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第5話 癒やしの効力確認 執事

 セシリア公爵は、娘のセインが発動した癒やしの効力を測ろうと、屋敷に仕える使用人達への癒やしの施し第1弾。


 まずは、効果があった場合を考慮して、騒ぎに成らないよう、見た目では分からない症状。

 痛みと加齢に伴う一連の退行への効力確認。

 対象者は持病の腰痛持ちで、視力に体力の低下に悩む執事のセバス。

 癒やしの場所は、公爵の執務室。



 朝食後、執事のセバスが一日の予定説明を行いに公爵の執務室へ入ると、ソファーに座っている面会予定の無いセインを見て、朝から公爵へ何かのお願いに来られたのかと『セインお嬢さまの上目遣いから繰り出されるお願い攻撃に、公爵は今日も惨敗されるのか』と溜息。


 公爵の予定をセインお嬢さまに聞かれても問題無いと

「本日は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 セバスの予定説明が終わると、公爵が執務机から立ち上がり、深刻な表情で

「最近体調はどうですか?」


 突然、今まで見たことが無い深刻な表情をした公爵からの体調確認、持病の腰痛、姿勢に出ていたのか?主人へ心配を掛けるとは執事失格だと思っていると。


「セバスが腰の痛み、視力に体力の低下を嘆いていると、リリイから聞いたのですよ」


 セバスは公爵夫人の情報元は妻のメイド長だと確信、余計なことをと思うも視力に体力の低下は否めず、何より腰の痛みは執事の業務に少なからず影響が出ていると自覚があったので、主からの執事職の引退勧告だたのだと認識、主に嫌な思いをさせてしまったと、自分から言い出さなかったことの後悔

「お気を使わせてしまい申し訳ありません。後任は既にお決まりなのでしょうか?」


 お父さま、深刻な顔で加齢の指摘は引退勧告ですわよと思ったセイン、セバスの返答を聞き案の定ですわと呆れています。


 セバスの返答に、何を言いだしたのか理解出来ない公爵、深刻な表情は変わらず

「後任?」


 セバスは間違った認識をしたのかと

「執事の引退を促されたのでは」


 お父さま、早く否定しなさいよと思うセイン、沈黙を続ける父親へ助け船を出航、無邪気な笑顔から

「お父さまが深刻なお顔をして、体調を聞かれるから勘違いされるのですわ」


 セインの勘違いの言葉を聞き、セバスは引退勧告ではなかったのかと安堵も、口に出してしまった後任の話し、執事を辞めると言ったも同然、どうすればと悩んでいると。


 セインが必殺上目遣いで

「セバス、腰は痛いの?視力も落ちたと聞いたわ、眼鏡を作る?体力だって若くはないのだから無理をなさらないで下さいまし、わたくしはセバスが居てくれないと困るのですからね。こう言うのですわよお父さま!」


 思わぬ娘から父親への駄目だし!


 セバス、セインお嬢さまに今の言葉を本意で言われたら『涙を流して。より一層、お役に立てるよう務めてまいります』と誓ってしまうだろうと、セインお嬢さまの上目使い攻撃の怖ろしさを身を持って知り、公爵が毎回惨敗で呆れていたのを申し訳なく思い、惨敗必須、勝つのは無理、あれは無理、絶対無理と納得したのです。


「そのように言って頂ければ、一生お仕えすると誓ってしまいます」


 娘からの駄目だし、セバスの同調に

「真似できるか!2人して私を虐めて楽しいか!」


 虐める?父親へ追い打ちのセイン、冷たい表情に変わり

「何を言うのですか、セバスに余計な心労を与えた罰ですわ」


 公爵は、深刻だった表情から落ち込み、項垂れている姿を見たセバス。


 仕える主人、王族派貴族から鬼とも呼ばれている公爵が、まさかの娘からの駄目だしに同調してしまい、これ以上は冗談ではすまされないと

「わたくしの勘違いで申し訳ありません」


 落ち込んだままの公爵を許す気はないと、セインは、更なる冷気を溢れさせ、公爵を睨み付け

「謝っては駄目ですわよセバス、悪いのはお父さまなのですから、あれはどう見ても引退勧告ですわ」


 セインが妻のリリイに見えて身震いした公爵、当初の目的へ話しを戻そうと、セバスへ視線を向け

「体調はどうなのですか?」


 セバスは、執事を辞める話しは無くなったのだと安堵。


 セインは、お父さま話しを戻しましたわね、助け船、難破船になる前に寄港ですわと。



「腰の痛みは今も少し、寝起きは特に酷く起き上がるのに苦労しております」

「視力に体力の低下は元が良かったと自負しておりますので落ちたとは言え、まだまだ」


 公爵の視線がセインに注がれると、ソファーの真ん中に座っていたセインが横にずれ、隣に座る公爵。


「セバスも座ってください」



 公爵と対座のセバス、公爵との相談経験はありましたが、セインお嬢さまの同席は経験無く、聞かれた体調の件と、セインお嬢さまの上目遣い攻撃の怖ろしさも知ったので、何を言われるのかと不安に駆られていると、公爵の視線は横に座るセインへ向けられ。

「セイン、癒やしの使用を許可します」


 頷くお嬢さまを見て、癒やしの許可?何が起きるのかと思っているセバスは、視界の変化に、両の手の平を見ると、淡い光りと金の粒子が漂っているのに驚き、収まるまで無言で見続け。


「今のは、お嬢さまが・・・・」


 公爵は、セバスからの問いに答えること無く

「腰の痛みに変わりは無いですか?」


 腰に両手を当て、背を反らすセバス。

 突然立ち上がり、腰を回しだし、冷静と言うより驚き過ぎて表情がないセバスはポツリと

「痛くありません」


 先程以上に深刻な顔の公爵に対して、ドヤ顔のお嬢さまを目の前にしたセバス。


 公爵はセバスへの口止めをおこなったのは言うまでもありませんが、セバスのセインへの崇拝がすさまじく。

 セインの前に跪き「感謝、感謝、感謝」と両手でセインの手を握り続けているので、公爵が「娘の手をいつまで握っている」手にチョップを食らわし強制退室。


 退室時、公爵が「先程聞かれたセバスの後任、候補は1人でアプレです、教育お願いします」聞いたセバス、公爵家のため、延いてはセインお嬢さまのため、息子のアプレへの教育に一層励むのです。


 後日の再確認、セバスの、視力体力の悩みは変わらずでした。

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