15 可愛い服を求めて
悲報 喉を痛める……咳が止まらない
ユキとの契約を終えて翌日、俺達は商業区へと足を運んでいた。
主な目的はユキの要望により服探しである。
「流石に賑わってるな……」
「そうですねぇ……あっと……」
賑わう商業区にて歩いて居ると、小さい子どもがユキにぶつかってしまった。
すると、女の子は痛かったのか泣いてしまい、兄らしき男の子が駆け寄ってきた。
「おねえさん、いもうとがすいません」
「う、うう」
「大丈夫よぉ、ほらお嬢さんもこれあげるから元気出してぇ」
ユキは子供達に優しく微笑みかけると、泣いてる女の子に可愛らしいクマのぬいぐるみを渡した……一体何処から?
ぬいぐるみを受け取ると、女の子は泣き止み目を輝かせている。
「うわぁ!」
「おねえさんありがとう、ほらレミィもおれい!」
「おねえちゃんありがとー」
「ふふ、次からは気を付けてねぇ?」
ユキの言葉に二人は「うん!」と元気良く頷くと手を繋いで離れていった。
「子供の扱いになれてるな?」
「村の子供達とねぇ……ふふ、ちょっと前なのにもう懐かしい」
「おーい、早く早くー」
俺達を待ちきれないのか、ライが此方に手を振って居る。
俺はユキの手を掴んで一緒にライの元へと向かった。
「あっ」
「ん? ああ、悪い知り合いとの癖でつい」
「ふふ、大丈夫よぉ……ほら、行きましょう!」
「おお?」
何故か嬉しそうなユキに引っ張られて、ライと合流する。
それをみてこれまた何故かちょっと不機嫌そうなライの顔。
「ライ? どうかしたか?」
「な、何でもないよ……えい」
「……? 歩き難くないか?」
「ふふ、せっかくだからこのまま行きましょう?」
何故? 両腕を塞がれた状態で歩き始める俺達。
周りの視線がちょっと痛い……特に男共の視線が……
「確かここら辺に……お、有った!」
「あら! あの時の子じゃない? 今日は……あら?」
「えっと、また服を探していて……」
最初にクルーデンに来た時にお世話になった服飾店に来た。
店の男店主は俺の事を憶えて居たらしく、ライとユキが俺に抱き付いて居るのを見てしばらく思案顔をすると、何かを分かったように頷く。
「最近の若い子は進んでるわねぇ……良いわ、素敵な服を見繕って上げる!」
「あ! 後、今回は私服用と寝間着が欲しいんですけど……」
「問題無いわ、寝間着に関しては要望を教えて頂戴、条件に合った物を持ってくるから!」
店主はそう言うと、近くの女性店員を呼んで来る。
そして、各々の寝間着の要望を伝え終わるといよいよユキお待ちかねの服選びだ!
「さあ、私服用ならこの辺ね……」
「うわぁ! 凄い素敵なお洋服がこんなに……」
「私のはユキが選んでくれないかい? こうゆうのには疎くてね」
「ふふ、任せてぇ」
沢山並んだ服を見て目を輝かせて居るユキ。
因みに寝間着もユキからの要望で……
『同じ服で寝るなんてダメぇ! 不潔だし、皺になっちゃうわぁ!』
『でも……』
『でもじゃありません! 後、一週間に1、2回は洗濯タイムを設けますぅ!』
『はい……』
なんてやり取りが有ったりした。
ユキはかなり綺麗好きのお洒落さんらしい。
「マヒトちゃん! これ似合うかしらぁ?」
「おお!」
ユキが試着しているのは白を基調にした服で清楚な令嬢って感じの服……似合ってる。
「マーヒトくん! わたしはどうかな?」
「ああ、似合ってるよ」
ライはかなりカジュアルな服装で明るい感じがかなりライらしい。
そんな感じで服を来て見せてくる二人に感想を言いつつ、自分も二人から着せ替え人形にされてしばらく……
「全部で金貨2枚ね、寝間着は此方に入れて有るわご要望の物を二着づつ……これはサービスで良いわよ!」
「ありがとうございます」
「ふふ、またのご来店まってるわ!」
俺達は服を受け取り、一度宿へと戻る。
宿に戻った俺達は一息つくとこの後のことを提案する。
「これから王都へと行こうと思う、知り合いに服を作れる人が居てね……彼女ならもしかしたら変身しても破れない服を作れるかも知れない……」
「なるほど! つまり、その人に冒険用の服を作って貰う訳だね?」
「わたしはぁ、それで良いわぁ」
「よし! それじゃあ、早速行こうか」
思い立ったら吉日と言うし、宿にはしばらく留守にする事を告げて出発する。
真人達が王都へと出発した頃、とある森の中……
『お姉様……一体何処へ?』
一匹の虫が暗闇の中を蠢いている。
二振りの鎌を携えて、かの虫は何かを探しているのだった。
