てまして……今丁度ギルドマスターが対応しているので行って上げて下さい……凄く美人な女の子でしたよ!!」
「……? 了解、早速ドリトンさんの所に行くよ」
「そうそう、後で君のお父さんに出先で貰った珍しいモンスターを上げるから楽しみしててよ」
ライが隠れてマコウカブトから何か貰って居たらしいが……それはともかく俺の知り合いか……誰だろ?
何て思いながらも、ドリトンさんの執務室に着いたのでノックをする。
「ドリトンさん、真人です」
「入ってくれ」
ドリトンさんから返事が来たので中に入ると、思いがけない人物が何故かマザーと並んで座っていた。
「何で織姫がマザーと一緒に居るんだ?」
「……待ちきれずに来ちゃった」
「ふふ、私の服を作って貰った時に話を聞いて……どうせならクルーデンで待てば良いと私が強引に連れて来ました」
「私もびっくりだった」
何故か居た織姫は事の経緯を話し始めた。
次回! 織姫は何故クルーデンにいたのか!?




