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第6話 癒やしの効力確認 庭師

 セシリア公爵は、娘のセインが発動した癒やしの効力を測ろうと、屋敷に仕える使用人達への癒やしの施し第2弾。


 今回は外傷による後遺症への効力を確認。

 対象者は護衛任務で左手を負傷後、両手剣を振れなくなり公爵領を守護するセシリア騎士団を退団、公爵家で庭師と警備を担っている、前セシリア騎士団隊長のガーデナー。

 癒やしの場所は前回同様に、公爵の執務室。


 仕事中、公爵に呼び出されたガーデナーが執務室へ入ると、ソファーに座っているセインを見て、庭遊び関連の話しかと思っていると。


 公爵が執務机から立ち上がり、作り笑いで

「最近腕の調子はどうですか?」


 公爵、作り笑い怖いですよ・・・と思うガーデナーは、庭師としては素人に毛が生えた程度、警備は怪我の影響で扱い慣れない片手剣では、肝心な時に役に立てるかと以前より不安があったので、警備の後任が決まれば公爵に甘えるのは辞めようと以前から思っていたので

「警備の後任は誰が?」


 ガーデナーの返答に、何を言いだしたのか理解出来ない公爵、作り笑いは変わらず

「後任?」


 ガーデナーは間違った理解をしたのかと

「暇を出されたのでは」


 お父さま、早く否定しなさいよと思うセイン、沈黙を続ける父親へ助け船を出航、無邪気な笑顔から

「お父さまが作り笑いで、腕の調子を聞かれるから勘違いされるのですわ」


 セインの勘違いされるの言葉を聞き、後任が決まったのでは無く、言葉通りに腕の状態を聞かれたのだと思っていると。


 セインが必殺上目遣い

「ガーデナー、腕は平気?天気の悪い日は痛んだりしない?おかげで侵入者の心配なく庭で遊べるは、庭の手入れ慣れない仕事で大変でしょうけど、わたくしの庭遊びが続けられるよう、これからもお願いね。こう言うのですわ!」


 またしても娘から父親への駄目だし!


 ガーデナー、セインお嬢さまに今の言葉を本意で言われたら『涙を流して。お嬢さまに何かあれば身を挺してお守り致します』と誓ってしまうだろうと思い、セインお嬢さまの上目使い攻撃の怖ろしさが、噂以上だと驚愕したのです。


「今のはセインの本心では無いか、真似できるか!」


 お嬢さまの話しが本心だと聞き、ガーデナーが涙声で

「わたくしの勘違いで申し訳ありませんでした」


 さすがのセインも、何?何故涙声?動揺を隠せず

「ガーデナー、何故泣いてるの」


 項垂れから復帰した公爵、滅多に見られないセインの動揺する顔を見ながら、泣かせたのはお前だぞ、責任取れと呆れ。

 あれで泣いてるようでは、癒やしを施されたらセインに忠誠でも誓いそうだと思う公爵は再度

「腕の調子はどうなのですか?」


 ガーデナーは、涙を流している自分に驚き、袖でぬぐうと

「痛みはないのですが握力が戻らず」


 公爵の視線がセインに注がれると、ソファーの真ん中に座っていたセインが横にずれ、隣に座る公爵。


「ガーデナーも座ってください」


 公爵と対座のガーデナー、公爵との相談経験はありましたが、セインお嬢さまの同席は経験無く、聞かれた腕の件と、セインお嬢さまの上目遣い攻撃の怖ろしさを身を持って知ったので、より一層の不安に駆られていると、公爵の視線は横に座るセインへ向けられ。


「セイン、癒やしの使用を許可します」


 頷くお嬢さまを見て、癒やしの許可?何が起きるのかと思っているガーデナーは、視界の変化に、左腕を見ると、淡い光りと金の粒子が漂っているのに驚き、収まるまで無言で見続け。


「今のは、お嬢さまが・・・・」


 公爵は、ガーデナーからの問いに答えること無く

「左ての握力は変わり無いですか?」


 左手を何度も何度も握り開くを繰り返し、唖然としているガーデナーは、心ここにあらずと言った感じで

「握力が戻っています!」


 見たことが無い和やかな顔の公爵に、ドヤ顔のお嬢さま。


「それは良かった、仕事に戻ってください」


 何事も無かったかの如く、仕事へ戻れと言われたガーデナー。

 放心状態のまま、左手を握り開くを繰り返しながら席を立ち上がり扉へ。


「後で試しに両手剣を振ってみてください。それと、今見たのは内密でお願いします」


 扉が閉まり、公爵はガーデナーが状況を理解した時の驚きを見られずに残念に思い。


 セインは、セバスの癒やし時の同じ展開に呆れていると。


「上目遣いの使い方、どこで習ったのですか?」


 突然、公爵から想定外の問いを受け「は?」と思うセイン。


 公爵は、セインからのお願い時以上の破壊力だった上目遣い、今後の被害者量産が心配なのです。


「どこでと言われましても・・・、お母さまが、お父さまにお願いをする時の真似ですわよ」


 リリイだったかと、セインに言われ納得したのでした。



 セインは、ガーデナーへの両手剣の扱い報告を受けていないのですが、現セシリア騎士団隊長のナイツへ、庭の隅で両手剣を使い稽古を付けているのを見て、完治を確信したのです。


 公爵の想像通り、ガーデナーは庭で遊ぶセインを離れた所から、跪いて頭を下げ、癒やして頂いたことの感謝に忠誠、そして、今後振るうことがあるだろう剣では誰も傷つけず、恨まれることはしないと誓ったのです。

癒やし効力、事前の症状確認で同じ展開に

学習しないお父さま、もしや駄目な人?

娘に心配される公爵

3回目は?

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