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転生準備
俺の生まれた国には、魔王が居た。魔王は国民を丸焼きにしたり操って手下にしたり、ごく稀に町を一つ消し炭にしたりしていた。魔王の手下となったものは皆、紅く輝く瞳を持っていたという。
「はぁ……」
そんな魔王が死んで一年後。つまり、俺が勇者パーティに入ってから一年後。俺は水やガラスに写る自分の紅い瞳にため息をついた。紅い瞳は魔力が強い証。その事を俺の住んでいた町の奴らは知らなかった。そして、それは今もそうだ。
「……よしっ」
地面に魔法陣を書き終わる。この魔法陣は転送魔法……いわゆる、"別世界"への入口を作る魔法陣だ。あとは自分の血を垂らすだけ。それだけで、この町からおさらば出来る。この魔法を使ったものがどうなるかは分からない。けど、ずっとこの町にいるよりマシだ。親友から貰ったダガーナイフで指を切る。血が地面に落ちた瞬間、魔法陣が光り出す。
……さて、次はどんな地獄かな。