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ムシテイマー~役目も無いので虫達と自由に暮らす事にしました~  作者: SUZUKING
第一章 想いは遥か遠くより君に……

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20 黒いカマキリさんは姉想い!

今月の後半にネトコン12の一次選考が有るので皆さんも頑張りましょう!

 初擊からお互いに睨み合ったまま動かないユキと漆黒の蟷螂……良くみればライは俺の側には居るけど警戒している様子がない。


「ライ、加勢しなくて良いのか?」

「ん? ああ……問題無いよ、多分そろそろだから」


 ライの言葉に俺は首を傾げる。

 そして、視線をユキ達に戻すと暫くユキを見つめて居たカマキリが動く。


『この気配! 匂い! 強さ! ああ、御姉様何故その様なお姿に!?』

「やっぱりぃ、カマキリちゃんだったのねぇ……もう、おいたはメッよぉ?」

『うぅ、御姉様ぁぁぁぁ!! 突然居なくなって心配しましたのよぉぉぉぉ!』


 突然のカマキリの色々ヤバい発言と、ユキのカマキリを叱る言葉の後に今度は突然泣き始めるカマキリ……カオスだ

 少し時間が経ち、落ち着いたカマキリに事情を説明するライとユキ。

 カマキリもふんふんと相づちをうちなから話を聞いている。


『み、認めませんわ! こんな矮小な人間が御姉様達の主だなんて……到底納得いきませんわ!』

「これは私達が決めた事よぉ? それを否定されるとぉお姉さん悲しいわぁ」

『うぅ……でも! 人間は短命ですのよ、別れが来て辛い想いをするのは御二人なのですわよ!? トンボさんは良くお分かりの筈ですわよね……』

「うん、でも大丈夫だよ……ありがとう優しいカマキリちゃん心配してくれてるんでしょ?」


 ライの言葉にカマキリは何かを諦めた様に頷く。

 そして、ユキは何か思い付いたのか手を叩いた。


「だったらぁ、いっそカマキリちゃんも一緒にいきましょぉ?」

『そ、それはダメですわ……それに人間なんて』

「ユキ……無理強い良くないよ……ごめんねカマキリちゃん、でもマヒトくんは君から家族を奪った連中とは違うよ?」


 何か理由があるのか、ライは真剣な表情でユキを諫めている。

 それにユキは少し哀しそうにソッとカマキリの前足を撫でる。


「復讐はやめないのぉ? ライちゃんはああ言うけれど……私は貴女に来て欲しいわぁ」

『……ごめんなさい』

「あ……」

「何か蚊帳の外だな俺達……」

「シュイシュイ」


 カマキリはユキの手から前足を離すと森の奥へと行ってしまった。

 何となく俺はその後を追いかけた。


「……ライちゃん……」

「ふふ、多分マヒトくんが連れてくるよそんな気がする」

「うん」


 真人の行動を見ていた二人は、願わくばカマキリも真人と共に来ることを願っていた。

 無理強いではなく自分の意思で……




 ────────────────────




 沈んだ気分のカマキリは森の奥の小さな池の水面を見ていた。

 御姉様と慕う人達が無事で有ったのは嬉しかった……しかし、二人は一人の人間の従者になっていた。

 ショックではあった、それでもホッとした部分が大きかった。


『一緒に……でも、あの人間は信用出来ますの?』

「それは君が決める事だね」

『ぴぁい!?』


 突然声を掛けたからか、カマキリから可愛らしい悲鳴が聞こえる。

 そして、ジト目の雰囲気を感じる視線で此方を睨んでくる。


『ず、随分と趣味が悪いですわね? 盗み聞きするだなんて……』

「悪いね……でも、ユキから誘われた君は俺でも分かる程苦しそうな顔をしていたからさ」

『……貴方には関係無い事ですわ』


 カマキリは少し悔しそうにそう言うと、再び水面を見始めた。

 俺はそんなカマキリの隣に座って一緒に池の水面を覗く。


『何をしていますの?』

「いや、ユキ達が心配してたからさ……でも、君の気が済むまで此処に居ようかな?」

『……これは独り言ですわ……絶対に聞くんじゃ有りませんわよ……』


 カマキリはそう言うと、ポツポツと自分の事を話し出した。


『わたくし達の種族は他者からは〈死神カマキリ〉と呼ばれていましたわ……この鎌が特殊な力を持っていたからですわね』


 カマキリは自分の鎌を見ながら話し続ける。


『縄張りに侵入してくる不届き者には容赦はしませんでしたが……基本的にわたくし達は人に危害を加える事なく日々を過ごしておりましたわ……母も父も一緒に……』


