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1 ムシテイマーって何だろう?

新作更新!暫く此方を書くかも?

 ざわめく周りの人達、目が点になってる友人達。

 俺は内心では「追放ものはやだー」と思いつつ何でもないような顔をする。


「い、いや、そう言えば前から真人は虫に好かれてたよな……流石に逃げたタランチュラが手の上で踊ってたのは驚いたけど……」

「あー、そう言えば子供の時、蜂の巣に悪戯してた時も真人くんは刺されなかったよね?」

「そう考えると、妥当かもな」


 再起動した優衣達はそんなことを言って勝手に納得している。

 そして、正義を筆頭に俺の肩を組んで、何時ものように笑い掛けてくれる。


「まあ、織姫は城で留守番だけどさ! 真人は旅しながら使い方を探って行こうぜ」

「ま、まさ……!」


 流石は親友と心の中で調子いいことをほざきつつ、俺は気を取り直そうとすると、エリオット王から待ったを掛けられる。


「勇者マサヨシよ。本当にムシテイマーと言う得体の知れぬスキル持ちを連れて行くのか?」

「それは……一体どういう意味でしょうか?」


 突然流れ始める不穏な空気に、正義の目が鋭くなる。

 そんな正義の視線に当てられてか、エリオット王はばつが悪そうに話し始める。

 そして、エリオット王が言いたい事はこうだ。

 まず一つに、不穏な予言により相当な額を兵士の育成や住人のもしもの時の避難場所や食料等で国に余裕が無いこと。

 次に織姫の聖装職人は需要が有るがムシテイマーには無い、その為にムシテイマーに予算は割けないと言われた。

 そして最後に国のメンツの為にも国から選ばれた者達と聖女と勇者には旅に出て貰いたい為、ムシテイマーには辞退願いたいと……とどのつまり、俺はこの国から見放されたと言うことだった。


