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ムシテイマー~役目も無いので虫達と自由に暮らす事にしました~  作者: SUZUKING
第一章 想いは遥か遠くより君に……

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10 トンボさんと従魔?登録

ゼンレスゾーンのレベル上げが苦しくなってきた。

「これより王卓会議を始める! 議題は“新たな王”の出現についてである!」


 エンシェントドラゴンの声が響き渡る。

 そんな中一番最初に声を上げたのはエルフ王だった。


「それだよそれ、そもそも今回の王の出現は確かなものなのかなぁ……明確に啓示を受けるのは爺のみでしょ?」

「バカ言うな! 真竜たる議長がそんな嘘をついてなんになる!」

「レガ……ドワーフ王の言う通り」


 王卓会議では無闇に名前を呼ぶことは無い、エリオットは色々と防護魔法を施している為に例外だが名前を悪用する方法等腐る程ある。

 魔王も配慮してドワーフ王の呼び方を改める。


「単刀直入に言う、王の出現は確実である……しかし、何の種族か迄はわからん」

「フザケルナ!! 王トハアラユル条件ヲ満タシテナレル存在ノ筈ダ! 何処ノ誰トモ知レヌ者ガ簡単ニ成レルモノカ!!」

「ふん、単細胞が興奮するな」

「ナンダト!? 魔人王! 貴様コソ腹ヲスエカネテルノデハナイカ!?」

「……ちっ」


 エンシェントドラゴンの言葉に龍人王は激怒して姿がかなり龍に寄ってしまっている。

 そんな龍人王を鬱陶しそうにする魔人王に龍人王は食って掛かっている。


「静まれ……」

「……ぬぅ」

「……うぅ」


 言い争う二人にエンシェントドラゴンは殺気の籠った一言を発する。

 二人が黙るのを確認すると、エンシェントドラゴンは全ての王を見渡し静かに言い放つ。


「して……此度の新たな王の出現に心当たりが有るものはおらぬか……例えば……そうだのぅ……人間の王よ、どうだ?」

「……いえ、全く心当たりは……」

「本当かなぁ……」

「……!」


 エリオットの言葉に横槍を入れたのはエルフの王だった。

 エルフの王は興味津々の表情で話を続ける。


「小耳に挟んだんだよねぇ、戦争に利用するでも無くて別世界から四人の若者達を呼び寄せたとかね」

「……何の事でしょうか……」

「まあ、事情や理由を追及する訳じゃないさぁ……わかるだろ? 議題の通りさ……四人の中に新たな王が居る……そう思うのが普通でしょぉ」


 エルフの王の言葉で王達の視線は全てエリオットに向けられる。

 エリオットは目を瞑り、暫くすると話を始める。


「確かに我が国は別世界より四人の若者達を呼び寄せました……しかし、あの子達は何も関係無いと明言致しましょう!」

「ふーん、僕から言うことはもうないよ」

「しかしだ、監視をつけるべきではないかの」

「別世界より来た者が王の資格を持ってるとは思えない」


 エリオットの宣言に寄って話しは終わり、そこからは特に進展も無く議会が進んだ。

 そして結論は……


「沙汰が有るまでは傍観しか無かろう……意義は無いな」

「はーい」

「うぬ」

「問題ない」

「はい」

「ちっ」

「ふん」


 結論は出ず待ちの体制でいることで話しは落ち着いたのだった。




 ────────────────────────




 ライの服を購入し、昼食を食べ終えた俺達は早速冒険者ギルドへと来ていた。

 冒険者ギルドには昼過ぎの時間帯で有ったが人が多く賑わっている様子だった。


「おー! 人間が大勢いるね!」

「しゅ……」

「クマ吉怖いならフードに潜ってて」


