第17話 街へ頻繁に外出
料理人クックへの癒やし報酬で獲得した街への外出、セインを誘惑する物が沢山あり、その後も頻繁に、シドニーと庭師のガーデナーを連れ公爵邸のある街を徘徊しているのです。
公爵からの許可、セインの最強上目遣い攻撃で勝ち取りましたが、護衛としてガーデナーを必ず連れて行くことは変わらず。
公爵家に関わる者達は、悪魔でも頷かせてしまうだろう小さな女神の上目遣い攻撃、その破壊力を知っているので、奥さまから街に出る許可を出したことのお叱りを受けた公爵に同情。
使用人達は、悪魔が実在しても、小さな女神の上目遣いからのお願い、見返り無く受け入れてしまうと思っているのです。
ガーデナーを従え街を徘徊する美少女2人、街中の人々は領主のお嬢さまと専属メイドだと知っていて、見守り護衛をしている状況、巷ではセシリア公爵家の聖女さま一行と呼ばれています。
セインは、公爵である父親に、ガーデナーを伴うこと以外に、癒やしの能力を街では使わないことを誓わされたのですが、街の住人が怪我をしたと聞くと、人前で使わなければ良いだろうと
「これを飲んで下さいまし」
癒やしの効力を事前に少しだけ込めて作成しておいた丸薬を手渡すのです。
ガーデナーはセインの丸薬に、当初は癒やしの効力を込められているとは思っていなかったのですが、怪我が治ったと感謝の言葉を聞き、セインに恐る恐る薬の事を聞くと。
「おまじないを少し掛けただけですわよ」
おいおい、おまじないって癒やしの効力ですよね!聞かなかった事にしたガーデナー。
今日も街を徘徊する3人
毎回、セインが買い食いをするパン屋に立ち寄り、看板娘でセインとも仲良しの娘が店頭にいないのを訝しげていると。
表情の暗いパン屋の主人から、娘は病気で寝込んでいると聞き。
「わたくし、怪我なら治せるのですが・・・」
落ち込むセインに、シドニーは公爵さまから呉々もセインに街で癒やしの能力を使わせるなと言われていた事を思いだし慌て、ガーデナーは、おいおいと呆れているのですが、当の本人はパン屋の主人に。
「様子を見に部屋へ行っても?」
困惑顔のパン屋の主人、護衛のガーデナーに止めてくれ視線を送りますが、ガーデナーは了承の頷きに、止めろよ護衛の役立たず!と思っています。
「お嬢さまに病気がうつる心配が、近所に同じ症状の子供がいるのです」
やばい病気、伝染病!お嬢さまに病気がうつったらガーデナーは命を掛けた戦いより怖ろしい、公爵夫人からのお叱り顔が脳裏に、背筋に冷たい汗が流れ。
先程、パン屋の主人からの見舞い有無伺い視線に承諾の頷きをした事を後悔。
セインも、近所に同じ症状と聞き伝染病の発生を予感。
「お嬢さま、病気がうつったら大変です。シドニー屋敷に戻るぞ」
ガーデナーの言葉に、セインが冷静に屋敷へ帰る事を拒否!
「ガーデナー!わたくしの心配をしてくれるのは護衛として当然ですが、領内の伝染病発生の兆しを見逃して蔓延させてしまったら、領主の娘として一生悔いが残りますわ」
セインは領主の娘として、領内に伝染病発生と思える話しを聞いてほって置ける訳も無く、護衛としてセインを第一と考えるガーデナーも引けません。
「お嬢さまのお気持ちは理解出来ますが、調査は他の者にお任せになり、状況を公爵さまへ報告致しましょう」
ガーデナーがセインの心配をしているのは間違い無いのですが、もう一つ、もしセインに病気がうつったらと、先程から公爵夫人の重圧による冷や汗が止まらないのです。
セインはガーデナーの言うことを全否定出来ないので妥協案を
「部屋の外から様子を見るだけなら良いですわよね、お父さまに状況報告としても症状をお伝えする必要が有りますわ」
部屋の外からと承諾したガーデナーですが、少女に説得されてしまう不甲斐なさに落胆。
パン屋の主人はガーデナーに呆れ顔、セインに対してはセシリア公爵家の聖女さまだと再認識。
パン屋の主人が、階段を上がり娘の部屋の扉を開け、覗き込むセインが見たのは、紫の靄が纏わり付いて苦しんでいるパン屋の娘でした。