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第7話 癒やしの効力確認 料理人

 セシリア公爵は、娘のセインが発動した癒やしの効力を測ろうと、屋敷に仕える使用人達への施し第3弾。


 今回は部位欠損で損失部位が消失している場合の効力を確認。

 対象者は甘い物大好き、虫歯で奥歯を1本抜いていますが、まだ虫歯がある料理人のクック。

 癒やしの場所は今回も、公爵の執務室。



 仕事中、公爵に呼び出されたクックは公爵の執務室へ入ると、ソファーに座っているセインを見て、新しいお菓子の話しかと思っていると。


 公爵が執務机から立ち上がり、普段通りの表情で、ソファーを指さしながら

「そこに座ってください」


 クックはソファーに座り、机の上に置かれている、見覚えのあるお菓子。

 料理長がセインお嬢さま専用に作った物と目隠しに気付き、目隠しに対しては不思議に思うも、料理長の作ったお菓子を食べられるのかと期待、対面に座った公爵から。

「その目隠しを付けてくれますか?」


 公爵からの頼みを料理人が断れるわけも無く、手に取り、付けるのでした。


 1分程の沈黙の後

「はずしてくれますか」


 公爵の声に、目隠しを外すと、身体が軽くなった気がする以外、何も変わりなく。


「甘い物が好きだと聞きました、料理人として勉強のため食べてみますか?」


 美味しく頂いたクックでしたが、つい顔を顰めたのを公爵は見逃さず

「どうしましたクック」


 料理人として、味、食感の反応では無く、歯痛による表情の変化を指摘されたクック、嘘も言えず

「すみません、虫歯が痛く」


 公爵は、セインの言うとおり癒やせなかったのだと

「治療代は出しますから早く治してください」


 虫歯と知られ、お叱り、解雇もあり得るとの思いに反して、気遣いの言葉をもらえたクック、心から

「ありがとう御座います」


 実は、料理長にも料理人として虫歯は駄目だと言われて、早く治療と即されているのですが、クックは歯科医が怖くて行けないのです。


「仕事に戻ってください」


 クックは、目隠しは何だったんだろうと思うも、料理長が歯科医へ行かないのを公爵に相談したと勘違い、このままでは本当に辞めさせられる、そもそも、雇い主の公爵にまで言われたら、歯科医へ行かなければと誓って執務室を後にしたのです。



 執務室の公爵とセイン

「お父さま、やはり駄目でしたわ」


 今回の癒やしは、事前にセインが「絶対無理」と宣言していたのですが、公爵から気合いを込めてやってみてくれ、今までは見返りを求めなかったセインが、今回は、街への外出を要求、公爵が承諾して実施された癒やしの効力確認だったのです。


「癒やせませんでしたけど、街への外出はしますわよ」


 成功条件では無いと、絶対拒否させない意気込みを感じた公爵

「ガーデナーを必ず連れて行きなさい」


 許可した街への外出が、庭遊び以上の公爵夫妻を悩ませる要因になるとは思っていなかった公爵、喜び勇んで執務室を出て行くセインを見送った後、ソファーに寝そべり天上をみながら「万能では無いのだな」と呟き、次の癒やし効力確認をする症例に悩むのでした。

料理長がセイン専用に作ったお菓子

アーモンド入りのソフトキャンディで別名はヌガー

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