峠の攻防 VS狼(魔狼) その④
鳥馬が大活躍する様です
さて。先程はこのPTの中では一番弱そうなミィナを狙うと見せかけて
私の連携の隙を突いた訳じゃが・・・・今度はどう出るかの?
まさか味方を踏み台にして荷車の上に飛び上がるとまでは思わんかったが
また同じ手を使う心算なのじゃろうか。
(取られた荷物の中身が気になるの。食べ物系なのは分かるが余り高い物でなければ良いがな。)
これが『荷車を守れ!』クエストなら確実に減点対象物である。
今回は護衛を頼まれてた訳ではないからお叱りは受けないだろうが物を取られた事には違いない。
その分を弁償する羽目になるだろう御者さん、申し訳ないのぅ。
「ミィナさん!済まないがソラと立ち位置代わってくれ!」
と荷車の後方を守るキィーロがこちらを振り返りミィナに指示する。
今ミィナが居るのは荷車の前方より。本来は荷車の斜め横の防御を担当しているのじゃが
ヒト系の中で一番弱いとみなされた以上はキィーロよりに居た方が安全じゃろ。
私は『玩具』なだけにちっこいし一見ミィナよりも弱そうに見えるかもしれんが
『魔力感知』の類い持ってるんなら頻繁に『スキル』使いまくる相手が
そうそう弱い相手な訳では無い事位察するだろうしの。
「うん、分かったわ!ソラ、こっちお願い!」
と即座に私と立ち位置を入れ替わる。
「クェ。」と鳥馬が一瞬こちらを観てたたらを踏むのを完全に止めてしまう。
ん?おまえも私が気になるのか?
じーーーーーーーっ。
だから何でこの世界の鳥種は『狐』に対してそう興味しんしんなのさ!?
回りをグルグル回ってる狼を警戒しつつもその片目でこちらを見つめてた鳥馬は。
次の瞬間首を上空へと振り上げ「クェェェェェッェェエェエ!!!!!!」と
喉が張り裂けんばかりの大声を張り上げた。
一瞬の間の静寂が辺りを包み、ビクッ!!と魔狼達が周りを回るのを止めてしまう。
「ま、まさか。」と御者さんが青ざめてる。あ。何か嫌な感じが。
遥か彼方の方から「クェェ」とか「クワワワワ!」とか複数の声が聞こえてくるんですけどっ!!
「ドドドドドッ!」小さい灌木とか跳ね飛ばしつつ現れたその土煙の先頭には・・・当然というか。
「皆さん!早く荷台の上に避難して下さい!こいつが仲間呼んでしまいましたっ!!」
デスヨネー。『MAP』上でも黄色い点の塊がこちらに向かって暴走中だし。
魔狼達は何が起こったのか今一分かってない様で一瞬固まってしまったのが運の尽きで。
次の瞬間には追い立てられた森の動物達に踏んだらごにされた後、抗議しようとした彼らの頭上に
鳥馬達のぶっとい脚が次から次へと振り下ろされていた。
後に残ったのは無残に鳥馬の脚跡の付いた魔狼達の死骸。いつの間にかボスな狼も居なくなってたけどね。
死骸やら木の破片等を片付けられるだけ片付けて私達は村へと移動する事に。
器用な事に暴走していた鳥馬達は荷車やそれに繋がれた鳥馬を避けてどっかに走り去っていった。
チョ○ボラッシュならぬ鳥馬ラッシュでした。鳥馬が味方呼びしたのは本能です。ソラ達を荷台に載せた時から気にはなってたけど、より身近に立たれた事でこうなったという事でここは一つ。ソラ「何か扱い悪いの」




