46 祝勝会とスチールへの帰還
無事二人目虚ろ狩2凸しました。
マジンクワガタ達が去った後、俺達は傷ついたマコウカブト達を連れて里へと無事に戻った。
「あらぁお帰りなさいマヒトくん。皆もお疲れ様ぁ」
「御兄様も皆様も帰ってくるのを信じて御食事を用意して待ってましたのよ」
ユキとヨミが俺達を出迎えてくれた。
その後ろからマコウカブトのメスと子供もぞろぞろとやって来た。
その姿を見たクロガネは一度マコウカブトの姿に戻り角を突き上げて勝鬨を上げる。
『我等マコウカブトの勝利だ!!!』
『『『わあぁぁぁあ!!』』』
クロガネの声に全てのマコウカブト達が喜びの歓声を上げている。
再び人の姿に戻ったクロガネが俺の所に来た。
「マヒト殿……勝利の宴の前に親父を……長の弔いをしたい」
「勿論だクロガネ、何か特別な弔い方が有ったりするのかな?」
「我等一族はこの森に亡骸を埋め、新たな森の木となり一族を見守る……マジンクワガタ達も同じだった、その時ばかりは双方争い事は控えて居たな」
懐かしむ様に言うクロガネとそこにいるマコウカブト達を連れて長が居る広場へと向かっていく。
長の元につくと、クロガネと雄のマコウカブト達が広場の中央に巨大な穴を掘り進めていく。
「この場所は昔からマコウカブトとマジンクワガタが決闘に使う場所だった……俺達の未来にこの場所は闘う場所として使う事は無い」
『長……我等は長の思いを継ぎ、子供達の為にも諍いの無い様にします……どうかこの地より見守って居て下され』
クロガネと最年長のマコウカブトがそう言うと、長の亡骸を穴の中へと丁寧に埋葬していく。
その亡骸は永い年月を経て、一際大きい魔鋼の森の大樹としてこの森を見守り続けて行くのだろう。
「さあ、皆の者……勝利の宴だ!!」
『『『うおおおおぉ!!』』』
クロガネは悲しみの表情を抑え、マコウカブト達にそう宣言する。
マコウカブト達もそれに応えた、その姿には悲観的な物は無く……ただ未来へと進む力強い物に見えた。
長の弔いが終わり、現在俺達はマコウカブトの里にて祝勝会をしていた。
ユキとヨミの手料理を食べながら周りの様子を見てみる。
因みに固形の物が食べれないマコウカブト達には多種多様なスープが用意されて居る。
「何と……人の生きる場所ではこの様な旨い物があるのか!?」
『クロガネ殿が羨ましい……だがこのスープなる物も旨い!!』
『どう作るのか知りたいけど……私達の体じゃ難しいわね』
初めて手の込んだ料理を食べたクロガネ含むマコウカブト達にも好評のようだ。
そして、その会話の最中クロガネが難しそうな顔をしている。
「むむ、同胞達を眷属にしてわかったが……眷属達も努力次第で人の姿になれるようだ」
「え、本当に!?」
『何だと!? クロガネ殿! それは本当か!?』
突然の爆弾発言に俺だけでは無く、ライ達とマコウカブト達も驚いている。
マコウカブト達の問い詰めに、クロガネは頷く。
「我等家臣よりも虫の特徴は残る様だか、恐らく触角程度だろうからさして問題も無いと思う」
『おお!! ならば鍛練有るのみ!』
マコウカブト達はどうやら人間化に意欲的な様だ。
「ふむ、マコウカブト達が人の姿になれば色々と交流が出来そうだな……これは魔王様にも報告しなければ!」
「まあまあミロスくん、今は仕事の話しは無しだよ食べたまえ……あー、お酒が欲しいー」
「ライ、貴女がこっそり晩酌してるのぉ知ってるのよぉ?」
他愛無い会話を聞いてると、まさかの真実が……ライはお酒をこっそり飲んでいた様だ。
「シノブ……御兄様と御姉様方の勇ましい姿はしっかり射影魔道具で撮りましたわね?」
「ばっちぐー」
「でかしましたわ!」
……もう何も言うまい、そ、そんな感じで祝勝会はつつがなく終わりを迎えるのだった。
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祝勝会の翌朝、俺達はスチールへと戻る準備を進めて居た。
「マジンクワガタ達はぁ、私の空間魔法で時間を停めて閉じ込めておくからぁ不用意に近づかないでねぇ」
『はい! ユキ様、ありがとうございます!』
今回の戦いで無力化したマジンクワガタ達は正気に戻るまでユキの空間魔法で隔離する事になった。
