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ムシテイマー~役目も無いので虫達と自由に暮らす事にしました~  作者: SUZUKING
第一章 想いは遥か遠くより君に……

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27 イゴール領の領主

雅GET餅武器GET……ディスク厳選に沼ってます

 ハーデリアさんの暴走はアイナさんのお陰で阻止する事が出来た……ヨミはしばらく抱きついたままだったが。


「全く、ハーディ先輩がごめんなさいね……それと、ギルドマスターの所に案内する前に此方を済ませてしまいましょうか」

「これは……そうだな分かった」


 そこには二枚の紙が置かれていた。

 俺はそれを確認すると、ヨミとシノブを呼ぶ。


「ギルドマスターから、マヒトくんの仲間については私が一任されたのこれからよろしくね」

「じゃあ、ヨミ、シノブ書類に名前を書いてくれ」

「……書きましたの」

「……俺もだ」


 二人の名前が書かれた書類を確認するとアイナさんは頷く。


「それじゃあ帰る時には渡せると思うから...…」

「はい、ありがとうございます」


 アイナさんは書類をハーデリアさんに渡すと、ギルドマスターの部屋へと案内してくれる。


「お! 来たな……待ってたぜ」

「ただいま帰りました」


 部屋に入ると、機嫌の良さそうなドリトンさんが出迎えてくれた。

 ドリトンさんは俺達を応接用のソファーへと座らせると、向かい側に腰を降ろす。


「ナナシ村に送った連中から報告が来てた……若い連中は残念だったが問題が解決したのは僥倖だが……魔人族が居たそうだな?」

「はい、それについてもう一つ言っておきたい事があって……」


 俺の言葉を手で制すドリトンさん……俺はつい首を傾げてしまった。


「まあ、まずはお疲れ様だ……それにそっち二人を紹介して欲しいなぁ……なんて」

「……? まあ良いですけど……ヨミ、シノブ」

「デスサイズマンティスのヨミですわ……死神カマキリの方が伝わり易いでしょうか?」

「マキョウナナフシのシノブ……」


 二人の自己紹介にドリトンさんは眉をひそめる。


「死神カマキリ……? マキョウナナフシ……初めて聞く名前だな……」

「あ、そうだ...…ドリトンさん、“即死効果”を持った鎌、または武器を知りませんか」

「どうしてだ?」


 俺はヨミの事をざっくり説明して、ドリトンさんに協力して貰えないか聞くことにした。

 ドリトンさんは難しい顔をするが頷いてくれた。


「事情は分かった……此方でも伝を使ってに聞いて見よう……だが、期待はするなよ」

「はい、ありがとうございます」

「あ、ありがとうございますですわ」


 しかし、さっきからドリトンさんがよそよそしいと言うか……何かを隠してるような……

 そう思った瞬間、扉が勢い良く開かれて誰かが入ってきた……横でヨミが跳ねた。


「ドリトン! 例の少年が帰ってきたらしいな!」

「はぁ、ノックぐらいしろよ……エリック」

「え、え? 誰? ですか?」


 突然の出来事に困惑してしまう。

 入ってきたのは、年齢はドリトンさんと同じ位の中年……しかし、年齢を感じさせない若々しさが有る。

 短く切り揃えられた赤髪に自身に満ち溢れた表情、THEイケオジな感じだ……でも、誰かに似ている様な……


「おお!? もしや彼かね? 話しに聞いたムシテイマーの少年は!」

「え!? は、はい! マヒト・モリハラです……で仲間の……」

「エンシェントドラゴンフライのライだよ!」

「デスフォレトススパイダーのユキですぅ」

「で、デスサイズマンティスのヨミですわ……」

「マキョウナナフシ……シノブ」


 俺達の自己紹介を聞き終わると、赤髪の男性は目を輝かせて自己紹介を始めた。


「私はフリーデンの街を含むイゴール領を治める領主……エリック・イゴールだ! よろしく!」

「イゴール……あっ! もしかして、ローレンスさんの……!」

「おお! 息子を知っているのか! あいつは婚約者置いて重要な仕事が有るらしくてなぁ……全く、特級冒険者の自覚……」

「はぁ、エリック!」


