第12話 癒やしの効果確認 メイド長
セシリア公爵は、娘のセインが発動した癒やしの効力を測ろうと、屋敷に仕える使用人達への施し第7弾。
今回も臨時検証、本当に想定外。
部位欠損で欠損部位が有する場合となったのです。
公爵夫妻に、使用人の一部しか知られていないセインの癒やし、今まで以上に感謝したのです。
公爵家への立ち入りは厳しい制限が行われている為、購入家具の運び込み、業者は1階のフロアーまで、その先は使用人が行っています。
ベットを2階へ運び込み中、使用人が足を滑らせベットが階段を落ちていき、運悪く下敷きになったメイド長、骨折、打ち身に、前歯が折れる大怪我。
使用人部屋のベットに寝かされ苦痛に耐えています。
ベットを運んでいた使用人、執事見習いでメイド長と執事の長男。
「すまん母さん、若い連中に任せればこんな事には・・・」
項垂れる息子のアプレに、「平気です」と声を掛けるメイド長。
平気なわけあるかと思ってベットに両肘をおき、頭を抱えるアプレに、父親のセバスがアプレの肩を叩き、部屋から連れ出します。
メイド長の折れた前歯を見つけ、ハンカチに包み公爵へ手渡し、ベットを運んでいた1人として、深々と頭を下る庭師のガーデナー。
公爵が娘のセインを連れ、メイド長の部屋へ。
部屋へ入った公爵、もっていたハンカチを広げて枕元に置き。
「メイド長、セインの癒やし効力検証者になってもらいます」
「これは、わたしからの強制です」
「返答は求めていないので目を閉じて下さい」
癒やしの施しを強制され、公爵の配慮に感謝しながら目を閉じるメイド長、全身が金色に輝き、治まると枕元にあった前歯が無く。
目を開け、ベットから起き上がるメイド長に公爵が
「検証確認ですメイド長、口をあ~~~んです」
さすがのセインも吹き出す父親の暴挙。
負けじとメイド長が口を開け「ムシバはナイデスヨ~~」と。
メイド長の返しに、腹を抱え大笑いのセイン
「無理無理、ムリです、お腹痛いです」
公爵邸内の重い雰囲気を吹き飛ばすセインの大笑いに、セインの癒やしの施しが、ある程度の効力を発揮したんだと喜んでいる者と、重傷者の部屋から零れ聞こえる笑い声に不謹慎と思っている者。
セインの癒やしを知らされていないアプレ、怒りからセバスの手を振りほどき母親の部屋に飛び込み
「いくらお嬢さまでも笑・う・の・は・・・」
酷いですと言おうとしたアプレ、ベットから起き上がり、公爵に、口の中を見せている姿を見て
「な・な・何をしているだ母さん」
慌てて口を閉じ、対処に困るメイド長に公爵、伴に固まり、1人、笑いすぎの腹痛から復帰したセイン
「神が癒やしを施したのですわ、感謝して拝むのですわよ」
3人を置き去りにして、部屋を出て行くセインの後ろ姿を見て、公爵は、オイオイ、自分で神宣言で拝めと言ったのかと呆れていると。
「此からは、セインお嬢さまを女神さまとして崇拝の許可、頂きありがとう御座います」
とんでも無いことを言い出すメイド長に
「セインを間違っても女神扱いしないように」
アプレを置き去りにして部屋を出て行く公爵、この後、神が癒やした施しの収拾をどうするか頭を悩ますのでした。
今までの、ガーデナーにシンシアとエイミーは突然治ったのだろうと言い張っているのです。
信じている者は誰1人としていないのですが!