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恋って…何?  作者: み〜さん


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色々、初心者なんです!

 今日は日曜日です。


 今日私は、転校先の高校の寮に入るために、このマンションを出ます。


「佳奈恵、準備できた?そろそろ出るわよ。」


 母が部屋を覗き込んできます。


「うん、いつでもイイよ。」


 ベットに腰掛け、携帯を眺めながら返事を返す。


 荷物は既に配送済み。寮の部屋には家具が備え付けで在ると言うことなので、洋服や身の回りのモノなどを送ってある。高校の制服も準備して、あちらに用意してある。今までブレザーの制服だったけど、今度はセーラー服。見た目ハイソです。


 まぁ、着る人間にもよると思うけど……虚しい。


「ソレ、後で送ってあげるわよ?持って行くの大変でしょ?」


 母が呆れ顔で言います。


 私は、抱えたウサギの縫いぐるみをギュッと抱き締めて、大きく首を振った。


「大丈夫。だって、荷物で送るなんて可哀想だもん。」


 ハイハイと嘆息する母。高校生にもなって…なんて呟きも聞こえますが、なにか?


「じゃ、もう少ししたら出るからね。」


「分かった。」


 返事をして、行きかけた母が、そうそうと言いながら戻ってきた。


「ねェ、何でそんなの貼ってるの?ソレ、毛が抜けちゃうじゃない。」


 指で指し示すソレに視線を落す。


 ウサギの縫いぐるみの胸元に貼られた、車に貼る初心者マーク。本物では無いんだけどね。


 真っ白な毛に貼られた、緑と黄色のシールはとても目に引く。それでなくとも、ウサギの縫いぐるみが大きいから。


「だって、初心者だもん。」


 頭に?を浮かべて、怪訝な表情で母が去って行った。


 私は、ウサギの胸に貼った初心者マークを指でなぞって、自然と笑顔になる。


 昨日、別れ際に佐藤くんに渡された、クシャクシャの紙包みに入った初心者マーク。


『コレ、今日見つけたんだ。佳奈恵の今の状態だと思ってさぁ。初めてのプレゼント?かな?洒落なんだけど。』


 照れ臭そうに、ズボンの後ろポケットから出して渡された。


 家に戻って、クシャクシャの紙包みから出てきた初心者マークに、思わず泣き笑いしてしまった。


 確かに初めて尽くしで、恋人?と言うには拙くて、今の私にはピッタリだと思う。


 でも、最初のプレゼントはウサギの縫いぐるみだと思うから、この初心者マークは二つ目。一日に二つも……それも初めてのデートで二つもプレゼントが貰えるなんて、超ラッキーだよね!


 だから、佐藤くんから貰った大事なウサギの縫いぐるみの胸に、貰った初心者マークを貼って、今日一緒に行くことにした。


 まぁ、仕方がないので、周囲の視線を独り占め?するのは甘んじて受けましょう。


 新しい高校へは、電車を2度乗換えて、その先はバスに乗る行程らしい。ちゃんと覚えて行かないと、夏休みに瑠美ちゃんの家に辿り着けない。と、言うことは佐藤くんともデート出来ないことに!それは絶対にあってはならない!


「佳奈恵、出るわよ。」


 母が、部屋の前を通り過ぎながら声を掛けて行く。


 母達も明日には出るから、車はすでに売却済み。マンションは、このまま残して、母がたまに戻って来るらしい。私も卒業後ここに戻って来たいしね。


 自分の部屋を見回す。あまり女の子女の子した部屋では無いけど、今まで過ごした自分の部屋。今度戻って来た時にはやっぱり懐かしく思うんだろうか?


「行ってきます。」


 誰に言うとも無しに、言いながら部屋のドアを閉じた。




 マンションのエントランスを抜けた所で、外から手を振る瑠美ちゃんを発見!


 駆け出して、外に出ると瑠美ちゃんが抱き付いて来た。


「おはよう、瑠美ちゃん。わざわざ来てくれたの?」


「っったり前でしょ!」


 ガバっと上げた顔が泣き笑いです。瑠美ちゃん。


「ありがとうねェ、瑠美ちゃん。お母さん達にもヨロシクお伝えして頂戴。」


「ハイ!」


 大きく頷くと私の抱えるウサギの縫いぐるみを見た。


「コレ、持って行くの?」


「そう!」


「……チャレンジャーだね。いや、恋は盲目?」


 ブツブツ呟く瑠美ちゃんに、


「瑠美ちゃん、今日も部活?」


 ジャージ姿の瑠美ちゃんも見納めです。


「そっ!このまま途中まで、一緒に行こうと思って。」


 そう。一年とちょっと通った高校の最寄り駅を、通過します。


 母が先を歩き、その少し後を私と瑠美ちゃんが並んで歩いて行きます。


 今日も良い天気です。昨日佐藤くんと並んで歩いた道を、今日は瑠美ちゃんと歩きます。


「昨日は楽しかった?佐藤の奴、かなに嫌なことし無かった?」


 瑠美ちゃん、またオカンになってるよ。


「すっごく楽しかったよ。コレも取って貰ったの。」


 ギュッと縫いぐるみを抱き締めて見せた。


「ーーーかながイイなら、いっかっぁ。」


「瑠美ちゃん、お願いした物明日クラスのみんなに渡しておいてね。後、幼馴染にも。」


 私がそう言うと、途端に渋い顔になる瑠美ちゃん。


「あいつらに渡す必要性を感じ無い……。」


「でも、今までは仲良くして来た訳だから、今まで有難うの気持ち、ほんのちょっとの気持ちだよ。」


 幼馴染達には、スポーツタオルと今まで有難うのメッセージカードを付けて、クラスのみんなには、スポーツタオルとキーホルダーとメッセージカード。キーホルダーは渡す人達を思い浮かべて、その人ッポい物を選んだ。


 ちなみに、黒川くんは超人ハルク。瑠美ちゃんはラフレシア。沙樹ちゃんはトンボのオニヤンマ。佐藤くんには、フランケン。


「まぁ、転校生美少女と羽黒。後、サッカー部と陸上部の一部の奴らと生徒会の奴らにはちゃんと報復しておくから。かなにも後日談を知らせるから、楽しみにしてて!」


 良い笑顔ですね。瑠美ちゃん。気の所為か、生き生きしてます?


 そんなこんなで駅が見えて来た所で、瑠美ちゃんが唸りだしました。


「チッ、やっぱりーー。」


 瑠美ちゃん!女の子が舌打ちしちゃダメです!


 眉間を寄せて見つめる先にいたのは、ジャージ姿の佐藤くん。


 満面の笑顔ですね。佐藤くん。何だか恥ずかしいです。


 近ずいて行くと、佐藤くんが母に向かってお辞儀をしました。えっ?どうした?


「おはようございます。僕は佳奈恵さんと同じクラスだった佐藤 拓真と言います。昨日から、佳奈恵さんとお付き合いさせて頂けることになりました。どうぞよろしくお願いします。」


 ええええっっっ⁈ 佐藤くんいきなりですかっ‼︎ 私聞いていませんがっ⁈突然言われた母も目がテンになって動きを止めてます!


「だから、性急だって言ってんのに、あの馬鹿!」


 瑠美ちゃん!頭からツノがーーー!






ありがとうございます。

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