13 やれないことはやれる■■に任せます
もうすぐゼンゼロの新バージョン配信ですね
カイン達と酒場で騒いだ翌日(勿論お酒は飲んで無い)俺達は早速依頼を受けていた。
そして、記念すべき最初の依頼は……
「薬草採取……ライ、これは?」
「雑草だね、薬草はこれだよ」
「なるほどわからん」
草原にて薬草を取っているが俺には違いが分からない……ライが見本をみせてくれるがサッパリ分からない。
「シュイ!シュー!」
「おおー、凄いねクマ吉くん」
「……なん、だと……」
ドッサリ
クマ吉が何処からか戻って来ると、糸で作った袋に薬草らしき草が大量に入ってる。
拍手するライ、得意気なクマ吉、敗北感に打ちのめされる俺……まあ、依頼完了だし帰ろう。
「さあ、帰ろうか」
「はーい!」
「シュ!」
取り敢えずあっさりと俺達の初依頼は終了した……手抜きじゃないぞ!
俺達はギルドに戻ってアイナさんに薬草を確認して貰っている。
山盛りの薬草を前にホクホク顔のアイナさん。
「どれもこれも高品質、更には稀少品種もこんなに……ふふ♪︎」
「はは、頑張った甲斐がありました……クマ吉が」
「シュイ!」
「はは! 稀少品種の薬草はクマ吉くんが見つけて来たからね、群生地でも見付けたかい?」
「シュー!」
ライの言葉にクマ吉が敬礼の様に前足を上げる。
その姿を見てアイナさんが満面の笑顔でクマ吉を抱き上げる。
「シュ?」
「ふふ、クマ吉くんのお陰でポーション、ハイポーションいっぱい作れるわ! ありがとうね」
「あ、あの買い取り金額は?」
「ああ! ごめんなさい、えーと全部で金貨1枚と銀貨3枚で買い取りね……どうぞ」
「ありがとうございます」
報酬を受け取り、俺達はギルドを後にする。
纏まったお金が手に入ったとは言え、色々と買い揃えればすぐに無くなる。
現状の問題はライの服と食事、出来れば拠点に出来る家も欲しかったりする。
そうなれば、一つ解決したいのは……魔物食べれるらしいね?
「突然どうしたんだい? そんな当たり前の事聞いてさ?」
「だってさ、結局コカトリスは肉ごと売っちゃったけど美味しいってギルネイさんが言ってたしさ……」
「んー、でもわたしは調理なんて出来ないよ? 確かに自炊出来ればそれなりに節約出来るだろうけどねぇ……」
俺の言葉にライは何かを考え込む。
そして、何かを思い付いたのか突然立ち上がると意気揚々と言うのだった。
「そうだよ! 出来ないなら出来る子を連れてこよう!」
「…………へ?」
「シュウ?」
「そうと決まれば善は急げだよ! 飛んでいこう、隠蔽は掛けるから心配いらないよ!」
「ちょ、い、行くって何処にだよ!?」
一人で進行していくライに俺は質問を投げ掛ける。
すると、ライは快活な笑顔で言うのだった。
「森さ!」
────────────────────────
唐突なライの発言から、数時間程ライの背中にしがみついて訪れた森。
鬱蒼と繁る森、何の鳴き声か分からない動物の声。
しかし、ライはそんな中を迷う素振りも無く進みつづけていた。
「しゅっしゅー!」
「く、クマ吉、俺から離れるなよ……ライ、まだ着かないのか?」
「んー、もうそろそろ彼女のテリトリーに入ると思うんだけどなぁ……」
見新しい森に興奮するクマ吉を抱き抱えて、ライに質問をすると気になる言葉が返ってくる。
また、不思議なのは魔物に襲われない事だこんな森の奥地ならヤバい魔物の一匹二匹居ても可笑しくない筈なのに此処までそれらしい存在を見ていない。
更に奥に進むと周りの景色が変わり始める。
「お! 来た来た、この辺りだよ!」
「これは……蜘蛛の巣?」
「シュイ?」
周りに有るのは蜘蛛の糸、要するに此処を棲みかにしている存在が居る証明である。
そして広い、此処を棲みかにしているのなら相当大きいと見て良い。
「ら、ライ! 本当に大丈夫なのか?」
「平気平気……お! 来たみたいだね!」
『あらら? もしかしてこの気配は……』
ライの言葉と同時に頭に響くように聞こえるおっとりとした女性の声……これはライと会った時と同じだ!