「おい! 勝手に呼び出しといて何だよそれ!」

「私も酷いと思います」

「そんなんじゃ話にならないよね」


 三人が俺の為に、エリオット王に抗議してくれるが……はっきり言ってこれは不味い。

 この世界は見知らぬ世界、下手をして四人まとめて放り出されれば生き残れる可能性は低くなる。

 俺一人で三人の支援、帰る場所、居場所を残せるのならばそうした方が良い。

 更に言えばエリオット王の言い分も分かるしな、俺が国を背負う王なら同じ事をするだろう。


「三人共ストップ」

「何だよ真人」

「ここはエリオット王の言う通りにしよう」

「ええ! 真人くん、一人になっちゃうんだよ!」

「はぁ、真人君の言いたい事は理解出来るけど……それでもねぇ」


 流石は織姫、どうやら織姫は俺の考えが分かっているらしい。

 しかし、二人は分からないだろうからちゃんと言葉で伝える。


「まさ、優衣、ここは俺達にとって何だ?」

「んー異世界……かな?」

「そうだな異世界だ」

「未知の場所だよな」

「そうだ、俺達はこの世界を知らない、そんな中に四人で放り出されたらどうなる?」


 俺の言葉に二人は「あー」と何を想像したのか確かにと頷く。

 しかし、感情では俺を一人にするのは論外らしく複雑な表情をしている。

 そんな二人を納得させるべく、俺はエリオット王に幾つか質問を投げ掛ける。


「エリオット王、不躾ながら質問を幾つかしても宜しいでしょうか?」

「うむ、構わぬ」

「それではまず一つ、俺はこのままこの国からは出禁でしょうか?」

「いや、金はほとんど出せぬが行動を制限するつもりはない」

「ありがとうございます、次に外へ行くにあたって最低限の援助は頂けますか?」

「当然だ、旅の準備資金と当面の食費は渡すつもりだ」

「それは良かった、これで質問は終わりです」


 俺は質問を終えると、まさ達に視線を向ける。

 すると、優衣とまさは困った顔して、織姫は呆れた表情をしている。


「はぁ、分かった。でも真人、絶対に無理はするなよ何かあったら俺達を頼ってくれ」

「了解、その時はこき使ってやるよまさ」


 まさは諦めたように溜め息を着くと、互いの拳をぶつけ合う。


「真人くん」

「優衣、悪い心配を掛ける」

「もう、本当だよ……無事にまた会おうね」

「ああ、約束する……優衣も気を付けてな」

「うん」


 幼馴染みの優衣には本音を言えば城に留まって欲しいが正義も着いてるし何より優衣の性格上じっとしているわけも無い。


「正義くん、私は此処で服作る腕を磨いてるから欲しい時は気軽に来なよ」

「はは、そうだな織姫とは頻繁に会いに来ることになりそうだな」

「あと、優衣を泣かせたらぶん殴るから」

「はい……気を付けます」


 俺達の話しが終わったタイミングで、エリオット王が立ち上がる。

 どうやら気を遣ってくれていたらしい、他の人達にも聞こえるようにエリオット王は話し始める。


「この度、異界から呼び寄せた者達の力を借りて我らが世界に迫る危機を調査していくことになる」

「それに伴って、勇者様方には少しの間色々と学んで頂きます……無論、ムシテイマーのマヒト様もです」


 エリオット王の言葉に文官の女が立ち上がりモノクルを上げながらそう宣言する。

 うげぇ、異世界にまで来て勉強かよ。


「別にサボっても構いませんよ……但し、無知が故に何処かで死んでも責任は負いませんよ……特にマヒト様! 顔に出ていますよ!」

「な、何故にバレたし」

「真人くん昔から顔に出るからね」


 だまらっしゃい、マイ幼馴染み!

 こうして、ワームルスでの勉強生活が始まるのだった。




 ────────────────────────




 エリオット王の宣言の後は、俺達……正確には俺以外の三人のお披露目会となった。

 どうやら直ぐに勉強生活にはならないらしい……ちょっとホッとした。

 俺以外の三人と言ったが俺が参加しない訳じゃない、なるべく端っこの目立たない所で並んでいる料理を頂いている。


「これは聖女様、大変見麗しゅうございますな」

「ハハハ、アリガトウゴサイマス」

「勇者様で原因究明の為に旅に出るなんて素敵ですわ」

「はは、どうも」


 周りを見渡して見れば、パーティドレスの優衣とタキシードのまさが作り笑いで客人とお話している……二人共頬が引きつってるぞ

 織姫は織姫でドレス姿で無表情で料理を頬張っている。

 俺もタキシードを着ては居るが、出来るならさっさと退場したい所である。


「あら、パーティは退屈かしら?」

「ん、えっと確か貴女は……レティア様、レティア・ワームルス様でしたね」

「レティアで良いわよ、ムシテイマーのマヒトさん」

「いやいや、自分には恐れ多いです……じゃあレティア様で」

「まあ、それで良いわ」


 せめて敬称を付ける事に成功する。

 内心では、勇者様の所に行かれては? と思うがこのお姫様は気分では無いらしい。

 何の気まぐれか俺に話し掛け続けている。


「パーティで無ければ何がお気に召さないのかしら?」

「気に召さないのではなくて、明日から勉強生活に気を病んでるのですよ」

「あら、ベルーラ先生は良い方よ? 変な差別はしないもの……他の文官だったら目も当てられないわよ、特に貴方はね」

「それは確かにラッキーかも知れませんね……」

「そうよ……そろそろ私も挨拶に行かないと、マヒトさんまたね」


 そう言うと、レティアは美しい金髪を揺らしながら会場の中央へと向かって行く。

 そして、一瞬で人に囲まれて見えなくなった。


「はぁ……ムシテイマーって何だよ?」


 俺の呟きは誰に聞かれるでもなく、つつがなくパーティは進行していくのだった。

折を見て、他三人視点かけたらいいなぁ……

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