おちつくな...なんで?
月姫とデートの約束した後、俺達は、ゲームをする事にして遊んでた。ジャンルは、誰でもできるすごろく系!! まぁ2人だから、足の引っ張り合いだけどな。
最近は、アプリゲーが多いが、やっぱ据え置き型ゲーム機も良いんだよな。みんなで、集まってワイワイする感じとか楽しいし。そして俺は、月姫に邪魔されまくって、借金王になるべく、駆け抜けているのだ!!
「げっ! また借金!? だ…大丈夫だ。1発大逆転があるはずだ!!」
「ぷっ…アハハ♪ 颯、金銭感覚酷すぎだよ♪ 借金地獄満喫しすぎだって!!」
「誰のせいだよ!」
「私が手伝ってあげるよ、はい♪ 1000万のお支払い♪」
「やーめーろー!!」
さっきいじった仕返し? 違うよね?
「そろそろ晩御飯にするわよー♪」
「はーい」
もうそんな時間か
「それじゃ私はそろそろ…」
「何言ってるのかしら? ほら食べるわよ♪」
「え?…でも……」
「一緒に作ったんだし。それに、最初にご飯も誘ったでしょ♪」
確かに、電話で誘ってたのは、俺も聞いていた。
「月姫、母さんが1度決めたら強制に近いから、諦めるんだな」
「そ…そうなのね……それじゃ…ご馳走になります」
月姫がそう言うと、母さんは喜んでいた。
「ならすぐ持ってくるから、2人ともテーブルで待ってて♪」
「「はーい」」
そう言われ、椅子に座って待っていた。今日のご飯は、ハンバーグとサラダとスープだった。
最後にご飯を持ってきた時、ふと気になることがあった。
「あれ? 母さん、家にそんな茶碗あった?」
月姫の前に置いた茶碗は、全体がピンク色で、雲が少し被った月と、飛び跳ねてる白うさぎが描かれていた。俺は、初めて見たような気がして、母さんに聞いた。
「え? ……あぁ、お客様用で、たまに来た時に、一緒に食べる人が使うには、可愛すぎるから覚えてないだけじゃないかな?」
「確かに……まぁ良いけど」
なんか、どこか腑に落ちないけど、確かにお客さん用ってなると、使ってなかったというのは納得出来る。
さて、母さんも席に着いたし食べるか。
「「「いただきます」」」
俺は、ハンバーグを1口サイズにして、口に運んだ。この肉汁のジューシーな事、…あれ?
「ねえ母さん、今日のハンバーグいつもと違うような…」
「あら? わかった? 味付けと混ぜ合わせは、月姫ちゃんがしたのよ♪ もちろん、颯のハンバーグの成形もね♪」
「え!? 私が形にしたの、颯のお皿にもったんですか!?」
流石に月姫も、それには驚いてるようだ。
「そりゃ、彼女の手作り食べたいかなぁ~って、気を利かせたんだけど?」
「うぅ~……」
「ほら颯、せっかくの手料理なんだから、感想言ってあげなさい♪」
母さんは、ニヤニヤしながら俺達を見てた。俺は改めて、1口食べてから月姫に感想を言った。
「とても美味しいよ。それに……月姫ありがとう」
「お…美味しかったなら良かった……」
俺は、何故か頭によぎった感想を言いかけたが、その言葉を飲み込んで、月姫に伝えなかった。
だって、初めて一緒に食べてるし、初めて食べるハンバーグなのに……何故か、懐かしい感じがするなんて、とても言えるわけがなかったから…
味とかはきっと、昔食べたのに似てたんだなって思えるが、一緒に食べてることに関しては、一瞬頭の中で、ビジョンとして浮かんだのが、小さい頃今日みたいに食事をしてて…今日みたいに、母さんがニヤニヤしてたけど、誰と食べてたのか……相手が思い出せない…
そもそも、そんな事があった事すら、覚えてなかったのに、本当にあった事なのか、それすら俺には分からない事だ。
そんな、昔誰かとあったかもしれない、そんな不確かな事を、月姫に言うのは間違ってると思ったのだ。
それでも俺は、なんか懐かしくどこか、心が落ち着く様な感じに、モヤモヤしてたが、美味しいと言われ、喜んでる月姫の笑顔を見て、そんな事どうでも良くなった。