『久しぶりぃ、トンボちゃん!』
「やあ、お嬢さん! 元気にしてたかい?」
蜘蛛の巣の奥から頭に可愛らしいリボンを着けた巨大な深緑の大蜘蛛が姿を現した。
その威容に俺が固まってる間も二人のやり取りは続いていく。
『ふぇぇ? トンボちゃん見ない間に可愛くなってるぅ、なんでぇ?』
「実はご縁が有ってね、その結果この姿になったのさ」
『ご縁ってぇ? 其方のお方かしらぁ?』
「は!? えっと、初めましてマヒト・モリハラです……」
突然話しを振られて思わず自己紹介をしてしまった。
すると、それを聞いた大蜘蛛は嬉しそうな気配を発しながら手を叩いた。
『じゃあ、マヒトちゃんだねぇ! ふふ、よろしくねぇ』
「はい」
『畏まらなくても良いよぉ? ……なるほどぉ、確かに強い力を感じるねぇ……』
「でしょ? それでさお嬢さんに頼みがあるんだ」
「え? で、出来る子って……」
俺の疑問を無視してライは話しを進める。
『頼み? 何かしらぁ?』
「わたし達と来てくれないかい? 実は家事をしてくれる人を探してるんだ!」
『……』
ライの言葉に大蜘蛛は黙ってしまう。
その姿にライは首を傾げる。
「何かあるのかい?」
『……お誘いはぁ、すごぉく嬉しい……けど……』
「けど?」
『お役目があるでしょぉ? 私は此処にいるわぁ』
お役目とは何だろうか? でも凄く彼女は寂しそうに見えた。
彼女はポツポツと行けない理由を話し始める。
『家事は好き……マザーも淑女の嗜みだって言って教えてくれたものぉ……でもそれ以上にお役目も大事なのぉ』
「……お嬢さん」
『だから……ごめんなさい……』
寂しげに奥へと帰ろうとする姿を見て。
何故か俺はその脚を掴んで止めた。
ライが驚いた顔をしている……何なら俺も驚いて居る。
「お役目って何だ?」
『私達は監視員なのぉ……大きな虫達が世界で悪さしないようにするのがお役目……』
「そうか……じゃあ問題無いな」
『え?』
疑問の気配を発する大蜘蛛に俺は笑顔で手を差し出す。
「俺達も一緒にやれば良い……だからさ、こんな所で独りで居ないで一緒に行こう!」
『……! いいの?』
「ああ! ライ何て気ままなもんだろ?」
「な・ん・で、そこでわたしが出てくるのさ!」
『もう……』
大蜘蛛の言葉に耳を傾ける。
『もう……独りで無くていいの?』
「ああ! 一緒に行こう、そして沢山思い出をつくろう!」
『うん!』
〈契約を開始します〉
あの時と同じく頭に言葉が響く。
〈デスフォレストスパイダーと契約します〉
〈名前をお決め下さい〉
ああ、デスフォレストスパイダーと言うのか知らなかった。
名前か……そうだな、よし!
「俺の居た世界では蜘蛛は益虫なんだ、海外では蜘蛛の巣は夢を掴むとま言われていたんだ……」
『それは……素敵な事だねぇ』
しかし、掴んで欲しいのは夢よりも……
「でも、君には幸せを掴んで欲しいだから……君の名前は……」
俺の言葉を大蜘蛛は期待の眼差しで待っている。
「ユキだ“幸”と書いてユキ」
『ユキ……えへへ、良い名前ぇ』
デスフォレストスパイダー改めユキは嬉しそうにしている。
〈契約完了……〉
〈ムシの王の力により、契約虫“ユキ”が従者へと変化します〉
そして、あの時と同じく見知らぬスキルの効果が発動する。
それはつまり……
「ぐっ! あ、あがぁ!?」
やっぱり、激しい激痛と朦朧とする意識……
『マヒトちゃん! 大丈夫!?』
「すまん、ちょっと……寝る……」
「うん……お疲れ様、マヒトくん」
倒れる途中柔らかい何かを感じたが……それが何かは分からなかった。
四角に入るのは…………まさかの蜘蛛でした!
次回! 閑話……一人ボッチの蜘蛛




