かぐや姫と竹取物語⑵
晴美姉さんはいきなり何を言い出してるんだ?
「かぐや姫と竹取物語って、どっちも同じ話じゃないか?」
「似てる様で、違うんだよ。まぁ正しくは、元の話を変えたってのが正しいのかもね」
「いやいや、2つとも最後は月に帰ってお終いだろ? 確かに文面は変わったかもしれないけど、内容は変わってないはず」
俺は昔学校で習ってたことを思い出してた。だが、どっちも終わりは同じだったはずだ。
「確かにかぐや姫は月に帰ってお終いだけど、竹取物語はその続きがあるの?」
「続き?」
俺は多分習ってるはずだけど、その部分を思い出せなかった。
「竹取物語の方はかぐや姫が月に帰る間際、帝にある贈り物をするの」
「贈り物?」
「そう、贈り物。手紙と不死の薬それを帝に渡してかぐや姫は山に入って月に帰るの」
「それがなんだってんだ?いきなりそんな授業みたいな話されても……」
「つまり今風にいえば、この2つの物語に付けられるタグが違ってくるの」
「タグ? よくネット小説とかにある、キーワード的なやつか?」
「そうよ。かぐや姫はただ、おじいさん達を残して月に帰る……いわゆるバッドエンドね」
「あぁ、それで竹取物語は?」
「竹取物語は……あくまでこれは、私の思ってる部分が強いけど、バッドエンドとすれ違い、それに両思いそして異種族恋愛が付くと思ってるのよ」
えっと……何を言い出してんだ?
「良い? 昔聞いたんだけど元々は物語の物の部分は登場人物の物じゃ無くて、物の怪の物らしいの、つまり物の怪の語りが略されて物語なったらしいのよ」
「つまり……かぐや姫が物の怪って事?」
「そう普通の人は、竹から生まれないし、月にも行かない、ましてや古文では3ヶ月で当時の成人まで成長してるの」
確かに、そう言われるとそう思えてしまう。
「だから竹取物語は竹取の翁と物の怪語りって事よ」
「お……おぅ」
「少し話が逸れてしまったわね。私が言いたいのは、月に帰る時、まず翁……つまりお爺さんに最後の手紙を渡したのは納得出来る。でも、それだけじゃなくて、なんで帝にも手紙を渡し、更に不死の薬まで渡したのか……颯は、なんでだと思う?」
「つまり……かぐや姫は異性として帝が好きだった? だから手紙……つまり恋文を渡した……でもそれじゃ不死の薬はなんのために?」
「颯はまさに私の中の帝と、同じ考察で止まってるわね。だから最後に、すれ違ってしまったのよ。」
「てか、今その話関係あるのか?」
俺は話を聞けば聞くほど、俺の記憶となんの関係があるのか、わからなかった。
「つまり、かぐや姫は素直に自分の気持ちを伝えられなかったから、手紙と不死の薬を渡した。手紙には自分の気持ちをなにかに例えた内容、そしてその意味を理解した上でも、一緒に居てくれるならと渡したのが、不死の薬だと思ってるの。だって物の怪……つまり妖怪や化け物って、今の私達の感覚でも永遠の時を過ごすイメージがあるでしょ? 帝は、ただの人間だから、一緒に入れる時間はかぐや姫からしたら、僅かな一瞬に過ぎないのよ。 だから、不死の薬を彼に渡したんだと思う」
え? あの物語ってそんなスケールのデカい話だっけ?
「でも、かぐや姫の想いは、帝に届かなくて、最後はその不死の薬を、燃やして処分しちゃうのそれで生まれたのが富士山の溶けない雪……つまり白い部分と言われてるわ。 それに、帝は不死の薬を処分する時言うの『かぐや姫のいない世で、永遠の時を過ごす意味が無い』そう言ったった文献もあるみたい。 つまり帝もかぐや姫が好きだった、でもどこにも居ないから一緒になる事を諦めた。そう取れない?」
「まぁそう取れると言えばそうなるが……それで、何がヒントなんだよ?」
「颯は本当に鈍いわね。私が言いたいのは2人の今までの関係とかが、この2つと似てるって言いたいの」
「はぁ!?」
「颯もある意味貰ってたはずよ? 月姫ちゃんからの手紙と不死の薬をね♪」
そう言って何かを思い出すかのように晴美姉さんは、クスリと笑った。 俺は晴美姉さんが言ってる物が一体なんの事なのか、少し考えたが、すぐには出てこなかった。
「だから颯、よく考えてそして、記憶を思い出した時、今日私が話した事を思い出して見て。必ずどうしたらいいかわかるから。絶対竹取物語みたいな最後には、なっちゃダメだからね?」
そう言って晴美姉さんは俺に「わかった?」って念を押してきたから、頷いて答えた。
「さてと、私からの話はこれで全部かな♪ 3日間の行動もきっと物語の中にあるはずだから。時間もだいぶ遅いし送って行ってあげるよ♪」
「ありがとう晴美姉さん……」
そう言って晴美姉さんは既に冷えてしまった珈琲を飲み干し席を立った。
俺も喉を潤す為、珈琲を飲んで洗い場に持っていった。
その後戸締りをして、車で家まで送ってもらった俺は、今日聞いた、月姫のお母さんの話と、晴美姉さんの話を思い出し、ベッドで横になって考え続けた。
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