第1話 幼少時のセイン
セシリア公爵家長女セイン、外で遊ぶのが大好きで、露出した肌は日焼け・擦り傷・虫刺されで、母の公爵夫人からお叱りを受ける日々。
今日も、スカートでは無くズボンを履き泥まみれ、日に焼け、手は傷だらけ、髪には木の葉を付けて悪ガキの様相。
サロンでお茶を飲んでいる公爵夫人、庭で見かけない装いをしている子供を見つけ誰?と思い目を凝らすと、公爵夫人自慢の金髪を彷彿させる髪をなびかせているのは
「セイイイイイィィィン」
公爵邸内に木霊する公爵夫人の叫び。
庭で専属メイド2人を伴い仁王立ち、睨んでいる先には娘のセインと専属メイドのシドニー
「セイン、何度言ったら分かるのですか!」
「そんなに日に焼けて、庭に出る時は帽子を被りなさい!」
「その手、なにをしたら傷だらけに成るのです!」
「虫にも刺されて、痕が残ったらどうするのです!」
お淑やかにしていれば天使と見紛う容姿の娘、活発すぎる性格に
「は~~~~」
落胆の公爵夫人。
貴族令嬢として、当然のお叱りを受けているセイン、公爵家では天気が良い日、頻繁に見られる情景。
公爵夫人、今まで見たことが無いセインの服装に
「その服はどうしたのですか、男の子では無いのですわよ!」
セインは叱られているとは思えない晴れやかな笑顔で
「お父さまに、お庭で遊びたいとお話したら、ご用意下さいました」
公爵夫人、セイン専属メイドのシドニーに視線を向け、セインと同じ服装に眉間のシワを一層深くし
「旦那さまがセインを甘やかすから悪いのです、シドニーの分まで庭遊び用の服をご用意って何をお考えですの!」
普段以上の大激怒に、公爵夫人専属メイドの1人が
「奥さま、あまり興奮なされると血圧が」
頻繁に、公爵夫人はセインを叱っている最中に目眩を起こすのです。
お父さま、申し訳ありません。今夜はお母さまの小言に耐えて下さいと心の中で謝るセイン。
公爵夫人のお叱りの矛先は、セイン専属メイドのシドニーへ
「シドニー、セインと一緒に遊ぶのでは無く、止めるのがあなたの役割ですわよ!」
お止めしてもお聞き入れてくれるお嬢さまでは無いとご存知のはず、付いて行く以外にどうしろと言いたいシドニー。
「申し訳ございません」
公爵夫人のお叱りを、離れた所で見ていたメイド長、シドニーの返答に、公爵家お転婆長女セインさま専属メイドとして合格と頷いています。
お叱りの公爵夫人は、専属メイドの1人に
「湯浴みの用意をお願い」
メイドは頷き、屋敷の中へ。
サロンでの寛ぎを続ける気が無くなった公爵夫人、残ったもう1人の専属メイドへ
「サロンの片付けをお願い」
先程のメイドと同じように頷き、屋敷の中へ。
公爵夫人、セインとシドニーの2人へ再度視線を向け
「2人して身体を洗っれいらっしゃい」
1人になった公爵夫人
「今日も、セインの癒やしを、お疲れのミラさまにお願いをしなければ」
「ミラさまが教団聖女に成られて王都へ行かれてしまったら、セインへの癒やしをお頼み出来なくなるのに、旦那さまは庭遊びの服をご用意って!」
公爵夫人の嘆きは誰にも聞かれることは無かったのです。
ミラさま、公爵の姉で修道女、次期教団聖女と決まっていて、現在は国王の承認行事待ち。
公爵邸で寝起きをしており、夕方に公爵邸隣接の教会から戻って来られ、毎晩のようにセインへ癒やしを施しているのです。
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