 何と言うか見た目通り騒がしい人の様だ……ってローレンスさん特級冒険者だったんだ……

 冒険者には基本的に初級から始まり、中級、上級と上がり、上級で更にギルドで承認されると特級に上がれるらしい……まあ、俺には遠い話しだな。


「愚痴を言いに来た訳じゃ無いだろうが! 引き留めるのも大変なんだぞ?」

「すまんすまん……まあ、何だ話しに聞いていた少年に領主として挨拶を……そう思ってね」

「そ、そんなわざわざ来て貰わなくても……」


 俺の言葉を遮って再び扉が開く。

 そして、優雅に入ってきたのはマザーさんじゃ無いですかヤダー。

 マザーさんは部屋の中を見渡すと、ユキに声を掛ける。


「ユキ、もしかして私は邪魔かしら?」

「お母様わぁ……タイミングが悪かったと思うわぁ」

「そう、日を改めようかしら?」


 色々と有って忘れて居たが、マスターに話す事が有ったんだよ!

 しかし、マザーはともかく領主様には言った方が良いのだろうか?


「マヒトくん、この街を拠点とするなら領主さんも巻き込んだ方が良いと思うよ」

「分かった……」

「巻き込むとは何の話しかね?」

「わぁ!?」


 何時の間にか後ろに来ていたエリック領主が、イタズラな笑みで笑っていた。

 そこ、シノブ腰が浮いてるぞ……あ、マザーにマント握られて止められた様だ……


「戯れは辞めて下さい……お二人に話したいことが有ります……マザーも一緒に居て下さい」

「ふむ、そちらのマダム何者なのかな? ただならぬ御方とお見受けするが……」

「そう言えば俺も詳しくは聞いて無いんだよなぁ……うちの上層部のじい様方が丁重にもてなせって言ってくる位だもんな」


 俺に呼ばれて隣に座ったマザーにドリトンさん達は興味の視線を送る。

 しかし、まずは此方の話から聞いて貰わないとな




 俺の話しを聞き終えてからの反応は三者三様だった。

 ドリトンさんは頭を抱えて、エリック領主は興味津々で此方見ていて、マザーはいかにも知っていた言う佇まいで紅茶を飲んでいる。


「まさか……新生の王だと……虫の王……だあーー!! 1ギルドマスターに背負える物じゃないぞー!」

「過去の文献にも情報の少ない王の誕生……くぅぅ、私が現役だったなら無理矢理にも着いていくのになぁ!」


 男二人の荒ぶりを静める様に、マザーが声を上げる。


「マヒトくんが貴殿方を信用したならば、私も正体を明かすべきですね……」

「ま、まだ爆弾があるのか……」

「是非聞かせて頂きたい」


 二人の言葉に、マザーは立ち上がると優雅にお辞儀をして自己紹介を始める。


「改めまして、私はマザーそちらのデスフォレトススパイダーのユキの母でデスフォレトススパイダークイーンです……」

「……!」

「……ほう」


 二人が驚いた様子で此方を見てくるが……マザーの自己紹介は終わりで無かった。


「……そして、王の円卓を護る世界樹の守護者にして、王の円卓の管理者でもあります……以後お見知り置きを……」

「は?」

「なぁ!?」

「まさか……!」


 いやいや!? え? 何の管理者だって? 世界樹? そう言えばベルーラさんから聞いたな……大陸の何処かに世界樹が有るって……でも場所も何もかも謎だからって息抜きの話題だったけど……その世界樹の管理者!?


「おい! マヒト! 何テメェも驚いた顔してるんだよ!!」

「いや、俺は本当はユキのお母様ですぅー位の気持ちだったんですよ!?」

「ま、まさか……お伽噺の存在に会えるなんて……」


 パニック状態の俺達をマザーは愉快そうにコロコロと笑っている。

 その横で彼女の娘達はジト目で見てる。


「マザー……絶対わざとだね?」

「お母様はぁ、イタズラ好きですものねぇ」

「御母様……久々にお外に出てきたから少しテンションが高いですの」


 マザーは悪戯な笑顔をすると、更に話し続ける。


「掃除、洗濯、お料理……防衛、迎撃等々、全て出来ます」


 紅茶を一口飲むと、優雅に微笑む。


「全て……淑女の嗜みですもの」


 俺達がマザーの爆撃から冷静になるまでは、もう暫く時間が掛かるのだった。

淑女とはいったい?

次回、淑女からの提案

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