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現在俺達は王都へと向かってライに乗って移動中、門の前に降りる訳には行かない為ライと出会った森に降りる事になる。
「お! 見えて来たよ! しっかり掴まってて!」
「了解!」
ライはそう言うとゆっくりと森の中の不自然に開けた場所へと降りて行く。
着陸すると、ライが元の姿に戻るので急いで後ろを向く。
「ふぅ、ちょっと待っててね……」
「ライちゃん、お手伝いするわぁ」
服を着る音がするが、無心で待ち続ける。
しばらくすると、ライから「良いよー」と言葉を貰って合流する。
だが、森に付いたは良いが出口が分からない……だが、それを解決したのはクマ吉だった。
「どうやって森から出るか……」
「あらぁ? クマ吉ちゃんはベアースパイダーでしょぉ? なら問題無いわ……ね?」
「シュイ!」
そこからは早かった、森で遭遇する魔物はライとユキが手早く倒して。
後はクマ吉が指し示す方向へと歩くだけで馬車を乗り継いだ村へとついてしまった。
「フェルト村だ……まさかクマ吉にこんな特技が有るなんて!」
「……? しかし、村の様子がおかしいね?」
「……魔物の気配がするわぁ……この感じはゴブリンね、しかもいっぱい!」
二人の言葉を聞いて俺は慌てて村へと入る。
すると、ゴブリン達に襲われている男性を発見した。
「ライ! ユキ!」
「任せてよ!」
「おいたはダメぇ!」
ライの高速の斬撃により一体の首が跳ね跳ぶ。
そして、ユキはゴブリンの古びた剣を鋏で受け止めて居る。
「あらぁ……チョッキン」
「クギッ」
次の瞬間にはゴブリンの首は剣と共に宙を舞っていた……とてつもない切れ味だ!
とにかく助けた男性から話を聞こう……
「ああ! もしかして、カインさんと一緒に居た少年!」
「あ、御者のおじさん!」
「ああ! あの時の……」
「知り合いみたいねぇ」
なんと助けた男性はお世話になった御者のおじさんだった。
おじさんから話を聞くと、たまたま村に冒険者が居ないタイミングでゴブリンの群れに襲われてしまった様だった。
「頼む! 村を助けてくれ!」
「当然です! ライ、ユキ頼めるか?」
「「とうぜん」だわぁ」
二人が武器を持って走っていくのを見送る。
しかし、そこでたまたま目に入ってしまった。
「おかあさん……」
「大丈夫、絶対守って上げるからね」
「ギシャシャ」
あの親子はクマ吉を褒めてくれた少年! 俺は咄嗟に走り出してゴブリンと親子の間に入る。
「あっ! おにいさん!」
「心配するなにいさんがおかあさん共々助けるから!」
「ギシシシ!」
「危ない!」
醜い顔で嗤うゴブリンが武器を振り上げている。
だが、その顔はすぐに笑い顔では無くなる。
「シュシュ!」
「クギァ!」
「くもさん凄い!」
「ナイスクマ吉! トドメ……だ!」
クマ吉とのコンビネーションでゴブリンを倒した、勿論少年達も無事だ!
そのタイミングでライとユキが戻って来た。
「ゴブリンは殲滅したよ!」
「怪我人は軽傷の方ばかりだったわぁ……偶々、早めに対象出来たので良かったわねぇ」
「そうか、ライ、ユキ二人は怪我してないか?」
「ヘヘン、そんなへまはしないさ!」
「なら良かったよ」
そんなやり取りをしていると、フェルト村の村長らしき人が此方へとやって来た。
村長は深く頭を下げると何度もお礼を言ってくれた。
「ありがとう……貴殿方来なかったら、村は滅びていたでしょう」
「いや、当然の事をしたまでです……それじゃあ俺達は王都へと向かうので……」
「今からですか? 今日はもう暗いですしのぉ泊まって行って下されせめてものお礼ですじゃ」
俺がどうしようか迷っていると、ライとユキが頷く。
「マヒトちゃん、お言葉に甘えましょう? その方が彼方も気が楽だと思うわよぉ?」
「うんうん、せっかくタダで泊めてくれるんだしさ!」
「シュイ!」
「そう言うことなら……是非」
俺の言葉に村長は嬉しそうに笑うと、村の人達を呼び始める。
「皆の衆! フェルト村を救って下さったマヒト殿の為に盛大に宴を開こうぞ!」
「「「おおぉぉぉ!」」」
「な、何か凄いことになってるな……」
村での宴はそこそこ遅くまで続いたが、村長が気を利かせて俺の事を早めに宿へと抜けさせてくれた。
ライとユキはもう少しお酒を飲んでから戻って来るらしい……二人とも大丈夫かな?
二人が戻って来たのは、深夜遅くだったので結局宴を最後まで楽しんで居たようだった。
違うんですよ……久々の登場って……違うんですよ……辿り着けなかっただけで……次こそ久々登場!




