図られのちモフモフの刑
ミィナ視点。どうやら遭遇させられた様です。
その子とは3度目の張り付きで遭遇した。
大分使い込んだであろうマントを羽織った幼めの女の子。
アンヌやリーナが言っていた様にどう観ても狐耳尻尾な狐ヒトの子だった。
焦げ耳に多分腰の辺りまで伸びてるであろう金髪のその子の第一声はというと、
「むぅ。図られたかの・・・。」という半ば呆れた様な小さな物言いだったけど。
実は今回の遭遇はリーナからお誘いがあったからこそ成功した様なモノだったのよね。
「キュゥキュキュ。」とその子の足元で満足気に喉を鳴らすミラが一枚噛んでるけど。
方法としてはしごく簡単でリーナが何時もの様にその子と遭遇してる間に
ミラが私へのご注進役を買って出たってだけなんだけどね。
因みにソラは今此処に居ない。何時もの様に校内散策中なんだけど、連れて来た方が良かったかな?
「はぁ(ため息。お主、探求心があるのは良いがこういうやり方は余り関心せんぞ?」
とその子がリーナに顔を向けて文句言っている。
「・・・まぁ、私もヒトの事は余り言えんのじゃがな。」とその子は小さく呟き、またため息を付いた。
何か隠してる事があるのには間違いはない。どのクラスにも該当する生徒はいないという噂だし。
でも先生方や生徒会のヒト達は動いている気配は無いんだよね?
完全に部外者なら即どっちかが駆け付ける筈なのに、それがないって事は、
滞在を認められてるって事なんだろうし。その辺の詳しい事情はあたしには理由は分からないけど。
この子、言葉使いがちょっと変わってる位でごく普通の幼い狐ヒトの女の子っぽいけど
纏ってる魔力の質はかなり高めの様だしこの学園の生徒だと云われれば余り違和感は感じられない。
それどころか既視感すら覚える。この魔力の感じはどこかソラに似ているんだよね。
共通点をあえて挙げるとすれば『狐』と瞳の色と女の子って位なのに。変なの。
「あー、なんかゴメン。どうしてもミィナに会わせたくて。」とかリーナがその子に謝っている。
「むぅー。まぁ気持ちが分からないでもないがの・・・」と半ばむくれた様な顔をしながら
リーナの顔を見上げてたその子はふと気が付いた様に足元に佇むミラを見つめると
ニッコリと笑って「お返しにこ奴をモフモフするのじゃーっ」とあっという間にミラを両腕で
抱え上げるとモフモフしだした。
「ちょ」とかリーナが制そうとしていたみたいだけど、何か嬉しそうなその子の気迫に押されたのか
ミラに両手を合わせてゴメン。的なポーズをしてた。後で頭ガジガジされるかも知れないけど。
・・・あれ?ほんとに嫌ならブレスでも吐きそうなのに全然そんな気配がないよね?
ミラ的には毛づくろいして貰えてる程度の感覚だった様です。・・・多分。




