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恋って…何?  作者: み〜さん


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みんな大好きです!

 



 もう直ぐーーーお別れです。





 これが最後じゃないと分かっているけど、この二週間があまりにも濃密で、あまりにも楽しくて。


 今、とっても寂しいです。


 まさか、こんなに楽しい人達だなんて思っていなかった。……まぁ、瑠美ちゃんの人望?も大きくて、みんなが一つになって、私を護ってくれたから…理由がちょっとなんだけど…。こんなに離れ難くなるなんて、思はなかった。


 でも、それは言ってはいけないこと。


 笑って最後を迎えようと、決めていたから。


 みんなには申し訳ないと思いつつ、挨拶もせず、いつもと変わらない『バイバイ』をした。みんなも分かってくれていたのか、軽く挨拶を返してくれて、本当にサイコーなクラスメイト達だった。


 あのーー加賀さんと博武のキスから始まった、二週間の攻防?があったから、みんなの良さが分かったんだし、きっかけがどうあれ、良かった事なんだと今は思う。


 佐藤くんを知るきっかけでもあった訳だしね。


 この先もずっと、このクラスメイト達と繋がっていたいなぁ。リーダーはもちろん瑠美ちゃんで!……クラスが違うんだけどね。でも瑠美ちゃんを頂点として纏まっていたクラスだから、そこは譲れないよね。それで、またカラオケで集まって騒ぐの。もう、考えただけで、顔がニヤけちゃう。


 一年とちょっとだけど、とっても充実した二週間でした。


 本当にありがとうございました。




 もう直ぐ、高校への最寄り駅に着来ます。


 二人には、私の一番の笑顔で、バイバイしよう。






「佳奈恵、毎日の連絡忘れるなよ。なんかあったら、ちゃんと俺や軍曹に言え!何とかできるかもしれないからなっ!」


 真剣な顔で佐藤くんが言ってきた。


 待って?私、女子校なんだよ?それも閉鎖的な環境の寮生活!何とかできるかも?無理でしょう!佐藤くん、無理です‼︎


「そうそう!田中を使うから、大丈夫!かな、ちゃんと教えなさいよ!」


 確かに沙樹ちゃんはスペック持ちですが、そこまではーーー無理があるでしょう?そうは思わ無いの?


「後、紹介や合コンは絶対にダメだからな!俺がいるんだから、絶っっっ対ダメだからな!」


 ーーー佐藤くん。怖い。


「佐藤の身辺は私が目を光らせているから、もしもうらぎっったら即刻公開処刑してやるからな!大丈夫、かなは可愛いから、幾らでも男がーー」


「そんな事には絶対になら無い!ふざけんなっっっ!軍曹!」


「何だか、モテモテね。佳奈恵。」


 ニコニコの笑顔で母が言う。


 ーーーいや、モテるモテ無いの話じゃ無いと思うんだけど…。何だろう……もしかして私、転校して正解?


「あの……二人共、電車の中なのでもう少し、落ち着いて…ねっ。」


 もう駅に着くのに!


 その時、到着を告げるアナウンスが流れた。


 瑠美ちゃんの表情が一瞬強張った。佐藤くんは口を引き結び、難しい顔で、窓の外を見る。


 とうとうその時が来る。


 楽しくて、嬉しくて、暖かい時間に終わりがやって来る。


「瑠美ちゃん、佐藤くん、ありがとう。私とっても楽しかった。クラスのみんなにもありがとうって伝えて。」


 震えそうな声を、努めて明るく見せることができたと思う。


 電車がホームを出るまでは、笑顔で……。


「う〜〜ん、それはーーー」


「自分でみんなに伝えるんだな。」


 瑠美ちゃんと佐藤くんが外を見る。


 ゆっくりと流れ込む電車の外ーーホームにいたのは、この濃密な二週間を共に過ごした仲間達が勢揃いしていた。


 プシューッと音を立てて扉が開いた。


「みんなーーー」


 驚きのあまり、言葉が続かない。


「しけた顔ですね、山田 佳奈恵くん。後で面白いモノ送って差し上げましょう。」


「向こうに行っても、山田なら大丈夫だ。頑張れ。」


「楽しかったねっ。また遊ぼ!」


「佳奈恵ちゃんともうちょっと一緒にいたかったなぁ。また会おうね。」


「ボッ!ボクーー」


「山田さん、あんまり話せなかったけど、またこっち戻って来るんだろ?」


「じゃぁ、そん時にまた親睦を深めよう!」


「止めた方がイイと思うよ。佐藤が煩そう。山田さん!後のことは任せて!しっかりと〆ておくから!」


「山田、コレ!コンビニで買って来たんだ。」


「女の子が食べる物ってイマイチわかん無いからさぁ、適当にチョイスしてみたんだ。」


「電車の中で食べるのはマナー違反だから、向こうに着いたら食べて。あっ、ジュースも3本入ってるから、重いけど。」


 渡された袋の重みが、今の私には辛い。


「みんなーーあっ、ありがとう!すっごく楽しかったよ!また、遊ぼうねっ。」


 上手く笑えているのか、分からないけど、声が震えるのは何とか抑えることができたと思う。


 最初に呆れ顔で言ったのは、新聞部次期部長の田中 沙樹ちゃん。


 次は、バスケ部次期部長の黒井くん。


 次は、伊澤 佐知ちゃん。その次が黒井くんの恋人の青木 夕実ちゃん。それから、理研の幽霊部員の宮野くん。パソコン部の加山くん。吹奏楽部の野下くん。


 それから、柔道部の稼ぎ頭である早川くん、栗田くん、相田くん。


 そしてーー


「かな、何度も言うけど、ちゃんと連絡してね、私もするから。後、夏休み!戻って来るんだよ!」


 瑠美ちゃん……泣き笑いだね。瑠美ちゃん。


「佳奈恵ーー」


 ホームに鳴り響く出発を知らせる音楽。


「大丈夫。俺がずっと一緒だ。」


 佐藤くんがウサギの縫いぐるみの頭をポンと叩く。


「いつでも会えるからーーー」


 キラキラの笑顔で佐藤くんが私の額にキスをした。


 と、同時に扉が左右から出て来て、私達を別けて行った。


 そして、ゆっくりと動きだす。


 扉の向こう側でみんなが私に手を振る。


 私も小さく手を振り返す。


 だんだんと離れて行くみんなの顔が滲んで、我慢していた涙が止めどなく流れるのを、佐藤くんに貰ったウサギの縫いぐるみに顔を埋めることでしのいだ。





色々、思う所がありますが、後、残り1話となります。

本日も読んで頂きありがとうございました。

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