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ムシテイマー~役目も無いので虫達と自由に暮らす事にしました~  作者: SUZUKING
第一章 想いは遥か遠くより君に……

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41 敵の姿と老虫の願い

なろうチアーズから初めての投稿!

 魔鋼の森の野営地で、交代しながら夜を明かした俺達は荷物を片付けると再びくま吉の案内について行き奥へと進み続ける。


「シュシュウ!」

「このまま真っ直ぐ進めば良いみたいだな」

「この先には魔鋼鉄の採掘エリアが有った筈だ……そこから奥は街の人間に取っても未知のエリアだ、気を付けた方が良い」


 くま吉の後ろを歩きながら俺の言葉にミロスさんが警戒を促してくれる。

 しばらく進むと、魔鋼の森の木々等にキラキラと輝く結晶の様な物が張り付くエリアへとたどり着いた……凄く幻想的な光景だな


「これが魔鋼の森の名前の由来で有る魔鋼鉄だよ……魔力を引き寄せる特殊な魔樹に魔力が蓄積されて結晶化することで魔鋼鉄は出来るんだ」

「へー、確かにかなり濃度の高い魔力が詰まってるね……魔道具のコア何かに使えそうだね」

「その通りだよ、魔鋼鉄は魔道具のコアに使われる事が多いんだ……だから今の状態は困るんだけどね」


 ダクライトでは魔道具の研究と開発が盛んな為、魔鋼鉄が採れないとそれらの産業が止まってしまうらしい。

 俺達は魔鋼鉄の採掘エリアを後にして、更に奥へと進み続ける。




 採掘エリアから更に進んだ時、突然胸騒ぎを感じた……もしかしてこれは虫の報せか?

 虫の報せは確率で嫌な予感がすると言うふんわりとしたスキルだ。

 それと同時に前方から何かの気配、俺は注意するように皆に声を掛ける。


「皆! 前方から二体! 高速で何かが近付いてきてる!」

「こっちでも既に察知してるよ!」

「なに!? 見えないのにわかるのか!?」


 ミロスさん以外、ライ達は既に各々の得物を構えて迎撃の構えだ。

 俺もゴーザさんから貰った短剣を構えて、向かってくる存在を待つ。

 そして、向かって来た存在が視認出来た……


『ハイジョ……コ……ロス』

『アノオカタ……ノ……タメニ』


 何やら物騒な言葉が聞こえる……ってこの頭に響く声は!?

 頭をおさえた俺の様子に反応したのは隣に居たミロスさんだ。


「ま、マヒトくん! どうかしたのか!?」

「大丈夫です! ライ!」

「分かってるよ!」


 俺の声にライが反応する。

 横ではミロスさんが身体強化を使って居るのが分かる……ヨミもミロスさんの近くに居るな。

 前方では声の主とライがぶつかっていた。

 声の主は巨大なクワガタだった。


『ジャマヲ……スルナ!!』

『ワレラマジンクワガタ……ホコリタカキブジンナリ!』

「誇り高いなら弱い者いじめはやめなよ!」

「ライちゃん、取り敢えずぅ動きを封じましょう……合わせてぇ」


 ライがマジンクワガタと名乗るクワガタの一匹を退け、上空を飛び越えながら電撃を浴びせる。


「“放電ディスチャージ”痺れるよ!」

「もう、貴方は蜘蛛の巣に巻き取られているわぁ」

『ガァァア!?』

『ドウホウ! うっ!?』

「“流電カレント”油断し過ぎだよ」


 一匹に放たれた電撃がもう一匹にも連鎖して流れ、動きが鈍った所をユキが糸で拘束した。

 ライとユキはは見事な連携で、マジンクワガタ達を無力化して見せた。


「よし、一丁上がり!」

「しかし、様子がおかしかった……一体コイツ等は」


〈何者かに支配されて居るため契約不可〉


「なっ!?」


 動けなくなったマジンクワガタ達へと近付くと、契約する時の声が頭に響いて来た。

 しかし、その言葉に思わず声を上げてしまう。

 今まで見たことの無い表示だった。


「マヒトくん? どうかしたのかい?」

「ライ、コイツ等はどうやら誰かに支配されているらしい」

「……御兄様以外に虫をテイム出来る存在が居るんですの?」

「……」


 俺の言葉にヨミが首を傾げながら疑問を口にする。

 意識を失っているクワガタをどうするかも考えないといけないな


「このクワガタ達はこのまま放置するしか無いだろうね……もっと奥まで行って見よう」

「一度報告に戻らなくても良いんですか? ミロスさん」


 俺の言葉にミロスさんは頷く。

 そういう事ならこのまま進もうか。


「主……後続は無し……安全だ」

「分かった、シノブ……くま吉案内を続けてくれ」

「シュイ!」


 くま吉の背中を追いかけて出発する。

 しかし、ライがクワガタ達を見ながら神妙な顔をしている。


「……まさか……でもそれしか」

「ライ! 行くぞ!」

「うえ!? あ、分かったよ!」


 相当考え込んで居たのか、俺の声にビクッと肩を跳ねさせるライ。


「ライ? 大丈夫か?」

「う、うん大丈夫! さあ、行こうか!」


 明らかに無理をしている笑顔でライが出発を促す。

 思う所は有るが、ライが言いたく無ければ無理に聞き出す訳にもいかない為俺達はそのまま進み始めるのだった。




 ────────────────────




 クワガタの襲撃からしばらく進むと、くま吉が何やら騒ぎ始めた……どうしたんだ?


