第9話 癒やしの効力確認 メイド(2)
セインは先程から「絶対治れ・全て治れ・絶対治れ・全て治れ・目はパッチリ二重・鼻も高くて・プックリ唇・胸も大きくなってお父さまを・・・」と呟いています。
胸も大きくなってお父さまを見返すのです。と聞こえた公爵、何を言い出す我が娘とあたふた、前に座って居るメイド長に聞かれたらと焦って、メイド長を見ると、光り出したシンシアに驚きで倒れそうになっている姿に、聞こえていないと安心。
目を閉じているにも関わらず、明るさを感じ、何かが起きていると察しられ、目を開けたい衝動を必死に抑えているシンシア。
今までと違う輝きに、セインの絶対治すんだとの意気込みが影響しているのかと感じている公爵。
シンシアの全身を覆っていた金色の輝きが治まり、その容姿に驚きの公爵とメイド長、してやったり顔のセインは、今までで一番の満足感を味わったのです。
セインの肘打ちで我に返った公爵は、シンシアの驚きを最小限のしようと
「シンシア、目を閉じたまま、手で顔を触ってごらん」
言われるままにするシンシア、あるはずの凹凸が無い顔に驚いたようで、首筋から顎下、頬に鼻、目頭から目尻、額からコメカミと何度も確認をしています。
メイド長は、公爵からの褒美の品が想像のとんでも無く上の上の上を行く物に説明を求め
「これは、何が起こったのですか?」
年甲斐も無く口に人差し指を当て、静かにと合図を送っている公爵。
メイド長は公爵からセインへ目線を、知りませんわよと視線を外され沈黙することに。
公爵は事前に用意していた手鏡を取りに立ち上がり、ソファーに戻ると机の上に置き
「シンシア、目を開けてください」
ずっとスベスベの顔を手の平で擦っていたのを止め、目を開け公爵に視線を向けると。
公爵は手鏡をシンシアの前に移動させて
「顔を見てごらん」
手鏡を取ろうと手を伸ばすと、視界に入った手の甲にあるはずの痘痕が無いのに気付き、手鏡を取るのを止めて、手の甲を摩りながら、メイド長を見て
「痘痕がありません」
まだ、顔を見る前から目に涙を溜ているシンシアを見たメード長が、公爵から喋るな合図を出されていたにも関わらず。
シンシアを抱きしめ「顔も、顔も・・・」2人して涙を流しています。
「シンシア、感動しているところごめんなさい、早く顔を見て、わたくしに跪きなさい」
言葉は酷いのですが、優しく言われシンシアは、メイド長からの抱きしめを解放され、手鏡で顔を見て
「これが、わたしですか?」
痘痕を癒やしてくれたのは、目の前に座っているセインお嬢さまと確信。
「公爵さまは先程、天からと言われました」
「セインお嬢さまが、その天で神さまなのですね」
冗談で言ったはずの、跪きなさいを実際に行うため、セインの足下へ来て跪こうとするシンシア。
「待って!待って!冗談ですわよ」
跪かれる前に、座って居るセインの目の前に有るシンシアの胸を両手で鷲掴み。
「きゃーーーーー」
セインから離れたシンシア、両手の感触に再度してやったり顔のセイン
「胸、重たくない?」
「メイド服、至急作ってもらうのですわよ」
シドニーは痘痕を理由に、公爵家メイドが着る、オーダーのメイド服を作らず、お仕着せしか着なかったのです。
胸を押さえて一歩引いたシンシアでしたが、手で押さえた胸が・胸が・胸があるんです。
セインに向けていた視線を自分の胸に、痘痕が消えたことに気をとられ、気付かなかったのです。
ムッパイだったのが、あるんです膨らみが、放心状態で自分の胸をモミモミしている姿に、見ては行けないと思った公爵。
「メイド長、エイミを昼食後、何も言わずに連れて来て下さい」
衝撃続きで、放心状態から回復しないシンシアを連れ、退出していったメイド長。
公爵は、セインの癒やしは思いで結果に違いが出るのでは?、駄目だと思っていた老化も癒やせるのでは?再検証の必要性を感じ。
それ以上に、シンシアの胸が本当に大きくなったのだとしたら、セインの能力は癒やしでは無く、思いを実現する力なのではと。
メイド長に使用人の休憩所へ連れて来られたシンシア、メイド仲間から「新人ですか?」と言われ。
男性陣からは、突然の美人さん現るで大騒ぎ、正気を取り戻したシンシアは見かけで判断ですかと激怒、男嫌いにならなければとメイド長は心配したのです。
数日後、お仕着せからメイド服になったシンシアを見て、公爵を筆頭に、胸の破壊力に悉く撃墜されたのです。