その様子を見ていると、クロガネが最年長のマコウカブトを連れて此方にやって来た。
「マヒト殿、今回から一族をまとめる役目を此方の方に任せることになった」
「了解、それで俺に何か様かい?」
『うむ、マヒト殿差し出がましいとは思いますが……何卒、儂に名を授けて頂きたい』
どうやらクロガネ達曰く、まとめ役には名前があった方が便利なのだそうだ……確かに見た目だけじゃややこしいよな。
「んー、じゃあ鋼……コウ爺にしよう」
『おお! ではこれより儂はコウ爺と名乗りますぞ!』
「よし、じゃあマコウカブト達の事は任せるよコウ爺!」
一通りの準備を終えた俺達はマコウカブト達に別れを告げて、新たな仲間であるクロガネを連れてスチールへと帰る事になった。
帰り道は特に何も無いことは無かった。
マジンクワガタ達に怯えて隠れて居た魔物が結構な数居たからだ。
魔鋼鉄を背負った亀みたいな魔物マジックアイアンタートル……はクロガネのおやつになった。
それも生のまま、豪快に噛み砕いて居た……人族には料理の文化が有ることを教えなければ……亀を食えるのかは知らないが……
「淡白な味だ……」
「スチールだと中身は食べるが……魔鋼鉄ごといくとは……」
「亀たべるのか……」
亀は食べるらしい……そう言えばユキは元から料理をしていたな?
「淑女の嗜みですからぁ♪︎」
マザーの教育の成果の様だ……ライは……あ、はい移動に集中します。
次に現れたのはマジックアイアンゴーレムだが、こちらもクロガネが粉砕した。
コアごと粉砕したのでミロスさんが何とも言えない顔をする。
「コアは良い素材になるのだけどね」
「クロガネ……コアは残してくれ」
「了解だ」
「いやー、クロガネくんが居ると楽だねぇ」
次々現れる魔鋼の森特有の魔物達はクロガネによって殲滅されていく。
そして、ようやくスチールの街が見えてきた。
「たった3日経っただけなのにちょっと懐かしく感じるな」
「さあ、早く入ろうか……魔王様にも色々報告しないといけないしね」
「あー、クルーデンが恋しいねー」
「私も家に帰って絵本を読みたいですわ……」
流石のライ達も疲れている様だから、クルーデンに帰るのは明日になりそうだ。
そんな他愛無いことを考えながら無事にスチールの街へと入ることが出来た。
街に入ると、数人の冒険者が集まって話をしていた。
しかし、俺達が入って来たのを見ると全員が驚いた顔をしていた。
「ミロスさん!? あんた無事だったのか!?」
「やあ、随分と物々しい装いだな」
冒険者の一人がミロスに声をかけてくる。
当のミロスはそんな彼等にいつも通りに声を返した。
すると、そんな冒険者達の中から見覚えの有る二人が出てきた。
「ミロス兄!! 良かった無事だったんだね!! おかえり!!」
「おお、シンシアかただいま」
「全く、心配無いって言ったんだけどねぇ……あんた達も元気そうだね」
「はい、問題解決してただいま戻りました」
俺はカテラさんにそう言うと、周りの冒険者達は顔を見合わせると先程とは別の騒がしさが拡がっていく。
「おい! 聞いたか!? すぐに鉱夫達に声を掛けてこい!」
「忙しくなるぞ! ミロスさんとクルーデンからの冒険者がやってくれたらしい!」
問題が解消されたとわかった途端にすぐに心を切り替える冒険者達に、カテラさんは「はぁ」と呆れたご様子だ。
そして、カテラさんは改まって俺達に向き直ると真面目な表情を見せた。
「マヒト殿、ダクライトの者としてギルドマスターとして改めてお礼を言わせておくれ……ありがとう」
「はは、こちらこそ用事のついでに解決したようなもんですから気にしないで下さい」
「はぁ、お礼くらい素直に受け取っておくれよ……」
俺の言葉にカテラさんは呆れた声でそう言うと、ミロスの元へと向かっていく。
「ミロス坊、感動の再会はそのくらいにしてマヒト達を連れて教会に行きな」
「ああそうだね……皆も疲れて居るだろうしね、面倒事はさっさと終らせようか」
「ミロス兄、そんなこと言うと怒られるよ?」
そんなやり取りが有りつつも、俺達はシエル様への報告の為に教会へと向かうのだった。
次回!暫くは本編が続きます……




