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第66話 お菓子作り再び

 前回の教団からの依頼、行き帰りの道中で見せつけられ味わわせられた、食べられる美味しい料理、女子力が向上したシドニーに衝撃を受けたセイン、誓った菓子作りの再挑戦。


 死霊らしき物対策時、ナイツに同行した騎士団員は「是非」食べると言質も取ってある。


 領地の屋敷へ戻らずにいるシンシアに、菓子作りを手伝ってもらいたいと王都のメイド長へ依頼。

 菓子作りの手伝いなら何時でもシンシアをお使い下さいと許可を得たセイン。


 自室へシンシアを呼び前回の話し。

 クッキー作り、料理人のクックが材料を用意してくれて、言われるままに混ぜて伸ばして型抜きまでしたら、クックが焼いてくれて試食で食べたら嘔吐したと。


 クッキー事件、セインお姉さま会の逸話としてシドニーから事前に聞いていたのですが、知っているとは言えないので名演技を披露するシンシア。


 焼きたてクッキーで嘔吐?首を傾げるシンシアは、沈黙しているシドニーへ視線を向けると「本当です」と、どんな味がと尋ねられたセインにシドニーは、クックの蒼白な顔を見て食べ無かったのを思い出し、「味がしなかったとクックが言っておりましたわ」とセインが答えたのです。


 調理場の隅を借りて再挑戦。

 前回同様、言われるままに混ぜて混ぜて混ぜて型抜き、シンシアが焼いたクッキー。


 焼き上がったクッキーを見たセイン、また灰色の霧が纏わり付いて見え。

「シンシア、食べては駄目ですわ、もの凄く不味い物に成っていますわ」


 項垂れるセインを横目に、ひとかけ口にしたシンシア、まったく味のしないジャリジャリクッキーを生ごみ用箱に吐き出したのです。


 セインの癒やしに毒の浄化、セインお姉さま会の情報共有で知っていたので、味の全くしないクッキーを食べ、理由が分かり言ってしまうより気付いて頂こうと。

「セインさま、もう一度作りましょう」


 今度は、食材を直接触らないようにと支持を受け、混ぜるのも器具を使い、伸ばしに型抜きも細心の注意を払い触れる事なく、時間は掛かりましたが何とか作り上げ焼かれたクッキーを見たセイン。

「灰色の霧を纏っていないですわ、シンシア、シドニー食べてみましょう」


 普通に食べられるクッキーに大感激のセイン。

「食べられますわ!食べられますわ!」


 美味しいでは無く、食べられるに大感激のセインを見たシンシア、料理は向いていないどころでは無く、浄化の効力で無理なんだと気付いてくれなかったセインに、諦めさせる手段はと悩むのです。


 食材を混ぜるのも、伸ばすのも手を触れずと言って作らせたのを見たシドニーは、セインさま、何故気付かないのですか!シンシアが困っているでは無いですか!

「お嬢さま、シンシアさんを困らせないで下さい」


 困らせていると言われ、何がですの?と自分の事となると、まったくの駄目人間となるセイン。


「お嬢さまは、浄化の効力で料理は無理だとお気付きなのを、惚けるのはおよし下さい」


 シンシアは、惚けているのとは思えないのですが、シドニーに便乗。

「セインさま、お気付きだったのですね、浄化が食材にも及び、砂のようになってしまっている事に」


 言われて、やっと気付いたセインは、シドニーの虐めに便乗しているシンシアへ。

「シンシアお姉さま、酷いですわと泣き真似・・」


 動揺するシンシアへシドニーが、「ほっておけばいいのです」と声を掛けて、調理場の片付けを始めると。


「シドニーは冷たいですわ」


 シドニーの猛獣セインの扱いを見たシンシア、2人の関係に感心と嫉妬を覚えたのです。



 セインの自室へ戻った3人、テーブルに上に置かれた、美味しくは無いクッキーには手が伸ばされることは無く。


 クッキーの消費先となったナイツの胃袋、セインが作った補正で美味しいと、嘘偽り無い言葉に、セインは一生で一度の喜びを感じ。

 ナイツは、セインが作った食べられる物を唯一食べた者として、一生自慢をするのでした。

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