団欒の時間
皆仲良く
その夜の料理はミィナとタビーさんの合作のフルコースと相成り
狼除けを畑に設置して帰宅したセイルさんも加わり賑やかに談笑し合ってたのじゃ。
途中タビーさんに「あ、それミィナが作ったのよー?お口にあうかしら?」
とか言う具合にキィーロが弄られたりしておったな。
「は、はい、とても 美味しい です。」
しどろもろどろなキィーロもこっ恥ずかしそうな顔なミィナも観ていて微笑ましい。
ふと、転生前の私の家の事を思い出す。ごく普通の一般家庭ではあったとは思うが
この様な団欒なんぞ夢のまた夢な世代じゃったな。
旦那が仕事で・・・。なーんて風刺が流行る位の世界じゃ。
こんな暖かい団欒なんぞTVの中か余程の金持ちでもないと無理な世代じゃったわ・・・
「きゅぅ?」
ん?隣のミニ座布団に座ってたミラに様子を心配させてしまったかの?
ヒューイもアンヌが持って来てた組み立て式止まり木の上から心配げにこちらを窺ってた。
ナマモノなら多分涙がちょちょ切れてた所じゃろうが生憎『玩具』には涙腺は無い。
じゃが雰囲気まではそうそう誤魔化せんからのー。
そういや本来の生息域から『召喚』されてるお主らはある意味私と同じ立場じゃったな。
ヒューイは兎も角としてもミラも突っ返されるから帰りたくても帰れないんじゃったっけ。
私の場合は例え元の世界に戻れたとしても『家』にはもう戻れんという違いはあるけどな。
「キューイ?」
とヒューイがさらに首を傾げてこちらを見る。
こら。『念話』で私の様子伝えちゃ駄目だぞ?皆あんなに楽し気なのじゃから。
もふ。
気が付いたらミラが私の上に乗っかってその頭を私の頭の上に乗せて寛いでた。
ガジガジ攻撃されないだけマシ・・・なんじゃろうか。
「ちょ。あれ見てよ。」とこちらを見たアンヌが吹きかけて慌てて口を拭ってる。
(ヒューイよ。何ご注進しとるんじゃよ・・・。)
傍目で見れば多分フワモコモヒカンな狐の『玩具』なんじゃろうが
ご主人達食事中に笑かせ吹かせてどうすんのよ?
内心苦笑しつつもヒューイとミラの心遣いに感謝しておく。
その後は私らも話の邪魔にならん程度にお食事にお呼ばれしたりして楽しい夜が更けていく。
寝床はミィナの部屋の勉強机の上にして貰ったのでそこでお休みする事に。
セイルさんの影が薄かったかも。お風呂とかはふつーに入ってる筈。ヒューイが召喚されっぱなしなのはアンヌの判断でミラやソラに合わせてる為。でもこれが後のフラグになるかも・・・