「シュシュ! シュイシュイ!!」

「この先に何か居るみたいだな……シノブ!」

「了……む、何か居るが反応が薄い……」

「……! 急ごう!」


 シノブの言葉に俺達は反応の元へと急いで向かう。

 そして、反応へと近付くにつれてその存在が確認出来て来た。

 そこには巨大な傷だらけのカブトムシが一匹、力なく横たわっていた。


「これは……」

「マヒトくん、近寄って大丈夫なのかい?」

「大丈夫です、クワガタ達と違って嫌な感じはしません……ヨミはミロスさんから離れないようにな」

「分かりましたわ」


 心配するミロスさんをよそに俺は巨大なカブトムシに近付いていく。


『……人の子か……ここは危ない……帰るのだ』


 重く威厳有る声が優しくこちらに語り掛けてくる。

 間違いない、おそらくマザーと連絡を取っていたのはこのカブトムシだ。


「俺達はマザーに頼まれてここまで来ました……一体何があったんですか?」

『マザー殿……そうか……お前達は彼女の知り合いか……ならば我が願いを聞いてくれぬか?』

「その前に治療を……」

『よい……我が一番分かっておる……もう我は助からぬ』


 カブトムシの言葉に俺はライへと視線を向ける。

 カブトムシの巨体を見ていたライとユキが悲しそうに首を横に振る。

 ……そうか、俺はカブトムシの正面に移動して話し掛ける。


「分かりました……聞かせて下さい貴方の願い……」

『ふふ……悲しむで無い人の子よ……我は満足よこうして真の王に看取って貰えるのだからな……』

「……! 気付いていたのか……」

『願いは二つ……我が一族の皆を貴方様の民として迎い入れて貰いたい。そして、マジンクワガタ達を救って欲しい』

「……」


 カブトムシ……彼等はマコウカブトと呼ばれる種族であり、魔鋼の森の奥深くに暮らす存在だと言う。

 そして、マジンクワガタ達はマコウカブトと対を成す存在で有ったらしい。


『……奴らの長とは古い付き合いでな……お互いにしのぎを削り……高め合い……争いあった』

「まさか、俺達のよく知る魔鋼の森の深くで……このような強大な存在が暮らして居たとは……」

『……魔族の子が……すまんな……おそらくお前達の同族を殺めたのはマジンクワガタ達だ……その凶行を止める事が我には出来なかった……力及ばず申し訳ない』


 両者の争いによって互いに消耗したマコウカブトとマジンクワガタは寄り合い、力を合わせ、共に暮らしていく筈だった。


『長の倅が反旗を翻したのだ……奴は長を殺し、我等マコウカブトを根絶やしにしようと里へと進行を開始したのだ!』

「それを止めるために……君は自ら戦いに出たんだね……」


 ライの言葉にマコウカブトの長は頷く。


『我が倅と雄達を連れて我等は戦った……しかし、奴は強かった……強大で禍々しい魔力を纏い奴は言ったのだ……『我等は王に選ばれたのだ』と……』

「そんな筈ない!!」

「ライ!?」


 マコウカブトから聞かされた言葉に……突然ライが取り乱した。

 突然の出来事に、ユキ達も驚いている。


「……あ、い、いや……違うんだ、ごめん話しの腰を折って……」

「ライ……どうかしたのか? 少し様子が変だぞ」


 ライが話すまで待つつもりでいたが、こうなって来たら四の五の言ってられない。

 そう思いライに続けて声を掛けようとした時だった。


『む!? 人の子と同胞達よ……奴らが来る、我が後ろを真っ直ぐ進めばマコウカブトの里へと着く……急がれよ!!』

「ちっ、ライ……後でも良い、お前が何を隠しているのかちゃんと教えてくれ」

「うん、分かってるよ……ちゃんと話すよ」


 俺達はマコウカブトの長を置いて駆け出す。

 複数のマジンクワガタに囲まれる長の後ろ姿を背に……俺達はひたすら走り続けるのだった。


「貴方の願い……確かに受け取った、後は任せてくれ……」

「マヒトくん……今回の事が終わったら皆を連れて行きたい所が有るんだ……そこで全部はなす……だから」

「ライ……分かってる、待ってるからな」


 走り出す時に握ったライの手が強く握り返して来たのを感じる。

 それはまるで心の拠り所を求めてる様だった。

次回、マコウカブトの長の最期を見送り真人達はマコウカブトの里へと向かう!

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