なろう作家はAI絵師に向いている
近年、AIイラスト生成アプリの高性能化によって、誰しもが神絵を作れる時代になりました。
このAIイラストを作る上で必要なのは画力ではなく、国語力。
プロンプトと呼ばれる単語の組み合わせによってイラストが生まれるので、どれだけAIにイメージを上手に伝える文章を書けるかが重要になります。
それはつまり、小説家が一番得意とする分野。
だからAIイラストというジャンルにおいては、繊細な感覚で天才的なイラストを描く神絵師よりも、文章だけで他人に物語を伝える小説家の方がAIに上手な絵を描かせることができる可能性すらあります。
ここで僕がAIで作ったイラストを例に上げます。
例えば一番下の絵を生成する際に打ち込んだプロンプトは、
"水彩画 ライトノベルの挿し絵 中世ヨーロッパ 燃える町で魔剣を握る、赤い眼の男子高校生"
というものです。
もちろんAIが全ての単語を正確に読み取ってくれるわけではありませんし、同じプロンプトでも全く違うイラストがランダムに生成されたりもします。
そこで重要なのが、"赤い眼"を"赤い光を放つ眼光"に変えたり、"剣を持つ"を"聖剣を握り締める"に変えるといった、単語や文法の知識です。
日本語には同じ意味でも漢字や文法が異なる単語が無数にあります。
こういった単語を組み換える能力こそが、神絵を生み出すことに直結するのです。
だから、自分には絵心が無いからと最初からAIイラストを敬遠するのではなく、小説を書く人にこそ触れてみてほしいと感じます。
自分の物語をイラスト化することによって、ぼんやりとした世界観のイメージが固まったり、読者に伝えたりすることがより一層楽しくなると思います。
一部、絵師様を馬鹿にしたり、真似をして利益を出すような卑劣なAIイラスト生成師がいるせいでAIイラストというものにマイナスイメージがついている方も少なくないと思います。
だからこそ、そういった風に悪用するのではなく、正しく使う人が増えることで良いイメージを定着させて、小説家にとっての小説制作をより楽しくするツールとして広まって欲しいものです。
…と、ここまで散々AIイラストを信仰するような書き方をしましたが、正直なところ僕自身は、手描きのイラストが好きです。
絵というのは、本質的に突き詰めてしまえば、ただの色の染みが着いた薄い紙切れでしかありません。
素材の原価なんてたかが知れているし、物質的な価値だけで言えば、ティッシュペーパーの方が上ですらあります。
ではなぜそんな汚れの付着した紙を、大金を払ってまで欲しいと思うのか。
それは描いている人の努力や人生が詰まっているからです。
ただの市販の靴下も、アイドルが履いてから売れば何百倍にも価値は上がります。
絵というのはそういった付加価値が大半を占めます。
誰が、どのような想いを込めて描いたか。
皆が観たいのはそれなのです。
絵の具の染みではありません。
AIイラストにはそういった付加価値がありません。
AIがこれからどれだけ美しいデジタルイラストを生み出そうが、皆が欲しいのは橋本環奈やキムタクが10秒で描いた下手くそな落書きなのです。
だから、AIでどれだけ綺麗なイラストを作れるようになったからといっても、僕は手描きのイラストレーターを応援し続けます。
ここまでぐだぐだと駄文が長くなりましたが、僕が言いたいことを簡潔に纏めると、
AIイラストで挿し絵作るの楽しいから、小説家の皆さんは是非やってみて!でもそれで神絵が作れるようになったからといって絵描きを馬鹿にするのではなく、尊敬の念を持ち続けましょう!
ということです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。