 俺達はギルドに入ると、受付らしき所へと向かって歩き始める。

 すると、目の前に突然現れた何かにぶつかってしまう。


「おっと、すいません」

「おい、待てよ」

「? 何ですか?」


 ぶつかったことに謝罪をして受付向かおうとするが、ぶつかった相手は何が気に食わないのか……不機嫌そうに呼び止めてくる。

 俺より高いライより頭一つデカイ斧を背負った大男がイラつきを隠さずにのしのしと此方に向かってくる。


「何ですか? じゃねぇんだよ! 見ろよ俺の大事な鎧が汚れたじゃねえか! ああ゛!」

「おい、見ろよオルスタの奴がまた新人に因縁付けてるのか……」

「よせよ、関わってもめんどくさいだけだ……まあ、あの少年は気の毒だがな」


 んー、周りの反応から見てこいつは普段からこんな事を繰り返してるみたいだ。

 俺の態度が気に入らないのか、大男は更に詰め寄ろうと一歩踏み出そうとするが……


「てめぇ……黙ってんじゃねぇよ!」

「そこまでだよ……マヒトくんは謝罪をした筈だよ? それで終わりじゃないのかな?」

「はぁ? ふーん、良い女じゃねえか……あんたが誠意を見せてくれるなら許してやってもいいぜ?」


 割って入ってくれたのはライだ……しかし、マズイなライの奴かなり怒ってる。

 男はにやつきながらライに手を伸ばそうとしたところで聞き覚えの有る声が響いた。


「オルスタ! お前はまだそんな下らない事をしているのか!」

「ちっ、めんどくさいのが来やがったか……そもそも女子供が冒険者なんてするから俺達は舐められるんだ……」


 大男はぐちぐちと呟きながらギルドから出ていってしまう。

 それを見てカインが此方に近付いて来る。


「よう! 今朝ぶりだなマヒト、ライさん……クマ吉も」

「カイン! ありがとう助かったよ……危うくライが殺人犯になる所だった……」

「ちっ、後もうちょっとで殺れたのに……」


 ライはそう呟くと、チリチリと脚から稲妻が迸っている……マジでヤバかった。

 ライの呟きにカインも口の端がひきつって居る。


「そ、それはそうと二人は何しに冒険者ギルドに?」

「ギルドに登録しようと思ってね」

「そうか、じゃあ俺も付き添おうか……オルスタみたいなのが居てもなんだしな」

「ありがとう、頼むよ」


 俺達はカインの付き添いの元、ギルドの受付へと何とか辿り着く事が出来た。

 受付には、栗茶色の可愛らしい女性が立っていた。

 女性はカインに気が付き親しげに話し掛けている。


「カインさん帰っていたんですね! 王都での用事は終わったんですか?」

「ああ、ただの届け物だったからな」


 他愛ないやり取りを終えた所で女性が俺達に気付いた。


「あら? 其方の方々は見ない顔ですね?」

「ああ、新人だギルドの登録をしてやって欲しい……俺の一押し連中だ」

「ほほう! 剛剣のカインのお墨付きですか……わかりました少々お待ち下さい!」


 女性がそそくさと奥へと向かうのを見送り。

 気になった事をカインに質問する。


「剛剣のカイン? って何だ?」

「俺、一応は上級冒険者だからな……二つ名をギルドから付けられるんだよ……」

「……オークの群れって相当ヤバいのか?」

「少なくとも、上位冒険者でも一人で倒しきる物じゃねぇな」

「ふんふーん」


 中々の規格外らしいライは呑気に鼻歌を歌っている。

 そうこうしていると、先程の女性が色々と書類を持って戻ってきた。


「さて! 早速登録を始めましょう! 先ずは自己紹介、私はアイナ・ルリーナですよろしくね」


 受付の女性もとい、アイナさんは人の良い笑顔で握手を求めてくる。

 それに応えつつ俺達も自己紹介をする。


「マヒト・モリハラです。よろしく」

「ライだよ、よろしく」

「しゅ!」

「ふふ、よろし……く?」

 

