第2話 初めての癒やし発動
お風呂で身綺麗と成り自室へ戻ったセイン、自分付き専属メイドのシドニーまで怒られ。
更に、公爵邸隣接の教会で修道女をしている叔母から、毎夜癒やしの施しを受け、日焼けに虫刺されまで綺麗にして頂くのが申し訳無く思うのですが、庭遊びの誘惑に負け同じ事を繰り返す日々。
幼いながら、このままでは駄目だと思い考えた結果、庭での遊びをやめるのでは無く、叔母の聖魔法を身に付け、自分で癒やしを施せば良いのだと考えに至り、そく実践。
シドニーに、使用人の中で怪我をしている者を呼んでと頼むと、メイド服の裾を膝上までたくし上げ。
「先程、庭で転んでしまいました」
湯浴みで綺麗になった膝に、血がにじむ傷を見て、思いがけない好都合の実験台にほくそ笑むセイン。
膝の怪我を見て、怪しく笑うセインに「何をされるのわたし~」と恐怖を感じるシドニーへ。
化粧台の椅子を指差し、「そこの椅子にお座りなさい」座るように即すのです。
シドニーの、日焼け・擦り傷・虫刺されで、癒やしの試しをおこなわないのは、成功した場合、公爵夫人に詮索され内緒に出来ないと。
椅子に座らるシドニーの前に跪くセイン。
主に跪かれ
「お嬢さま何を」
慌てて立ち上がったシドニーへ、今までに見せたことの無い真剣な眼差を向けて
「座ってなさいまし」
公爵夫人を彷彿させる命令口調のセインに、恐怖を感じ椅子に座り直すシドニー。
セインは、シドニーのメイド服をたくし上げ、露わに成った傷を右手で覆い「治れ・治れ・治れ・・・」と唱えると手が淡く光り、金の粒子が漂いだします。
教会修道女、公爵の姉と同じような癒やしの発動に驚くシドニー。
淡い光に金の粒子が収まり、手を離すと傷は跡形も無く、右手を強く握り「よし!」と一言。
これで皆に迷惑を掛ける事なく思う存分外で遊べると喜ぶセインは、驚きで固まり続けるシドニーに
「お母さまには内緒ですわよ」
セインの強要に、こくこく頷くシドニー。
満足のセインはシドニーの傷を覆った右手を見て、傷が無くなっているのに気付き、両手で傷を覆わず良かったと思ったのです。