 カマキリは懐かしそうに、哀しそうに……そして、寂しそうに彼女は故郷を思い出して居るのかもしれない。


『種族の長はかつての恩人からの願いを聞き入れていたそうですわ……“縄張りを脅かされない限りその力を使わない”様にと……』


 彼女のから怒りの感情が溢れる。


『そんな穏やかに生活をしていたわたくし達の元に突然人間達が現れるましたわ……黒い覆面にローブ、見るからに怪しい人間達が……』

『彼等の狙いはわたくし達の鎌の力でしたわ、切りつけた相手を“死にいたらしめる呪い”を付ける力……彼等はそれを兵器として使うつもりの様でしたわ』


 悔しそう鎌を睨み付けるカマキリ、その表情からはほんの少しその力を恨んでいる気すらする。


『種族の者達は当然戦いましたわ……しかし、圧倒的な物量と奴等が持ち出してきた魔道兵器の数々に手も足も出せませんでしたわ』

『父と母はわたくしを隠し洞窟に押し込めて、『必ず迎えに来る』と言い残して戦場に向かいましたわ……最も、その後わたくしを見つけて下さったのは御姉様の御母様でしたけれど……』


 カマキリの声から感情は分からない、しかし彼女が今でも後悔や恨み、それらの感情で動いているのは容易に想像出来た。


『想像できます? 少し前まで一緒に過ごした者達が、愛しかった家族達が、鎌を奪い去られて息絶えて居る光景を……父と母の変わり果てた姿を……』

『だから今も探しておりますのよ、父と母の仲間達の鎌を見つけ出す為にも……わたくしは立ち止まる訳には生きませんのよ……』


 彼女の話が終わる。

 不意に彼女は俺に問い掛けてきた。


『それに貴方も恐ろしいでしょ? わたくしの様な死を司る魔虫に襲われて?』


 彼女の質問に、襲撃された時を思い返して見る。

 そして、俺は思った事をそのまま口にした。


「あの時、月明かりを身に纏った君の姿は凄く神秘的で綺麗だったよ……」

『…………!?!? な、何を言ってやがりますの!? き、き、綺麗だなんてそんな……そんな……』


 俺の言葉に慌て始めるカマキリ、俺はそんな彼女に手を差し出す。

 カマキリは理解出来ないと表情をして、手を見ている。


「君の話を聞いて、改めて言わせて貰うよ……俺達と一緒に行こう!」

『何を言っているか分かっていますの? それはわたくしに……』

「諦める必要は無い、ただ……それは君一人でないといけないのか?」


 俺の言葉に『え?』と固まってしまう彼女に俺は笑い掛ける。


「きっと、人の街なら情報が有るかも知れないし……君は嫌がるかも知れないけどライとユキも君を助けたいと思ってる筈だ」

『でも、わたくしは……わたくしは……』

「それともう一つ、今まで良く一人で頑張ったな」

『あ……あうぅ……』


 心細かったんだろう、中々見付けれない悔しさも有るだろう……しかし、彼女は気付いていなかった自分に頼れる者が居ることに……


『お願いしますわ……助けて下さいまし……わたくし達を……』

「ああ、必ず見つけ出そう君の仲間達を……!」


 前足を差し出す彼女の言葉に俺は頷く。


〈契約を開始します〉


 三度目の言葉が頭に響く。


〈デスサイズマンティスと契約します〉

〈名前をお決め下さい〉


 名前……あの月明かりを纏う姿を思い浮かべる。


「あの時の姿は本当に綺麗だった」

『うぅ、余りその話しはしないで下さいませ……恥ずかしいですわ』


 それは無理な話だ……名前は決まった。


「君はこれから“ヨミ”だ……夜に美しいと書いて夜美ヨミ……」

『……そう、素敵な名前ですわ……』


〈契約完了〉

〈ムシの王の力により、契約虫“ヨミ”が従者へと変化します〉

〈従者の数が規定数に達した為、新たなスキル“コネクト”が解放されます〉

〈“コネクト”に寄り“即死無効”“ライフリンク”“虫の報せ”を獲得しました〉


 な、何だ情報量が多すぎて分からん!? ああ、しかも案の定意識が朦朧としてくる。

 暗くなる視界の中、一人の少女が慌てた顔で駆け寄ってくるのが見えた。


「だ、大丈夫ですの!? ちょっと、しっかりなさい! 御姉様! 御姉様!」


 ああ、しまった……ヨミに俺の名前教えるのわす……れて……た……

 こうしていつも通りに(?)三匹目の契約が終わったのだった。

次回! 閑話、カマキリさんの話になります!

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