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第4話 癒やしの効力が異常

 セインは、公爵夫人の部屋へ入り、座って待たれていた公爵夫人に座るよう即され、丸机の対面に用意されていた椅子に座ると。

 メイド長がセインに前に置かれていたカップにお茶を注ぎます。


 公爵夫人専属メイドが2人とも姿がなく不思議に思うセインでしたが、すまし顔で、注がれたお茶を口に。


 娘の所作を見て、メイド長が話さない事象は、(やま)しいことではないのかしらと

「セイン、何か話すことがあるのでは?」


 公爵夫人の表情を見て、セインは、シドニーが言っていた通り、庭遊びをしているとしか気付いていないと察し、先手を打って核心から

「以前、お母さまに、日焼け・擦り傷・虫刺されを、お仕事でお疲れの叔母さまに癒やしの施してを受け、ご迷惑を掛けているとお叱りを頂きました」

「わたくしなりに反省をして、叔母さまにご迷惑を掛けずにすむ方法はと考え、わたくしが癒やしを施せればと、この数日間修練を重ねて身に付けましたので、庭遊びを再開したのですわ」


 公爵夫人は、庭遊びを叱ったのに、義姉からの癒やしを受けることで叱られたと言い出す娘に目眩から額に手をやり。

 続いて、自ら癒やしを施せるように成ったから、庭遊びを再開と聞き

「セイン、義姉さまと同じように癒やしが施せると言いましたか?」


 何かを言うより見てもらえればと、机の上にあるカップを横にずらし、右手の肘を机に乗せて手の平を上にした状態で、「治れ・治れ・治れ・・・」淡く光りだす手の平、金の粒子も漂い出し。

「お母さま、このような感じですわ」


 口を開け、セインの手の平を凝視していた公爵夫人が、セインの目にはゆっくりとメイド長が控えている右側へ傾いて行くのが分かり。

「お母さま~~~~~」


 メイド長が抱きかかえるも、支えきれず、倒れる2人。


 セインの叫を聞き、入室許可を得ずに公爵夫人専属メイドの2人が飛び込んできたのです。



 公爵邸内は、奥さまが倒れたと大騒ぎ。

「お医者を~」

「公爵さまへお知らせして」

「メイド長、お怪我はありませんか?」


「セインお嬢さま、何をされたのですか?」



 その夜、公爵に執務室へ呼ばれ、執務机の前に立つセイン。

 ナイフを取り出し指先を切る父親を見て驚いていると、セインの前に手を差し出し

「癒やしてくれるか」


 セインは傷に手を(かざ)す事なく、目を閉じ「治れ・治れ・治れ・・・」と心で唱えると、公爵の全身が淡く光り金の粒子が漂います。


 光が収まり金の粒子が無くなると、ナイフで切った指先の傷は無くなっており驚愕の公爵、真剣な顔で

「庭で遊ぶのは許す。ただ、怪我は今まで通りに姉上に癒やしをお願いをするので、セインは癒やしの施しを禁じる」


 セインは、公爵夫人からのお叱りには耐性が出来ていたのですが、公爵に対しては全く無く、初めて見た真剣な表情に動揺

「は、はい、お父さま」


 大事なことなので公爵は念押し。

「癒やしの能力は許可があるまで使わないと、父との約束を守れるか」


 お父さまの言い付けは絶対守ると誓い

「守れますわ、お父さま」



 公爵の驚愕と、癒やしの能力の使用を禁止したのは、修道女の姉が施す癒やしは2日前に負った怪我までと制限があり、癒やす場所を手で(かざ)す必要もあるため、一度に全身は癒やせないのです。

 先程のセインは、公爵の古傷に腰の痛みまで一度に癒やしてしまい、教団聖女の叔母をも凌駕する効力を発揮していたこと、更に、癒やしの発動時に見たことの無い金の粒子の存在が理由だったのです。



 セインが、一度に全身に癒やしを施せるのは、庭遊びで露出している手に顔周りと何度も癒やしを施すのが面倒で、一度で癒やせればと鍛錬、面倒が嫌いなセインだからこそ習得できたのでした。

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