第47話 パーティーで友達を更に増やす
セインは、ウィッチに連れられ王族派が集っている中を分けいるのです。
左右に分かれる人垣、わたくしでは無くて、先を行くウィッチさまを恐れてだと、避けていく人々の視線がセインに集中しているのに気付いていても、現実から目を背けているのです。
「悪魔の娘、今年は誰が取り込む気だ」
声の主へ
「悪魔ですって!あ!お父さまのことでしたか、敵対される方へは容赦されないようです、お気を付け下さいまし」
「今年は、ミステク男爵家のアリアさまですわ、どちらに居りますかご存知?」
声の主が向けた視線の先、ウィッチの先導で辿り着くと、跪く女性と立たせようとする男性。
男性には見覚えがあるセイン、昨年の国王主催パーティー会場から逃げ出した、前環境大臣のミステク男爵。
役目は終了、後は知らんとセインと立ち位置を入れ替わったウィッチ。
ミステク男爵は、教団から痘痕を癒やせると渡された薬、娘に飲ませると全身が淡い光に金の粒子が漂い、収まると綺麗な肌に。
教団へお礼に行くと、お布施は受け取って貰えず、聖女さまから薬の出所はシュワルツ侯爵に聞いて下さいと言われ、シュワルツ侯爵から聞かされたのが公爵家長女セインの名前。
毒事件の首謀者と公爵に気付かれているのに、何故と思い続けていたのです。
セインは、悲しげに俯き。
「ミステク男爵さま、わたくし、淑女の振るまい、それ以上に、貴族令嬢としての浅学菲才なのです」
昨年、淑女の作法が出来ていないと国王へ宣言していたと思い出すミステク男爵、今度は、学問、知識が浅く未熟だと言い出しセインへ、浅学菲才を13歳で口にする段階で、何処がだと言いたいのを我慢。
「アリアさまは博識だと、お教え頂きたいことが沢山あるのです、お茶会のお誘いお許し頂けますか」
お茶会のお誘いは、お友達に成りたいと同意語のセイン、それを理解したミステク男爵。
薬の恩、毒事件の首謀者として大臣の辞任で許されている?、そして、足下で跪いて動かない娘。
肯定以外の選択肢が無いのですが、王族派として大臣職に就いた経験も有る者が、娘を反王族派筆頭貴族の屋敷へ行かせるのは避けなければならず、悩み発せられた言葉は。
「公爵がお許しにならないと思いますので、申し訳御座いません」
決まったわとウィッチが、セインの前で跪いているアリアを立たせ連れ出して行きます。
問題ないと言うのではつまらないとセイン。
「わたくし、一部で悪魔と呼ばれている者を手なずけておりますので、問題ありませんですわ」
王族派の貴族、話の行方を見守っていて、セインの悪魔と呼ばれている者を手なずけてと聞き、恐妻家の者は、公爵夫人とセインの共通した容貌から頷いてしまったのです。
「アリアさまはお借りして行きますわ」
「それと、これを」
「お返事は要りません、アリアさまを当日、お待ちしておりますわ」
ミステク男爵の手には、セインからの招待状が渡されていたのです。
セイン専用席
ウィッチにより連れてこられたアリアは、男装の麗人に3人の美少女、ここにセインが加わったら、容貌が平凡のわたしへの苛めですか、父が行ったことの罰ですかと思ったのです。