 俺達の自己紹介に混ざる何かの鳴き声に首をかしげるアイナさん。

 その瞬間俺のフードからクマ吉が飛び出した。


「きゃ! な、何? べ、ベアースパイダー?」

「あ! クマ吉! 驚かしちゃ駄目だろ? すいません俺の仲間なんです」

「しゅん」


 目に見えて落ち込むクマ吉に、アイナさんはあわあわしながらクマ吉を励まし始めた。


「ちょっとビックリしただけだから気にしないで!」

「……しゅい!」

「ふふ、良い子ね……この子はテイムしてるの? でも、虫をテイムなんて聞いたことないし……」

「ああ、クマ吉はテイムしてる訳じゃなくて懐いてくれてるだけなんですよ」

「……ちょっと羨ましいです」


 そんなやり取りをしながら登録に必要な手続きは順調に進んでいく。

 しかし、ここで暫く静かにしていたライから意外な提案をされる。


「ねぇ、マヒトくん?」

「何だライ……」

「私の正体をギルドに教えて従魔として登録しよう」

「何でだ?」


 俺達は二人にしか聞こえない念話の様なもので会話している。

 ライは俺の言葉に理由を説明する。


「さっきみたいになった時、キミだけだとかなり危ないと思うんだ……キミは腕っぷしは全くだろ?」

「確かに、でも騒ぎにならないか? 新人ヤバイもの連れて来たって」

「なら偉い人に来て貰おう……幸い、ピースは揃ってるしね?」


 念話の為に黙った俺達を心配したのか、アイナさんが困った顔で此方を見ていた。

 俺は何も無いように装ってアイナさんに一つ確認する。


「アイナさん、従魔の登録も出来ますか?」

「出来ますよ? 此方の書類に従魔の名前と種族を……」


 俺はそれを受け取るとサラサラと淀み無く書き進めていく、その様子にカインも不思議に思ったらのか紙を覗き込んでくる。

 紙に書いた内容はこうだ。


 従魔 名前 ライ

 種族 エンシェントドラゴンフライ

 追伸 見てるカインもアイナさんも他言無用……出来ればギルドマスターに取り次いで欲しい。


 それを見て、アイナさんは鋭い表情へと変わる。

 同じくカインも警戒を上げて大剣の柄に手を伸ばしている。


「マヒトくん……これは冗談? それとも……」

「カインくん……キミで私に勝てるかな?」

「アイナ……脅しじゃないぞ、言う通りにした方が良い」

「え、えっとすいません?」


 俺の謝罪で場の空気は霧散する。

 アイナさんは「ふぅ」と軽く息を吐くと受付から離れてしまう。

 それを見たカインが真人に「着いてこい」と場所を移動する。




 場所を移動して、ギルドの奥の部屋へと案内された俺達は……主に俺が緊張の面持ちで案内された部屋で座っていた。

 その部屋の主である強面の五十代の屈強な男は現在済ました顔で紅茶らしき物を啜るライと向き合って居る。


「ふー……先ずは自己紹介させて頂こう……クルーデン冒険者ギルド、ギルドマスタードリトン・ガーデナーだ」

「ま、マヒト・モリハラです。今回は無理を言ってすいません」

「いやいや、言っていること本当なら途轍もない事だ……それで其方のお嬢さんが……」

「ライだよ……永く生きすぎてドラゴンとすら戦える様になったただのトンボ……エンシェントドラゴンフライだよ」


 そう言うとライは豊満な胸を張って「ふふん♪︎」と鼻をならしている。

 しかし、ドリトンさんは猜疑の目を向けている。

 まあ、無理もない粋なり現れた少女が巨大なトンボって言われても想像出来ないだろう。


「エンシェントドラゴンフライとは、百年に一度姿を現し周りに被害をもたらした厄災……」

「まって……待ってよ……ひ、被害? や、厄災!? 私そんなの知らないよ!?」


 ライさんガチ焦りの様子、そして詳しく話を聞いていく内にすっかり意気消沈してしまった。


「充分に距離を取ったつもりだったのに……ああ!! マザーのお小言はいやだよぉ!」

「……えっと話しの続きを……」

「う、うむ……正直、被害の弁償等を求めるつもりもないし過ぎた事だ気にしないで良いと言っておこうか」


 ドリトンさんはそう言うとそれでも猜疑の目を辞める様子は無い。

 そして、ドリトンさんは一つの提案をしてくれる。


「しかし、話しだけでは此方も信用出来ん……故に実際に見せて貰いたい」

「ライ……」

「私は構わないよ、でも相当大きいからね場所が必要だよ?」


 ライの言葉にドリトンさんは頷くと、問題ないとの返事をくれる。


「それならばギルドの地下広場を使おう、無論人払いはする」

「決まりだね!」

「後日、また来てくれ……アイナ、応対はお前に任せる」

「はい!」

「カイン、明日はお前も立ち会え……念のためにな」

「了解」


 こうして、俺達のギルド登録は明日へと持ち越されることになったのだった。

 少し、ライに申し訳ない気持ちはある、ライは俺を気遣ってこの提案してくれたのだ。

 俺を想ってくれていると考えたら少しだけ嬉しい気がした。

正体をばらすことでギルドに気に掛けて貰う算段、ギルドはライがヤバイのを知ってるからいらんことすんなよギロリってなる

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